「私は思うのよ、扇風機は出さないほうがよかったのではないかと」
ある土曜日、ベッドに座っている
「急に暑くなりましたもんね」
梅雨の季節が終わった瞬間、エアコンが必要になるほどの暑さが日本を襲った……と思う。
扇風機が活躍したのは梅雨後半の僅かな期間のみ。七月の今、扇風機では力不足だった。
「年々暑くなってるわよね?」
「これに関しては毎年同じこと言ってしまいますよね」
昨日なんて学校に行くだけ汗だくになってしまった。外で弁当を食べることもできず、ずっと校舎内で外の熱から逃げなくてはならない。
「今年の夏は出かけたくないわね……と言いたいところだけど」
ここ毎年涼香は「今年の夏は出かけたくない」と言っているのだが、今年はその続きがあった。
「
「わっ、凄い」
「というわけで足になってもらいましょう」
暑い夏でも、車であれば涼しく快適に出かけることができる。
「うわ、最低」
涼音が冷たい目を向けるが、涼香は照れくさそうに頬を掻く。
「照れるわね」
「暑さで頭おかしくなったんですか?」
「涼音こそ、暑さで反抗期が加速したのではないかしら」
「ケーキあげませんよ」
その瞬間、涼香はベッドから降りて慌ててケーキを確保する。
「あげないわよ!」
「えぇ……」
いつも通り、なんて事のない休日を過ごす二人であった。