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補習にて 5

水原みずはら、暗記はなにかとくっ付けて覚えるといいかも。お話にするとか」


 なんやかんや言いながらも、真面目に勉強している間はあやも真面目に教えてくれる。


「なるほど、なら涼音すずねが持ってきたのは、びー、いー、いー、あーる。びえらーを持ってきた……。こら涼音! 未成年飲酒はダメよ!」

「えぇ……」


 まあそれで覚えられるのならいいか、と彩はツッコミを放棄する。覚え方は人それぞれだ。


 涼香は、単語に限ってはこれで大丈夫だろう。


 次は――。


「おい三田さんた、できてんの?」

「いやあ……なにかにくっ付けるのはわたしには難しいわ」


 全員が同じやり方で覚えられる訳では無い。


「あー、じゃあ特殊な場所で覚えるとか」


 少し悩んだ彩が提案したことは、理子りこにいまいち伝わらなかった。


「どゆこと?」

「例えば、机の下に入って覚えるとか、掃除ロッカーに入って覚えるとか」

「えっ⁉ いいの⁉」

「遊ぶなよ! 覚えるためだからな!」

「分かってるって、わたしもそこまでバカじゃないし」


 そう言って理子は掃除ロッカーの中へ入っていく。


 残り三十分。果たして、涼香と理子は補習の小テストに合格することができるのだろうか。

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