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【短編小説】信用
【短編小説】信用
遠藤良二
現実世界現代ドラマ
2025年03月11日
公開日
1.1万字
完結済
 俺は今、猛烈に女を抱きたい。でも、今は仕事中。職業は土木作業員。俺の名前は|多田英一郎《ただえいいちろう》、二十歳。今日は金曜日なので仕事が終わったらソープランドに行くかな。一人で行ってもいいが、どうせ行くなら仲間を連れて行きたい。俺は絶倫だと思う。会社の仲間と行くか。そいつの名前は、|大瀬未知留《おおせみちる》、十九歳。こいつも俺に負けないくらいエロい。大瀬は高校生の頃、同級生の女を犯した。ショックを受けた女は自殺してしまった。だが、大瀬は知らない振りをした。でも、体液で犯したのは大瀬だということがバレてしまった。二年間、少年院に入所し、高校は退学した。それから大瀬は今の会社に十八歳で入社した。俺は高校を卒業してから入社したので年齢は大瀬より一歳上だが、仕事では一年大瀬の方が先輩になる。

【短編小説】信用

 俺は今、猛烈に女を抱きたい。でも、今は仕事中。職業は土木作業員。俺の名前は多田英一郎ただえいいちろう、二十歳。今日は金曜日なので仕事が終わったらソープランドに行くかな。一人で行ってもいいが、どうせ行くなら仲間を連れて行きたい。俺は絶倫だと思う。会社の仲間と行くか。そいつの名前は、大瀬未知留おおせみちる、十九歳。こいつも俺に負けないくらいエロい。大瀬は高校生の頃、同級生の女を犯した。ショックを受けた女は自殺してしまった。だが、大瀬は知らない振りをした。でも、体液で犯したのは大瀬だということがバレてしまった。二年間、少年院に入所し、高校は退学した。それから大瀬は今の会社に十八歳で入社した。俺は高校を卒業してから入社したので年齢は大瀬より一歳上だが、仕事では一年大瀬の方が先輩になる。


 俺は昼休みに会社の車の中でビールを一缶呑み、大瀬を呼んだ。「今日、仕事終わったら札幌に行かないか?」

 空は晴れていて雲一つない。

「札幌? もしかしてソープランド?」

 俺はまた、ムラムラしてきた。大瀬もニヤニヤしている。

「ああ、そうだ」

 大瀬は言った。

「行くわ。財布の中は少ししか入ってないからコンビニで下してからいくから」

「わかった」


 仕事を終えて一旦帰宅した。札幌に行く支度をするために。シャワーを浴びて、軽く飯を食った。納豆をおかずにして。札幌までには三時間くらいかかるから腹が減るので食べた。


 今は夏。暑いのでグレーのTシャツに赤いハーフパンツを履き、青いサンダルで行く。煙草を吸いながら俺は大瀬にLINEを送った。<俺は用意出来ていつでも行けるぞ! お前はどうだ?>

 少しして奴からLINEがきた。

<おれも準備は出来たからいつでもいける。迎えにきてくれるんだろ?>

<ああ、今から迎えにいくわ>

 そう言ってLINEは終えた。


 アパートを出て俺は車を走らせた。少し走って大瀬の実家に着いた。何で彼が一人暮らししないのかは、貯金がしたいかららしい。突っ込んで貯蓄額を訊いてみると、それは内緒だという。

「それくらい、教えてくれてもいいだろ!」

 と頭にきたので怒鳴った。俺は気が短いんだ。喧嘩っ早いし。「教えられないのを無理矢理訊こうとするな!」

 大瀬も俺に負けないくらい気が短く、喧嘩っ早い。

「それぐらい教えられない仲じゃないだろ! お前とは今の会社で知り合って二年も経つのに!」

「額を訊いてどうするんだよ!?」

 大瀬が言った。

「参考にするんだ!」

 俺がそう言うと大瀬は、

「一人暮らししてたらいつまで経っても貯金出来ない!」

 そう言われて確かにそうかもしれない、と思った。

 この話しは昨年のこと。俺は根に持っているが、大瀬は気にしていない様子。


 俺は彼の家の前に車を停め、電話をかけた。

「もしもし、着いたぞ」

『ああ、今行く』


 俺はまた欲情している。まるで盛りの着いた犬のようだ。少し待つと大瀬が玄関から出てきた。真夏だからめっちゃ暑い。だから、彼は黄色いTシャツに青いハーフパンツ姿。こちらに向かっているのを見ると、下半身が膨らんでいる。やはりこいつも欲情しているんだなと思った。でも、それが若い男という証だ。


 大瀬は助手席に乗り、

「早く抱きて―!」

 と叫んだ。夏だから尚更だろう。

「それは俺もだ! さて、行くか!」

 俺はそう言って出発した。


 真夏だからだろう、道路が混んでいる。きっと、みんな外出したくなるのかもしれない。

 俺は大瀬に質問した。

「いくら持ってきた?」

「七万だよ! 高級ソープ嬢を相手にしたいから多めに持ってきた。多田さんは?」

 俺は得意気になって、

「十万だ! 考えていることは一緒だな。それに、旨い飯も食いたいし!」

「だよね! いい女抱いて、旨い飯を食うのは至福の時だよね!」 大瀬は心を込めて言った。


 車内でエロい話をした。

「今回は後ろから攻めたいな」と俺。

「おれは女が、おかしくなっちゃう! というまで攻め続けたいな」と大瀬。

 お互い絶倫だから一人で風俗に行かなくて済むからちょうどいい。俺は、

「飯は何が食いたい?」と訊いた。

大瀬は、

「ラーメンがいいな! 白味噌角煮とか」

 俺は、

「お! それはいいな!! 俺はラーメンと炒飯にするわ」

 大瀬は、

「あ! 炒飯も追加か! おれもそうしよう」

「毎回ソープに来るのも面倒だから、セフレがいればいいな」

 俺がそう言うと彼は、

「確かに! 最もだわ」

 ネットで探してみるか! 近い地域で。俺がそう言うと大瀬は、「おれもそうしてみる!」


 今日のところは高級ソープ嬢を相手にする。飯を食う時にでもセフレをネットで探してみよう。そう考えるだけで更に興奮する。今日は何回イケるだろう。楽しみだ。ちなみに大瀬はソープ嬢でいつも何回くらいイッてるのだろう。あんまり訊きたいと思わない。差がつくのが嫌だから。やっぱり、多くイった方が性的に強いと思うし。弱いより強い方がいい、何に関しても。


 前に俺は大瀬と喧嘩をしたことがある。しかも殴り合いの。でも、その方がスキッとしてよかったと大瀬は言った。確かにそうかもしいれない。傷口は痛いけれど。それからというものの、たまに言い合いはするが殴り合いの喧嘩はしなくなった。あの時の殴り合いの喧嘩には意味があったようだ。だから、よかったと言っていいだろう。


 かっ飛ばして走ったから二時間くらいで札幌市についた。ここからは車も多いし、飛ばせない。すすきのまでには暫くかかるだろう。大瀬とは話が尽きない。だから、いつも行くソープランドにはいつも通り着いた。客引きも違法だからいないので気楽だ。どこがいいかな? と思いながら二人で店を見て歩いた。大瀬は、

「お! ここ、いいんじゃないか?」

 と言った。お客さんはまんべんなく男女問わず歩いている。天気もいいし尚更だろう。


 夏だし道路を歩く若い奴らは薄着姿。ムラムラっとする艶っぽい格好をした若い女が女友達だろう、二人で歩いている。思わず声を掛けたくなるが、我慢した。体に触れたくなるから。もし、そんなことをしたらセクハラで訴えられる可能性がある。中には逆に誘ってくる場合もある。以前経験した。でも、そういう女はそんなに多くない。だから、触れることは控えないと。


 店に入って、やりたいことをやって出て来た。スッキリした。とりあえず腹も減ったし昼飯を食うかと思ったので、大瀬に言った。すると、

「うん、そうだね。昼飯食うか。おれも腹減ったわ」

 俺は確認した。

「言っていた通りラーメン屋に行くんだろ?」

「そうだね、そうしよう」 

 俺達は適当にラーメン屋を探して歩いた。俺は、

「ここにしよう」

 赤い屋根で、壁は白い。昼時だから混んでいるかもしれない。大瀬は、

「ああ。いいよ。行こう」

 中に入ってみると、店員が、

「いらっしゃいませー!」

 と勢いよく叫んだ。若い女店員も、

「いらっしゃいませー!」

 大きな声で言っている。威勢のいい元気なラーメン屋だ。これだから客も来るわけだな。店内は混雑している。スープの匂いだろう、いい香りがただよっている。女店員に、

「二名様ですか?」

 と訊かれ、

「見ればわかるだろう! 二人しかいないじゃないか」

 俺は怒った。女店員は、

「あ、いや、後から来られるお客様もいらっしゃいますので……」 大瀬は間に入り、

「多田さん、まあいいじゃない。この子の言っていることも一理あるし」

 俺は黙っている。


 俺は、

「まあ、そうだな。こんなことに腹を立てても仕方がない。馬鹿くさ」

 言いながら俺は冷めた表情になった。女店員は、

「こちらにどうぞ」

 と俺達を促した。 

 俺と大瀬は向かい合わせに木の椅子に座った。

 女店員はメニュー表を持っていたので俺達に渡した。そして、「ごゆっくりご覧ください」

 と言って去って行った。俺は思ったことを言った。

「今の女店員、かわいいな」

「そうだね。声掛けてみる?」

 俺は、

「ああ、来たら言ってみる」

 大瀬は、

「何て言うつもり?」

 と俺に訊いた。俺は、

「今度、ご飯食べに行かない? 奢るからさ、とか?」

「なるほどね~。さすがだわ」

「だろ? これぐらい言えるようにならないと駄目だぞ」

 大瀬はふふんと鼻を鳴らして、

「おれが言ってみようかな?」

 と言ったが俺は、

「いや、今回は俺が声を掛ける」

 と言った。


 俺と大瀬は、メニュー表を見始めた。

「俺は角煮ラーメンがいいな、白味噌味の。それと炒飯も、大盛りで」と俺は言った。

 大瀬は、

「それも旨そうだな。じゃあ、おれは赤味噌角煮ラーメンと炒飯の大盛りにする」

 俺は、

「よし決まった。大瀬、さっきの女店員を呼んでくれ」

「あいよ。すいませーん!」

 大きな声で言うと、

「はーい! ただいま参りまーす!」

 と聞えた。


 女店員に注文し終わったあと、俺は言った。

「ねえねえ、お姉さん。仕事終わったら俺達と遊ぼう?」

「え! いや……それはちょっと……」

 女店員は恥ずかしそうに言っている。

「なんだ、いいじゃん。遊ぼう? 飯奢るからさ」

「いいんですか?」

 お、乗ってきた、と思った。

「もちろんだよ」

「あ、じゃあ、どうすればいいですか?」

 俺は言った。

「紙とペンある? 電話番号教えるよ」

 女店員はエプロンのポケットから紙を出した。ペンは持っている。そして俺は女店員に俺の電話番号を教えた。これで電話かかってくるといいなぁ。

「連絡待ってるから」

「はい」

 と言って女店員は去って行った。大瀬は言った。

「ほんとに連絡くるかな~?」

「当たって砕けろだ!」

 彼は黙っていた。そして大瀬はこう言った。

「よく恥ずかしくないよな」

 俺は店中に聞こえるようなデカイ声で笑った。

「そんなこと言ってたら、チャンスを逃してしまうぞ。俺がいくつで童貞失ったかわかるか?」

「いや、わからない」

「十三だ」

「早っ!」

「だろ? これが積極的な俺の成果だ」


 十三歳の中学一年生で童貞を失ったのは嘘ではない。相手は中学三年生の地元の女子。それくらいの年齢になれば体は大人だ。胸の大きな女子で欲情してしまい背中から胸を揉みしだいた。彼女も処女で、俺に揉まれて驚いていた。最初は嫌がっていたが、続ける内に感じてきたのだろう、喘ぎ声を上げだした。俺はその声に大いに興奮した。場所は学校の体育館で放課後そこで彼女を犯した。今、思えば俺はませているガキだったなと思った。知り合ったのは同じ部活。卓球部。俺は年齢の割には体がデカい。だから、力も彼女よりあった。名前は、大谷美琴おおたにみことという。俺は、彼女を美琴さんと呼んでいた。美琴さんは俺のことを英一郎だから英ちゃんと呼んでいた。


 美琴さんの顔は特別可愛いというわけではない。でも、スタイルは抜群なのでそそられた。だから三年生の彼女の教室まで行って誘ってきた。俺は三年生のクラスに怯えることなく堂々としているから一目置かれているらしいと美琴さんが言っていた。


 あれ以来、今でも美琴さんとは交流はある。でも、体の関係はなくなっていた。また、誘ってみようか。まあ、断られても犯すつもりではいる。いやよいやよも好きの内、という言葉があるくらいだから、本当は嫌じゃないかもしれない。LINEはお互いスマホを持つようになってから交換した。彼女はきっと性行為は嫌いじゃないと思う。犯されても俺との関係を切ろうとしないから。


 美琴さんにLINEを送ろうとしたら、電話がかかってきた。知らない番号だ。でも、携帯電話の番号だ。出てみた。

『もしもし』

「はい? どちらさん?」

『……あの、ラーメン屋の店員ですけど……連絡先教えてもらったんでかけてみました』

「あ、なるほど! そうなんだ!」

 俺は一気にテンションが上がった。

「俺、多田英一郎っていうんだ。君は?」

『あたしは、高畑美奈子たかはたみなこっていいます』

 俺は気になったことがあったから言った。

「別に敬語じゃなくてため口でいいよ」

『え……でも、知り合ったばっかだし』

「気にしない気にしない」

『そうですか? わかった、じゃあ、ため口で話すね』

「うん、そうして欲しい。それにしてもよく電話かけてくれたね。不審に思わないの?」

『いや、別に。もし、変な人なら着拒すればいいし。でも、まさかナンパされるとは思わなかった。初めてだった』

「酔っ払いとか絡んでこないの?」

『うーん、あたしは夜中の勤務ないから酔っ払いはこないかな』「なるほどね。でも、夜、勤務した方が給料はいいんじゃないの?」

『確かにそうだね』

 いきなり俺は言い出した。

「美奈子って呼び捨てでもいい?」

『あ、うん。いいけど、あたしは何て呼んだらいいかな? 英一郎だから英ちゃんは?』

 そう言われて嬉しくなった。

「英ちゃん! いいね!」

 そう言われて美琴さんのことを思い出した。

『でしょ! もうこんな時間だし、俺のアパートにこないか?』 今は午後十一時半過ぎ、来るだろうか。半ば来ないだろうと思って言った。すると、

『うん! 行く』

 何て警戒心のない子なんだろう、と思った。初対面で異性なのに。俺は構わないけれど。

「俺のアパートは川沿いにあるんだ。アパートは一軒しかないからわかると思う。部屋の番号は、一〇三号室だ」

『迎えに来てくれないの?』

「行かないよ、来たかったら来てって感じ」

『あっそ、じゃあ行くよ』

 怒ったか? と思ったが、

『用意するから三十分くらい待っててね』

 意外な発言に俺は驚いた。

「そんなにか! 別におしゃれなんかしなくていいんだぞ!?」『シャワーだけ浴びてくよ』

「それなら俺の部屋にもあるよ」

『借りてもいいの?』

「ああ、いいぞ。じゃあ、待ってる」


 三十分と言っていたが、一時間くらい待った。俺は苛々している。でも、キレないようにしないと。キレたら自分でも制御できないから。今は午前一時前。ピンポーンと部屋のチャイムが鳴ったが俺は少し眠かった。なのでデカイ声で、

「開いてるよー!」

 と叫んだ。だが、鍵が閉まっているようでガチャガチャ音が鳴っていた。 俺は急いで玄関に向かった。

「ごめん、今開ける!」

 鍵を開けると、

「開けといてよー」

 と怒られた。

「まあ、そんなに怒るなよ。待ち時間三十分以上も過ぎたくせに」「しょうがないじゃん、用意してたんだから」

「わかったわかった。まあ、上がれよ」

 そう言って美奈子に上がってもらった。


「へえ、そんなに散らかってないね」

 俺は苦笑いを浮かべた。

「美奈子が来るっていうから少し片づけたんだよ」

 彼女は驚いた顔をしていて、

「よく面倒じゃなかったね。しかもこんな時間に」

「女が来るっていうんだからそれなりに綺麗にしないとな」

 美奈子は笑みを浮かべて、

「そうだよね」

 と言った。


 何だか、今日会ったばかりとは思えないな、と思った。

「それにしてもよく来る気になったな」

「うん、暇だったし。それに、誘ってくれたからね、初めて会ったとはいえ」

「警戒はしてないのか?」

「警戒?」

「言わなくてもわかるだろ」

 そう言うと美奈子は笑い出した。そしてこう言った。

「そんなのは承知の上よ」

  だよな、と思った。

「そう思うんだったら、いいことしよ」

 俺も言われた通りの気分。

「まず、シャワー浴びてくるわ。ちょっと待っててくれ」


 二十分くらい経過して俺は浴室から上がった。

「次、いいぞー!」

 と叫ぶと、

「はーい! 見ないでね」

 美奈子はそう言った。 これから見るというのに、見ないでねはないだろう、そう思ったが黙っていた。


 彼女は三十分くらいで上がった。長いなぁ、と思ったが言わずに心にしまっておいた。俺は結構溜めて爆発するタイプ。だから、爆発したら辺りは血の海になっている。今のところはまだ許容範囲。もし、そうなったら犯罪になる場合があるから前もって相手に言っておく。

「美奈子。俺は思ったことを内に秘めるタイプなんだ。だから、爆発したら辺りは血の海になっている可能性があるから注意してくれ。俺はキレたら自分でも止められないんだ」

 彼女から笑顔が消えた。そしてこう言った。

「怖いわねえ。ということは前にそういうことがあったんだ?」「ああ。そうだ」 気が付いたら俺も表情が硬くなっていた。

「溜めないために言うように心がけたらどう?」

「それが出来ないから困ってるんだ! 出来たら既にやってる!」「そうそう、そんな感じで言えばいいのよ」

「これぐらいなら言える!」

「そんなことより、こっちに来い!」

 美奈子は頬を赤らめながら近づいてきた。


 そして俺は思う存分彼女を犯した。最後は中に出してしまった。凄く興奮していたので思わずそうしてしまった。出来てしまったらおろしてもらう。そう言うと、

「英ちゃん、酷いよ! 出来たら育てる!」

「お前に育てられるのか?」

「やれば出来る!」

「口だけは一丁前だな」

 言いながら俺は笑みを浮かべた。

「俺は子どもが嫌いだ。うるさいだけ。だから子育てはしないぞ」「いいよ、あたし独りで育てるから。ていうか、英ちゃんは人の命をなんだと思ってるの?」

 なかなかまともな女だな、凄くエロいけど、と思った。

「まあ、好きにしてくれ」

「あたし帰る! 英ちゃんがそんな人だとは思わなかった」

 俺はアハハと声を出して笑った。そしてこう言った。

「まだいろよ。第二ラウンドするぞ」

「嫌よ! もう冷めちゃった」

 俺は立ち上がりながら、

「もっと気持ちよくさせてやるからこっちへ来い!」

 と言って力ずくで美奈子を犯した。


 性行為を終えたあと彼女は泣いていた。

「嫌だって言ってるのに……」

「泣くなよ面倒くさい女だな」

 美奈子は俺を睨みつけながら下着と衣服を身につけ帰ってしまった。チッ! つまんねえ女。まあ、いい。もう寝るか。明日も仕事だし。そう言って俺はベッドに潜り込んだ。


 翌日、俺は仕事中に昨夜のことを思い出していた。それと同時に美琴さんのことを思い出した。久しぶりに彼女と遊びたいな。そう思ったので昼休みにLINEを送った。

<こんにちは! お久しぶりです。今夜会えませんか?>

 十分くらいしてから美琴さんからLINEがきた。

<うん、いいけど久しぶりねえ。いつ以来かしら>

 俺はすぐにLINEを送った。

<いつ以来かな、わかんないけど仕事終わって支度できたらLINEしますね>

<うん! わかった。連絡待ってるね>

 そう言ってLINEは終わった。出来れば美琴さんとも一戦交えたい。果たして受け入れてくれるだろうか。


 仕事は午後五時に終え、帰宅し支度を済ませた。腹減った。たまに回転寿司にでも行きたいな。言った通り、用意が出来たので美琴さんにLINEを送った。

<支度終わりましたよ。行っていいスか?>

 少ししてから彼女からLINEがきた。

<ごめん、今仕事終わって帰って来たところなのよ。少し待っててもらえる?>

<わかりました。因みにご飯は食べたの? 回転寿司に行きませんか?>

 支度しながらLINEを返しているんだろう、返信が遅い。

<いいわねえ! じゃあ、そうしよっか>

 俺の服装は、格子柄の半袖シャツを着ていて、青いハーフパンツを履いている。天気もいい。夏だから夕方になってもまだ空は明るい。


 そして暫くして美琴さんからLINEがきた。

<お待たせ! 現地集合にする?>

 俺はスマホで漫画を観ていたのですぐにLINEを返した。

<俺が美琴さんを迎えに行きますよ。俺の方から誘ったし>

<そう? わかった。じゃあ、待ってるね。気を付けて>


 俺はすぐに部屋を出て車に乗ろうとした時、こちらに向かってくる一人の女がいた。美奈子だ。どうしたんだろう。彼女をこちらを見ている。そして、

「さっきは、飛び出してしまってごめん。無理矢理犯されたのは嫌だったけど、最初にいいことしよ、と言い出したのはあたしだからあたしが悪い。だからこれからも遊んで?」

 俺は意外な出来事に驚いた。

「ああ、もちろんだ。俺も無理矢理犯して悪かった」

「ちょっと、お邪魔していい?」

 わざわざ歩いて来たのは何か意味がああるのだろう。

「俺、これから出かけるんだ。悪い。また今度にしてくれ」

 そう言うと美奈子は俯いてしまった。俺はこう言った。

「なにもわざわざ来なくてもLINEでよかったじゃないか」

 少しの沈黙の後に、

「いや、顔を見て話したかったから来たの」

「今日のところは送ってやるから帰ってくれ」

「わかった。ごめんね、急に来ちゃって」

「いや、大丈夫だ。今度からは連絡してから来いよ」

 美奈子は、

「英ちゃんが怒ってないみたいだからよかった」

 俺は、

「そんないつまでも怒ってねーよ。それより、家がわからんから教えてくれ」「あ、うん」 俺は道を教えてもらい古臭いアパートに着いた。でも、次からは美奈子のアパートに来れる。


「送ってくれてありがとう! またね」

「ああ、またな」

 彼女を送った後、俺は急いで美琴さんの住むアパートに向かった。十分くらい走り美琴さんのアパートに着いた。近くの広場に車を停め、車から降り彼女がいる部屋に向かった。部屋は二階の一番奥。チャイムを鳴らした。中から、

「はーい!」

 と大きく高い声が聞こえた。相変わらず美琴さんは元気。

「俺だけど」

 ガチャリと鍵を開ける音が聴こえた。ドアが開かれた。俺の顔を見た瞬間笑顔になった。可愛い、とは思うけど今は性行為の対象ではない。中学生の頃は性の対象だったが、今は違う。まあ、誘われたらしようと思うかもしれないけど。

「英ちゃんね? いらっしゃい! 入る?」

「うん、入ります」

 美琴さんは明るい笑顔をふりまいている。

「美琴さん、可愛いっすね!」

「ほんと? ありがとう! 嬉しい。英ちゃんも少し前と比べたらカッコいいじゃない」

「ほんとっスか? ありがとうございます」

 彼女は相変わらず笑っている。そんなに嬉しいのだろうか。訊いてみると、

「久しぶりに友達が来てくれたからね。友達というか、後輩か。それでも同じ」

 俺は言った。

「昼飯食いにいかないっすか?」

「わたしの手料理食べてくれない? 具材も余ってるし」

 俺は驚いた。手料理を振舞ってくれるなんて。

「面倒じゃないスか?」

「全然!」「じゃあ、食べたいです」

「炒飯作るけどいい?」

「あ、いいっスよ。ほんとはカレーライスも食いたいけど」

 そう言って俺は笑った。

「じゃあ、カレーライスと炒飯にする?」

 俺は驚いた。そんなに振舞ってくれるなんて。

「いいスか? 出来ればお願いします!」

「あいよ」 


 約一時間後。ご飯も炊けたみたいで、いい匂いが漂ってきた。カレーライスの香りと炒飯を炒める音が聴こえてきた。耳に心地いい。凄く美味しそうだ。俺は期待を膨らませて今か今かと待った。


 それから数分後、美琴さんは叫んだ。

「出来たー!」と。

「お! 早く食べたい!」

 彼女は汚れているからかスポンジに洗剤を染み込ませ洗っていた。俺は黙って見ていた。そして話しかけた。

「汚れてるのかな?」

 彼女は笑いながら、

「ちょっとね」

 と言っていた。

「そうなんだ、普段あまり使わないからね。恥ずかしい」

 俺はこう言った。

「そんなことないっすよ」

「そう? ありがとう」


 美琴さんは俺に訊いた。

「すぐ食べる?」と。

俺は、

「すぐ食べますよ! 待っていたから」

 彼女は笑いながら言った。「普通のカレーと普通の炒飯よ?」「それでもいいんです! 早く食べましょう!」

 俺は急かした。

「はいはい、ちょっと待ってね。今、よそうから」

 俺は食べたくて食べたくて仕方がなかった。


 美琴さんはカレーライスと炒飯をそれぞれさらによそった。彼女は、

「先に食べてていいよ」

 と言うと、俺は、

「いいんすか? 待ちますよ」

と言った。美琴さんは、

「いいからいいから。食べたくて仕方ないんでしょ?」

 彼女は笑っていた。なので俺は、

「じゃあ、お言葉に甘えて」

 言いながら先に食べ始めた。

「旨い! 辛さもちょうどいいし、コクがある! 炒飯も塩コショーがきいていてめちゃ旨い」 

 俺は五分くらいで完食してしまった。

「早いわね、ちゃんと噛んでる?」

「カレーは飲み物ですよ!」

 そう言うと美琴さんは吹き出していた。

「それ、よく聞く台詞よね」

「そうっすね! おかわりありますか?」

「炒飯のおかわりはないけど、カレーならあるよ」

「じゃあ、下さい!」

 言いながら皿を彼女に渡した。

「そんなにたくさん食べてくれると作り甲斐があるわ」

 二杯目をよそった後、彼女も食べ始めた。

「うん! 美味しいね!」

「でしょ! て、俺が作ったわけじゃないけど」

「アハハッ」

と目の前の美女は笑った。

 可愛い! 料理も出来るし。いい女だ。俺と付き合ってくれないかな。そうは思ったけれど、そう簡単にはいかないだろう。


 俺は訊いてみた。

「美琴さんは今、彼氏いますか?」

「いないよ」

 彼女は不思議そうな顔をして俺を見ている。俺は、

「そうですか、いや、美琴さんは可愛いから彼氏いるのかと思った」

 美琴さんは苦笑いを浮かべながら、

「何も可愛くないわよ~、でも、そう言ってくれて嬉しい」

 俺は、

「いやいや、本当のことですから」

 そう言うと、

「ふふっ」

 と笑った。そして、

「お世辞でも嬉しい」

 うーん、俺の気持ちが伝わらないなあ。

「お世辞じゃないですよ」

「そっか、ありがと」

 何か、簡単にあしらわれた気がするな。年下の俺に言われても嬉しくないかな、嬉しい、とは言ってるけど。


 カレーライスと炒飯をお互い食べ終わった後、美琴さんは俺に近付いてきた。どうしたのだろう? と思い、

「ちょっとの間でいいから抱きしめて欲しくて」

「どうしたんですか? いくらでも抱きしめますよ」

 そう言って俺は美琴さんを優しく抱き寄せた。

 暫く沈黙が続き、彼女は喋り出した。

「実はね、先月、両親が交通事故で亡くなったの。正面衝突だったみたいで避け切れなかったみたい。わたし、悲しくて哀しくて……。一晩中泣き続けたわ……。今になってそれを思い出しちゃって。ごめんね、こんな話言われても困るよね。聞いてくれるだけでいいの。何かして欲しいわけじゃなくて。だけど、一度だけでいい。わたしを抱いて」

「……そんなことがあったんですね。それは大変でしたね。実は、実は俺も美琴さんを抱きたいって思ってたんですよ。でも、そんなこと言って軽蔑されたら困ると思って言わなかったんですよ。抱きます。シャワー浴びて来て下さい。俺も、後から入りますから」「……わかった」

 美琴さんが浴室から上がったあと、俺も浴びた。そして、美琴さんを抱いた。

「美琴さん……。俺、実は、美琴さんのことが好きなんですよ。俺じゃ、俺じゃだめですか?」

 彼女は大きく首を何度も上下に振った。そして、

「わたしでよければ……!」

 美琴さんは凄く感じているようで、思い切り喘ぎ声を上げた。「付き合ってくれるんですね? ありがとうございます!」

 俺は彼女の体が壊れるくらい強く抱きしめた。

「ああ……美琴さん。……愛してる」


 俺は彼女を抱いた後、余韻に浸っていた。美琴さんの顔を見ると、目を瞑って寝ているかのようだった。目を開いた彼女は、

「ありがとね、英ちゃん優しい。わたしはようやく優しい人に巡り合えた気がする。今までの元カレは慣れてきたら酷い男ばかりだったから」

 俺は、

「そうなんだったんだ。大変な思いをしてきたんだね」

 俺は美琴さんと交際を始めたということもあり、自然と口調がため口になっていたことに気付いた。

「俺は美琴さんを悲しませるようなことは絶対しない! そこは信じて欲しい」

 彼女は大きく頷きながら、

「うん。信じてる。だから、交際することにしたんじゃない」

 美琴さんの目を見ると涙で潤んでいた。流れ出る涙を俺は人差し指で優しく掬った。彼女は微笑みながらこちらを見た。

「そうだよね。俺も美琴さんのような優しくて純粋な女性と付き合うことが出来て光栄だよ」

「ほんと? ありがと。そう言ってくれると凄く嬉しい」

「これからは俺は前の男達とは違うから楽しく過ごそうよ! そして、不安なことがあったらすぐに言って? 俺が出来る限り解決出来るように頑張るから」

「わかった。今、言ったことも信じるよ?」

 そう言われて俺はこう言った。

「もちろんだよ。信じてね」

 こうして俺と大谷美琴は交際をスタートさせた。たまには喧嘩をすることもあるかもしれないけれど、それに寄ってお互いのことを知ることが出来ると思うから喧嘩は必要なことかもしれない。これからどんな苦難が待ち構えているかわからないけれど、そういう時はお互い協力し合って乗り越えようと思う。


                           了



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