柚葉と一緒に帰路についた。
「それじゃあ、また学校で」
「うん」
帰りは殆ど会話はなかった、でもこれでいいのだ。
柚葉は俺が守っていけばいい、それが尽きるまで。そうすれば多少は朧に追いつけるかもしれない。
「ただいま」
「お帰り、どこ行ってたの?」
「ちょっと花を手向けに」
「お墓参り?」
「まあ、知り合いの」
「そう、勉強頑張って」
「分かってる」
両親が俺に期待しているのは、一流の大学入学に入学すること。それを知っていても俺がとる選択は変わらない。
翌日。
学校でいつも通り授業を受けて昼食をとろうとすると、柚葉が珍しく昼食に誘ってくれた。
「一緒にご飯食べるのも久しぶりだね」
「そうだな」
俺達が昼ご飯を食べる時は、空き教室で誰にも邪魔をされない空間で二人でご飯を食べるのが恒例だった。
それも、元々は教室に居ずらいだろうと思い俺が提案したことだが、それが恒例になってしまった。
「それで何か用か?」
「え?」
「いや、今わざわざ一緒に食べなくても食べる相手はいくらでもいるだろう」
「まあ、友達はいるけど今日は一緒にご飯食べたかったの」
「そうか」
それから、色々な話しをした。お互いの近況報告だったりをしたりして話題は進路についてになった。
「柚葉は高校卒業したらどうするんだ?」
「私は大学進学だけど、彦真もそうじゃないの?」
本当のことを言うか迷ったがまあ皇護について話さなければ大丈夫だろうと思った。
「実は海外に行くんだ」
「どこ?」
「分からない」
「何それ、旅でもするつもり?」
「そうだな、親にもまだ話してないけどな」
「何も言わないで行くつもり?」
「そうだな、親には悪いが」
「心配するよ」
「分かってる、でも親はまだ俺が大学行くと思ってるし、それが望みって分かってるからそれを無下にはできないよ」
「彦真は行動力があるよね」
「そうだな、まあそれが今の俺の長所だ」
「いいね、私は好きだよ。そう言うところ」
「急になんだよ」
「だって海外に行くなら今みたいに気軽に話せないから、思いついたら気持ちは言っとこうと思って」
「電話でもなんでもできるだろ」
「顔見て言いたいじゃん」
「そういうもんか?」
「そういうもの」
「そうか」
卒業まであと二ヶ月、冬休みを抜けば学校に行くのは実質あと一か月弱だ。だから日本にいるうちに何もないと良いが。