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第30話久遠明焔

「なにこの音」

「柚葉、お前はここに居ろ」

「え?ちょっと」

俺は困惑する柚葉を置いて行き、爆弾が起きた場所まで走る。

周りは困惑したいたり、悲鳴を上げるながら逃げ惑う人が多くその中で現場に向かうには苦労したがそれでも行かなければいけない。

人混みを避けながら現場に向かうと、複数の人間が刀や拳銃、バズーカ、弓矢、斧、槍など数えているだけでも時間がかかりそうな種類を持ち人々を襲っていた。

武器を持ってる奴は軍服を着ている人間だった。

前までは軍服などは着ていなかったのでなにか状況が変わったのかもしれないが、今俺は無銘も村正も持ってきていないので素手で戦わないといけないと言うことは、彦齋の力を借りることも村正の呪いを使うこともありできない、ただそれでもこの事態を収めないといけない。


まずは遠距離を潰す。

背後から襲った、俺は駆け出した。

一気に間合いを詰め、腕で首を絞めつけて一人を始末した。

「なんだお前は」

「皇護だ」

「たった一人でこの新維新志士の幹部を相手にできると思うなよ」

相手はあと六人だが拳銃を構えた、一人に銃撃される。

「く…」

「終わりだ」

一人が刀で俺を斬ろうとした瞬間、俺の前に見慣れた二刀流剣士が立っていた。

「おい、いくら相手が幹部だろうと皇護としている以上易々とやられるのは許さないぞ」

「武蔵さん」

二刀流剣士は相手を二本の日本刀で銃弾を弾きながら、新維新志士の相手をするが援軍はまだいる。

「神崎君、まだいけるよね」

「沖田さん」

「僕だけじゃないよ、援護に織田もいる君は一人で戦うんじゃない。これを持った日からそうだったはずだ」

沖田さん、が持っていた二振りの日本刀。

そのうちの一本、無銘。

これを持った日から俺は変わった、そして村正俺はこの先代の持ち主の意思を継いで戦う。その中に俺には仲間がいる、その仲間と共に戦うんだ。俺は目先の目的と迷いに揺らいでいた、だが今やるべきことは新維新志士と戦うことだった。

「もう迷いは消えたかな?」

声の主は龍馬さんだった。

沖田さんがこっそり俺の耳にイヤホンをつけて、去って行った。

「僕が余計な未来を話したことが神崎君を迷わせていたんだね」

「分かってます、でも俺が行く未来は変わりません。でも今は目の前のことに集中します」

「そうか、じゃあいつも通り頼むよ」

「はい」


俺は無銘を持ち、戦う。

「仲間や剣を手にしたところでなにも変わらないぞ」

「そうかな?」

俺は今まで使った技を使えば何も苦戦することはなかった。

ただ一人、立ち何もせずに真っ赤の軍服を着た男だった。

良く見れば、他の新維新志士達はその赤い軍服を着ている男を守りながら戦っていた。

「沖田さん、武蔵さん、織田さん、多分赤い軍服を着た奴を守りながらあいつらは戦ってます」

「なるほど、じゃあ俺達が周りをやるからお前はその赤い軍服をやれ」

「分かりました」

抜影。

この技は一瞬で相手との距離を詰め、足元に光の残像を残す程の速度を誇る。

この抜影を使い赤い軍服を着た男の元に行き、一瞬で無銘を振り下ろす。

ただ、俺は確かに刀を振ったはずだった。でも赤い軍服を着た男に当たるどころか触れるこすらできなかった。

「どう言うことだ?」

「これは結界だ、二人の偉人に干渉できることは知ってる。君は面白いな」

この男を守る奴らがこの隙を見逃すわけもなく、背後から俺を斬ろうとする。

「久遠様から離れろ!!」

それを沖田さんと武蔵さんが止めた。

「おい、神崎。何やってるんだ速く仕留めろ」

「でも、これ以上刀が」

「無駄だと言っている、お前らが結界を破壊することは不可能」

俺は何度も久遠と言われた、奴は周囲に張った結界を何度も斬るがそれは意味を成さなかった。

「何度もやるさ、そのための刀だ!!」

「はっ!!」

久遠がそう言った瞬間に俺は刀をはじき返されただけじゃなく、体も吹き飛んだ。

「なんだこれ」

刀を持った手に力が入らない。

「俺は久遠明焔、新維新志士のトップだ」

「お前が」

「俺の目的は日本を変えることだ」

「変える?」

「ああ、一度腐りきった日本をリセットする」

「なにをするつもりだ」

「日本いる全ての日本人のエネルギーを使い、業火を灯す」

「そんなことしたら、全員死んでしまう」

「それは承知の上だ、だからその業火に耐えられた由緒正しい血筋の人間だけで日本を作り変える」

「ふざけんな!!」

俺はまた抜影を使い久遠に刀を向けるが久遠は、それを凌駕するほどの速さで消えた。

「こっちだ」

声は背後から聞こえた。

振り返ると久遠がいた。

「俺はこれから、その計画を進める為に必要な核を持っていくぞ」

核?なんだそれは。そう思った瞬間に久遠の背後の影から出てきた奴が柚葉を抱きかかえていた。

「柚葉!!」

柚葉は眠っていた。

「無駄だ、朧の妹を核にするんだ」

「何を言っている」

「この娘は今の日本人の中で最もエネルギーを秘めている」

「だから、何を言ってるんだよ!!」

「詳しくは自分達で考えろ、皇護として」

そう言った瞬間、久遠の周囲に張った結界が段々と小さくなり久遠は消えて行った。

「柚葉!!」


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