未来先輩が明日から働けるように、早速、内線で人事部長と総務部長と秘書課課長を呼び出す。
3人が揃って副社長室に入ってくる。
3人とも未来先輩を見て怪訝そうな顔した。
そんな事はお構いなしで未来先輩の紹介をする。
「こちらは佐々木 未来さんです。
明日から佐々木 未来さんを僕の第1秘書にします。
条件はコレで!!」っとパッドの画面をみせる。さっき数分で作成したものだか、待遇は部長クラスを超えている。パッドを見て‥‥‥‥
「ですが‥‥‥‥。」っと人事部長が言うが遮り
「社長の許可は得てきます。その間に手続きをお願いします。」っと言い部屋を出る。
社長室に急ぎ足で向かい扉をノックする。
「どうぞ。」っと社長秘書の声がする。
「失礼します。」俺の顔を見て父親は驚いている。めったに社長室には来ないからだろう。何かやらかしたと思っていそうな雰囲気がする。
「どうした??」父親が心配そうに聞いてくる。
俺は秘書に目をやる。それに気づいた父親が
「外してくれ。」と秘書にいう。「かしこまりました。」っと秘書が部屋から出ていく。
「さっき、兄ちゃんの友達の佐々木未来が訪ねてきた。」
「なんだって!」父親は椅子から立ち上がる。父親は兄ちゃんの事を知れると思ったんだろう。
「兄ちゃんの事は何もしらなかった。」首を振って言った。
「何もか?」
「あぁー。」
父親はため息をつきながら椅子に座る。
「ふー。じゃー何しにきた?」
「兄ちゃんから俺を助けてやってくれ!って連絡があったらしい。」
「れ!れ…。稜輝と連絡が取れるのか?」興奮して大きな声で言う。
「いや‥‥‥非通知でかかってきて‥‥連絡は取れないらしい。」
「そっかー。」あきらかに落ち込む父親。そんなに落ち込むなら認めてやれよ!!!叫びたくなるのを必死におさえ本題を伝えた。
「明日から未来先輩を俺の第1秘書で雇う。」
「何だとー?!」父親には寝耳に水だったのか、怒りで顔が赤くなり少し震える。
こうなると冷静に話した方が勝ちだと思い勝利を確信した。
「未来先輩は兄ちゃんと肩を並べるぐらい優秀だ!知ってるだろう?」
「あぁー。しかし‥‥‥‥」項垂れながら葛藤してる様子がみてとれた。
未来先輩がゲイである事が引っかかるんだろう‥‥‥‥。もう、一橋商事はそんな事を言ってられないって事がわかってるんだろうか??おそらく、わかっているが認めたくないのだろう。
「今のままだと一橋商事は衰退する。未来先輩の力がいる。絶対にな。」父親の目をみる。
「‥‥‥‥‥。そうだな。‥‥‥‥‥龍輝、お前は女が好きなんだよな??」
「あぁー。大丈夫だ。」今更、何の確認をしてるのかとイラッとする。
「よし。分かった。明日からお願いしよう。」
「ありがとうこざいます。 社長。」最後だけ社長をつけて言った。
頭を下げて社長室を出る。
フフフ。未来先輩以外‥‥‥女も男も好きになった事なんかない。バカな親だな‥‥‥‥っと1人でニヤつく。
ニヤついた顔をもとに戻して自分の部屋に入り「社長の許可は得た。明日から佐々木未来が僕の第1秘書です。」っと部屋にいる全員に宣言する。
「明日は朝イチから会議をします。各部長・課長は全員出席の手配をお願いします」とだけ伝えて‥‥先輩以外の者は部屋から出した。
はぁー。怒涛の数時間だったな数時間前まではこんな事になるなんて考えられなかった。
ふっと思った事を声に出してしまっていた。
「なんで、兄ちゃんはプレゼントに未来先輩を選んでくれたんだろう?」
「そんなの簡単だろ!」いたずらっ子のように笑う。
「簡単?わかるの??」
「あぁー」先輩が笑う。
「なんで?」
「知りたい?」
「知りたい。」
「龍輝が俺を好きか‥‥‥‥‥」
「はい??なっなっ何言ってんの?」ビックリして、ちょっと噛んでしまった。
「まだ、続きがある。」
「続き?」
「龍輝が俺を好きか、俺が龍輝が好きか‥‥」
「はぁ!!」余計に分からず声が大きくなる。
「稜輝はそういう事には敏感だから外さない。だから、絶対に、どっちかが好きかーどっちも好きかーだな!」ニッコリ笑って言う。
「しょうもない事を言わなで下さい。」
「照れちゃって‥‥‥‥。まぁ、稜輝がつくってくれた再会を祝ってー飲みに行こう!」
また、手をひっぱって部屋を出ようとするので止める。
「ちょっ。待ってください。明日の会議の前までに資料に目を通して下さい。」
「大丈夫!もう頭に入ってる!!」右手の人差し指でこめかみをトントン叩く。
「だから!行くぞー」っと俺を引っ張って部屋から出ようとする。また、止める。
「待って。帰る準備しますから!」
「わかった。3分でして。」
「わかりました。」っと言って‥‥‥帰る準備を急いだ。