会社に戻ってからも心ここにあらずで、明日からの熱海旅行の事で頭がいっぱいだった。未来が予約してくれいる旅館のホームページをパソコンで見ている‥‥‥‥‥‥「おぉっ」っと思わず声が出る。
「どうした?」仕事を進めていた未来がパソコンの画面から顔をあげて聞いてくる。
ヤベッ。未来は俺も真面目に仕事を進めていると思っているだろう。ここは冷静に答えよう。
「別に。」パソコンから目を離さずに答える。
「そっかー。」っと何も気にしてないように未来が言う。
フー。バレてない!セーフ。
「ここのホテル、部屋付きの露天風呂良さげやな?」
「あぁー。すごいよな。」
あァァァァァァァァァ。返事してから気づいた!嵌められた。
未来がニヤニヤしながらこっちを見てくる。
「旅館を調べてたかー。可愛いヤツめ!」
敢えて何も反応せずにコーヒーを飲む。
「心配しなくても一緒に入ってやるからな!」ブッー!コンコンコン。あっぶなーコーヒーを吹き出すところだった。
「心配してぇねぇーし。」
「フフフ。一緒には、入るんだ!」未来がニヤニヤして近づいてきて後から耳の横に顔を近づけて「楽しみだな。」っと1言だけ言って、また自分の席に戻る。
バァ!!っと一瞬にして顔が赤く熱くなるのがわかった。
「ぁ‥‥‥‥。うん」っと小さな声で答えると、歩き初めていた未来は振り返って微笑む。
その後も、懲りずに熱海の観光地をせっせっと探していた。
大木を見に神社に行くのも良いし、陶芸も良いし‥‥‥‥‥‥ペアリングが作れる場所を見つけた。イヤイヤ‥‥‥‥‥男2人ではムリだよな。カップル・女子旅にオススメだと書いてあった‥‥‥‥。
定時が過ぎた頃に未来が声をかけてくる。
「今日は帰るかー。誰かさんが全然、仕事をしないからなー。」
「‥‥‥‥‥‥。うん。帰ろう。」パソコンを切り、帰り支度をしているとスマホが鳴る。
画面を確認すると兄ちゃんだった!!
「あっ。兄ちゃん達に見合い結果を言うのを忘れてた!!」
って電話をとる。
「もしもし。兄ちゃん?ごめん。連絡をするのを忘れてた。見合いは上手く向こうから断ってもらう事になった。」
「始めから上手くいくとは思ってたけど、連絡ないからモヤモヤしたぞ!!」
「ごめん。」
「上手くいったお祝いに家に未来と来いよ!」
「うん。丁度、帰ろうとしてた所。」
「そっかー。じゃぁー待ってる。」
電話を切った後に未来に「兄ちゃんが家に来いって!」って伝える。
「おぉう。行こう。」って答えるも一瞬、顔が曇ったように見えた。
「ごめん。嫌だった?」
「ハァ?全然。なぜだ?」
「嫌じゃないなら良いんだ。顔が一瞬、曇った気がしたから。」
「フッ。良く見てるな。明日からの熱海の事は絶対に2人には言うなよな!!」
「えっ。どうして?」
「言ったら、アイツら付いて来そうだからな!!せっかくの旅行は2人で行きたいだろ?」
「あっ。‥‥‥‥うん。」
「だったら言うなよ?」
「わかった。」