イルタはカリオとボンに向けていた視線を、光の竜巻の方へ向ける。
「……中から感じる同族の気配は君の身内か。以前、君と戦った時に同様の気配を感じたのは気のせいではなかったようだな」
カリオの
「っの……ざっけんなコラァ! 犬の後ろから何かましてくれとんじゃワレボケコラァ!」
「バ、おま、バカ!! 待てお前マジで待て!!」
「隣のもう一機は……バトルポメラニアンか? 私と同じように、この時代までコールドスリープしていた個体のようだな。ふむ、君達はあの中に
「――まあ、事情を知ったところでどうというわけでもない。さて」
赤い機体の胸の奥から感じる視線の圧力が一気に増す。反射的にカリオとボンは姿勢を低くして、構え直す。
「
まだ銃口も向けられていないにもかかわらず、カリオとボンは血肉を
「待った! イルタさん待って!」
その場に、男の声が降ってきた。
突然、イルタのフライデのすぐ隣に、
(なんだ!? 接近に全く気付かなかった……!)
「ゴメン! ほんとにゴメンなんだけど、この人達殺すのは待って!」
「……どうした? シャマス」
先ほどまで空間を
「シャマス……って言ったか?」
カリオが思わずそう口にするのを聞いたシャマスが、カリオ達の機体の方へ向き直る。
「あ、いや、お久しぶりです! 覚えてます? 僕のコト。えっとホラ、モリオカタウン
「お前にハメられて大変だったんだよな。ウド・エバッバ、いや……シャマスってのは本当かよ」
カリオにそう答えられて、シャマスは気まずそうに苦笑いしながら
「あはは、ハメたワケじゃ……どうやったかわかりませんけど、僕がイニスアの
「お前も彼と知り合いかシャマス」
イルタからの問いに、シャマスは苦笑いしたまま
「以前、あの人の仕事現場に出くわしたことがあったんです……これも何かの
「……おまえ、ここに用事があるとか言っていたが、その用事というのは――」
「このお兄さんと
その言葉にカリオは
「……アイツがおまえの妹だってのはホントなのか」
「直接の血縁関係ではありません……ん? でも
シャマスは自身の後ろで吹き
「まあ、直接会った時間もそんなに多くないし、〝家族〟と呼ぶには
「……この竜巻をどうにかする方法があるのか」
言いながらカリオは、この男を信用していいものか判断できずにいた。以前に
「エシュルと僕の〝能力〟については聞いていますか?」
「……ああ、生身でエメトを操作できるらしいな」
「ええ。まず僕の力でこの竜巻を形成しているエメトに
カリオが
「完全に
「カリオ・ボーズだ」
「僕がある程度、エメトの動きを鈍らせた後で、カリオさんに〝直接エシュルに
「……? マヨに直接接触? そんなことが出来るのか?」
「エシュル……いえ、貴方の前ではマヨと呼んだ方が良さそうですね。この現象、十中八九マヨが望んで起こしたものではなく、別の人間が強引な方法で発生させてるいる。その状況下で、恐らくマヨは貴方がたが近くにいると認識し、
「マヨが……俺達を?」
「この辺りで感じ取れるエメトの量を考えるとまだ小さいんですよ、この現象。この
「受け入れる?」
そこまで言うと、シャマスは言いづらそうに
「……カリオさんにはこの竜巻の中に飛び込んでもらいたいんです」
(マヨ・ポテトの災難EX㉔ へ続く)