エイムに村長の家で待ってもらっている間に、ギンはルルー達を呼びに村中を歩き回った。
それから少しばかり時間が立つとギンがルルー達と共に村長の家に戻って来る。
「改めてお邪魔します」
ギンの声が聞こえ、エイムが反応を示す。
「ギンさん、皆さん、お疲れ様です。あれ?ミッツ教徒の方と傭兵団の人達は?」
「彼らにはまだ支援物資の配布をしてもらっているわ。それに大人数じゃ入りきらないでしょう」
ルルー達がやって来たことで村長がルルーに話しかける。
「シスター様、この子が魔物の毛を持っていたのですじゃ。アル、シスター様に毛を渡すのじゃ」
村長に促されてアルはルルーに魔物の毛を渡す。
「ありがとう。それじゃあエイムお願いね」
「はい。村長さん、このテーブルを使わせてもらっていいですか?」
エイムの問いに村長が返答する。
「どうぞお使いください」
「それじゃあ始めます」
エイムはそう言うと魔物の毛をテーブルに置き、集中して呪文の詠唱を始める。
「古より天と地を司りし者の眷属よ、我が力を糧に我の望みに応えよ。かの物体に宿りし力の根源が在りし地を我に示し給へ」
エイムの周りが眩く光、その場にいる人間は思わず目を覆う。そしてしばらくすると光が消え、エイムが一同に話す。
「皆さん、魔力の根源の場所が分かりました」
「それはどこだ」
「方角は西の方で距離はそうですね歩いて数刻ってところですね」
その話を聞いて村長がその場所の説明をする。
「森の奥に魔物を操っていたものがいるということになりますのう」
村長の話を聞いてギンがルルーに話す。
「ルルー、再び魔物が来る前に操っていた奴を倒しに行こう」
「そうね、私とムルカ様、ギン達も来て」
「当然だ。ミッツ教徒と傭兵団は?」
「彼らにはこの村の防衛を任せるわ」
そう言ってギン達も森へ行く準備を始めようとしている時、アルがギンに声をかける。
「なあ、にいちゃん!」
「何だ?」
「絶対、そいつをやっつけてくれ、本当は俺がそいつをやっつけて父ちゃんの仇を取りたいけど、俺じゃあ無理だから、にいちゃんにお願いしたい」
「任せろ、そいつを倒してこの村の脅威を取り払う」
ギンがそう言ってルルー達と共に森へ向かう準備に行くと、エイムがアルに話す。
「ギンさん……あの人は約束を守る人です。私の時もそうでしたから」
「ねえちゃん、にいちゃんに助けてもらったのか?」
「はい、それに私だけじゃなく会った人の為にいつも何ができるかを考えてくれます。そんな人なんです」
「そう……なんだな」
エイムの言葉がアルにも突き刺さりギンが魔物を倒すことを期待せずにはいられなかった。