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手負いの海の男

 ギン達はボガードの家にボガードより呼ばれて家の中でボガードに対して依頼内容を話そうとしていた。


 ルルーがその依頼内容を説明していた。それは帝国軍の目につきにくい民間船を使用し、迂回しながら補給拠点のある小島に上陸し、施設の無力化をはかるというものだ。


「……以上のような作戦を我々は考えており、ボガードさんより船を貸していただけないかと思っております。もちろん、船に何かしらの損害が生じた場合は補償をさせていただきます」

「なるほどねえ、俺達としても帝国が海でえばっていたら商売あがったりだからな、どうにかしてえところなんだが……」

「やはり、ご自身やお仲間を危険にさらすことには躊躇されますよね、ですが船さえお貸しいただければ我々が作戦を実行するのでそこはご安心ください」

「いや、ちょっと待ってくれ!俺達は海の男だ、自分てめえの身可愛さにたじろぐ奴は1人もいねえ!」


 ボガードはギン達に対し、強い言葉を発するが、次の瞬間自らの状態について話す。


「ただ、俺じゃああんたらの期待に応えられそうにねえんだ」


 そう言って、ボガードは自らのズボンの裾をめくり、すねにある大きな傷を見せる。


「その傷は⁉」

「そもそも俺はこの怪我がもとで傭兵を廃業して今の仕事を始めたんだ。昔の人脈でな、俺はほとんど裏方みたいなもんで、あいつらが船の操舵なんかをやっている」

「ボガード殿、俺は今傭兵をやっています。今のあなた方の仕事が荷物を運ぶことなら、俺達の仕事は目の前の敵を叩くことです。だから船さえ貸していただければ、俺達があなた方の仕事も守ります」

あんちゃん、若えのにまるで多くの修羅場をくぐったような目をして、大層なことをいいやがる。あんたらにならちょっとあいつを貸してもいいかもな」


 ギンは一瞬戸惑い、キョトンとした表情を見せた。


「あいつ?」

「ウィル!お前も話を聞いていたなら、この人達に手を貸してやんな!」


 同じテーブルで話を聞いていたウィルは思わず驚き尋ねてしまう。


「お。俺か?どういうことだよ親父⁉」

「お前が力を貸すんだよ!何を聞いていたんだ!」


 唐突に息子のウィルに協力するよう言葉を発したことにルルーは戸惑い、真意をボガードに聞く。


「あのボガードさん、どうして息子さんに?」

「こいつは操舵の腕前がいいし、たまには大きな仕事を経験させてやるのも悪かねえ」

「で、ですが……」

「それによ、こいつは渡航に役立つ能力を持っている。なんせ海の声が聞こえるからな」


 ボガードが話す海の声が聞こえるという言葉の意味は?

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