ジエイが港町アイル内の調査、ヨナ達傭兵団が街中で行商をする為にギン達と別れて行動を行い、残されたギン達は催し物が行われる広場へと向かっていた。
広場に到着すると人だかりが多くあり、ブライアンが言葉を発する。
「お、随分人がいるなあ、今からは何をやるんだ?」
ブライアンの言葉を受け、ミニルが近くの張り紙に目をやり、演目を読みあげる。
「待って下さい、もうすぐお芝居が始まるようですね」
「芝居?どんな内容なんだ?」
「えっと剣士と魔術師が力を合わせて邪龍を退治するお話のようですね」
邪龍という言葉を聞いてギンが反応を示し、ミニルに尋ねる。
「邪龍⁉まさか邪龍の伝承がもとになっているのか?」
「ごめんなさい、私はそこまでは分かりません。そもそもその伝承も分からないので」
ミニルの問いを聞いてギンはムルカに尋ねなおす。
「ムルカ殿、以前ジエイの国にも断片的に伝承は伝わっていたようですが、この張り紙を読む感じじゃプレツに伝わっている伝承の内容に近いようですが、これは一体?」
「ふむ、ミニル殿、この芝居の一団の出身国は分かるか?」
ギンの疑問を聞いて、ムルカはミニルに芝居の一団について問いなおしミニルが返答をする。
「はい、このミックサック団という一団は国内を中心に活動をしているようですが、ブロッス帝国の本格侵攻が始まる以前は他国での公演も積極的に行っていたようです」
ミニルの言葉を聞き、ムルカは1つの可能性を導き出す。
「おそらくミックサック団とやらは各国に伝わる伝承を断片的に集めそのような物語を構築することができたのであろう。邪龍の存在は当時の人々に多くの衝撃を与えたことが容易に想像がつく。可能な限り情報を集め記録を残していったのであろう」
「それらを繋ぎ合わせたのがこの芝居というわけですか」
「ギン殿、この芝居を観るか?」
「ええ、さすがに全てが事実ではないでしょうが、こうやって形として見られるのはありがたいですね」
ギンの言葉を受け、他の者が言葉を発する。
「ギンさん、私も観たいです。邪龍の伝承も気になりますが、お芝居を観たことがないので」
「ま、退屈はしなさそうだな」
「私も観るわ」
「俺も観よっと」
一同の意思が観るという方向に一致すると、ミニルが広場にある舞台の方を見るよう一同に促す。
「皆さん、そろそろ始まりますよ」
ミニルがそう言うとギン達は舞台の方に目をやり、役者たちの登場を待つ。
果たしてどのような芝居が展開されるのか?