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岩と土を操りし者

 ミックサック団の護衛のさなか、ピッキーと名乗る魔物と相対するギン達。そのピッキーに対しギンは言葉を放った。


「さっきの土人形程度で俺達を倒せると思ったら大間違いだぞ」

「大間違いはあんた達だよ、あたいの力はこんなもんじゃないよ」


 そう言ってピッキーは呪文の詠唱を始める。


「土と岩に宿りし魔の力よ我の求めに応じ給へ」


 ピッキーが呪文の詠唱を終えると岩と土が融合しあらたな魔物を複数体生み出した。


 誕生した魔物は巨体を震わせギン達に接近する。ジエイがその魔物を見て思い出したことを話す。


「ギン殿、あれはゴーレムという魔物です!体も固く力も強いので注意しなければ」


 ジエイの言葉を聞いたギンは一同に呼びかける。


「みんな!馬車をできる限りこいつらから遠ざけろ!こいつらは俺達が食い止める」


 ギンの言葉を聞いたブライアンがムルカに話しかける。


「ムルカの旦那、ループを頼むぜ」

「ブライアン殿⁉どうするのだ?」

「俺もギン達とあのデカブツを止める」

「分かった。ループのことは任せろ」


 ギンの言葉を受け、ムルカを始めとした者達が馬車を遠ざけていく。それを見たピッキーが別の手を用意する。


「おっと逃がさないからね」


 魔法で先程の土の魔物を生み出し、馬車が逃げようとした方向から挟み撃ちを試みる。


 馬車を御していたルルーが咄嗟に馬車を停車し、団長に尋ねられる。


「どうしたのだ⁉」

「逆方向からも魔物です……」


 ルルーは今の状況をどう打破するかを思案していた。ただ殲滅するだけならば簡単ではあるがミックサック団の者達を守りながらこれ程の数の敵と戦い抜くのは難しいと、自分達はともかくミックサック団より1人でも死傷者が出てしまえば魔物を殲滅しても護衛は失敗であるという事実があるからだ。


 ルルーが悩んでいる中、ヨナも馬車の中でぼやいてしまう。


「あたしの弓じゃ、無生物を眠らすことはできない」

「こうなったら残り全員であいつらにぶつかるしかないか」


 ウィルももはや玉砕覚悟で臨む以外にミックサック団を守る方法がないと考えてしまう。


 そんな中、ギン達と魔物達の戦いの様子に少し離れた場所から気付いた者達がいた。


「カイス様、向こうの方で戦闘が行われているようです」


 その一団とはブロッス帝国の魔導騎士団であり、副官のトーラスが団長であるカイスに戦いが行われている様子を報告する。


「どういうことだ?トーラス、望遠鏡で何者が戦っているか確認しろ」

「はっ!」


 トーラスが望遠鏡をのぞくとギン達、そしてピッキーが率いる魔物達の姿を確認しカイスに報告する。


「どうやら、例のギンという魔法剣を使う剣士達と魔族の者どもが戦っているようです」

「何⁉奴らがか」


 カイスとトーラスが話していると更に別の者が口を挟む。


「カイス様、これはまたとない好機です。奴らも魔族も我らにとっては目障りな存在。戦闘が決着次第我らが勝ち残っている方を始末すれば今後の憂いは大きく減らせるでしょう」


 口を挟んだのは魔導騎士団の一員であるプラナであり、プラナの言葉を受けカイスは何か気になったのかトーラスに声をかける。


「トーラス、私にも望遠鏡を渡せ」

「はっ!」


 トーラスより望遠鏡を受け取ったカイスは望遠鏡をのぞき様子を確認し、確認し終えるとプラナに声をかける。


「プラナ、お前も望遠鏡で見てみろ」

「は、はい」


 戸惑いながらもプラナは望遠鏡をのぞき、更なる事実に気付きカイスに告げる。


「カイス様!奴らは民間人と行動を共にしているのですか?」

「うむ、理由は分からんがそのようだ、その民間人を守りながら戦っているようだな」


 カイスはその事実をプラナに伝え、ある決断をする。


「トーラス、プラナ、我らも奴らに加勢し魔族を討伐するぞ」


 カイスのこの決断の真意とは?

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