魔導騎士団長カイス、副官のトーラスと別れ、魔導師団の魔術師アビィと合流する為、プラナは魔導師団の使者と共に合流予定場所へ兵を引き連れ向かっていた。陣らしきものを構えているのが見え、プラナは使者に尋ねる。
「あの陣か?」
「左様にございます」
使者が先に陣へと入っていき、中にいるであろうアビィに声をかける。
「アビィ様、魔導騎士団のプラナ様がお見えにございます」
「うむ、通せ」
「はっ!プラナ様、こちらへお入りください」
使者に促され、プラナは陣に入り、早速アビィに挨拶する。
「魔導騎士団プラナ、騎士団を代表し、参上いたしました」
「よくぞ来てくれた、ところでカイス団長はいかがした?」
「カイス様は現在作戦行動中の為、私が助力すべく参上いたしました」
「まあ、良い早速貴殿にも軍議に加わってもらうぞ」
アビィは陣に用意してあるテーブルにプラナ、並びに他の将にも座って軍議に参加するよう促す。
軍議の参加者が座ったところで、早速アビィが作戦の説明を始める。
「では今回の作戦内容を説明する。現在このピトリ国に反帝国同盟の特使が来ており、その特使と行動を共にしているエイムという魔術師を帝都まで連れて行くのが本作戦の目的だ」
アビィの言葉を聞き、プラナが質問をする。
「少し、よろしいでしょうか?」
「何だ?申してみよ、プラナ卿」
「その魔術師を何の為に、帝都まで連れて行く必要があるかの説目を願います。我らはその者を敵と認識し戦っておりました。今になって何故連れていく必要があるかの説明はお願いします」
「今後の帝国の為、あの者が必要だというエンビデス様のご判断だ」
ますますプラナは疑問が深まり、更にアビィに尋ねる。
「しかし、彼女が我々に協力するとは私には思えません、何か説得の材料でもあるのでしょうか?」
アビィの考えとしてはエンビデスの部下がエイムの両親という事を打ち明ければ協力すると踏んではいるがまだ確証もないため、そのことは伏せ、プラナに言葉を放つ。
「それは貴殿が考えることではない、そこは我々に任せ、貴殿らは捕らえる協力を頼む」
その言葉でプラナは黙り、更に作戦の細かい内容が話され、ようやく軍議に終了をアビィが告げる。
「では、作戦実行の準備に移る。プラナ卿、もう1度聞くが奴らはラックにいるのだな」
「まだ移動してなければおそらくは……」
「ふっ、移動していたならば王都までの道のりから追えばいいか」
そう言ってアビィも作戦準備に向かう。
魔導師団が全員その場を離れると、魔導騎士団の騎士の1人がプラナに声をかける。
「プラナ様、あの魔術師は我々を自分の部下と勘違いしているような振る舞いでしたな」
「確かにそうだ。だが我々がいさかいを起こせばカイス様にご迷惑をおかけすることになる」
プラナは作戦の説明不足に少々納得いかないものの、カイスに対する思いからそこを呑み込み作戦に臨むこととするのであった。