エイムは自らが感じたギンとプラナが兄妹かも知れないという事を、ギンに打ち明ける決意をしていた。
宿で一同は一夜を過ごし、翌朝朝食を終えるとルルーが一同に呼びかける。
「それじゃあ昨日も言ったけど、昼頃には発つからそれまではゆっくりしてていいわよ」
ルルーの発言に対し、ブライアンが言葉を返す。
「それで夜までに次の街に着くのか?」
「ええ、行きはミックサック団の護衛をしていたから少しペースを早くしていたけど、次の街には昼から出ても十分に間に合うわ」
「そうか、ま、それならいいんだけどよ」
そう言ってそれぞれが街で各々過ごそうとする中、エイムがギンに声をかける。
「ギンさん、少しいいですか?」
「どうした?」
「ギンさんに話さなければならないことがあります」
ギンは少し戸惑うが、エイムの呼びかけに応じる。
「分かった、話を聞こう」
「とりあえず、そうですね、外に出て話します」
「分かった」
そう言ってギンとエイムは宿の外へ出る。その様子を心配そうにルルーが見つめており、後方よりムルカに声をかけられる。
「ルルー、浮かない顔をしているがどうしたのだ?」
「ムルカ様、実は……」
ルルーは以前、エイムがプラナの説得をしきりに訴えていたこと。そしてその理由をエイムに尋ね、エイムから聞かされたギンとプラナが兄妹かも知れないこと。その時点ではひとまず黙っておくことを決めたエイムが今になってギンに打ち明けることを決意したことをムルカに話した。
「そういうことがあったのか」
「はい、エイムの言葉は信じたいのですが、まさかギンとあのプラナという騎士が兄妹だなんて簡単には信じがたい話です」
「うむ、私もそうだ。だがエイム殿の魔力感知力とギン殿の妹君の話、そしてその騎士の話を聞けば単なる偶然では片づけられまい」
「血縁者の魔力の波動が似ることは私も知ってはいますが、それは血縁者でなくてもありえます。それに外交の為の養子縁組もさほど珍しい話ではありません」
ルルーはそう発しながらも予感としてはエイムの話を聞いたというのもあるがギンとプラナは兄妹ではないかと感じつつあった。
「ルルー、それが事実であれ、帝国との戦いは止められないだろう」
「はい……」
「だが、私も兄妹同士の殺し合いなどあってはならんと思っておる。我らもできうる限り尽力はしよう」
「はい、私もそうしたいと思っております」
ギンとプラナが本当に兄妹ならその殺し合いを止める手立てを考えることにルルーとムルカの意思は一致した。
その頃、ギンとエイムは街中を歩いており、人通りの少ない道へと出た。
「あのギンさん、やはりあのプラナって人は説得してみませんか?」
「何かと思えば、またその話か。あいつのような一介の騎士を説得したところで状況は変わらないし、だいいちあいつは俺達の話を聞こうとすらしない」
「それはそうですが、でもあの人はギンさんの妹さんかも知れないんです」
「何⁉」
エイムの言葉を聞き、ギンは何を思う?