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悲しき決意

 エイムがギンのペンダントより読み取った両親の思いを魔法という形でプラナに放つが、プラナはギンが自らの兄と知るや、自らを捨てた両親と同罪と言い放ちギンの命を奪う宣言をする。


 プラナの宣言を聞いて、エイムは落胆と共に申し訳なさの気持ちが表に現れ、涙ながらにギンに謝罪をする。


「そんな、どうして……、ごめんなさい、ギンさん、お役に立てなくて、それどころか私のせいで……ギンさんが……」


 エイムの言葉を途中で遮りギンがエイムに対し言葉をかける。


「エイム、こうなったのはお前のせいじゃない。結局はあいつは、プラナは俺達家族に対しての憎しみを消せなかった。それだけのことだ」

「でもギンさんは少しも悪くないです。ご両親だってあの人の事を思っていました」

「どう言いつくろっても、あいつには言い訳にしか聞こえない。ならば俺の手でけじめをつけるしかない」

「けじめ?」


 ギンは更に強く言葉を放つ。


「この手であいつを斬るしかない。それが俺が兄としてあいつにできる唯一の事だ」

「ギンさん……」


 エイムは一言だけ呟き、そのエイムの声を聞くとギンが他の仲間に大きな声で告げる。


「みんな、俺があいつを、プラナを斬る!手出しは無用だ。これは俺自身の手で決着をつけないといけない」


 その一言に他の仲間はギンに対する言葉が見つからず、プラナの方へと向かっていく。


 その状況を見たルルーはエイムに声をかける。


「エイム、いいの?ギンの為に力を貸したのに、このままじゃあなたのしたことは無駄になってしまうわ」

「私にギンさんを止める資格はありません。私がかえってギンさんの決意を強めたようなものですから」

「それじゃあどうするの?」

「私にできるのはもう見守ることだけです」


 エイムの見守るという言葉を聞き、ルルーもまた自身の考えを話す。


「あなたがそこまで決めたならもう何も言わない。だけど、あなたにだけ辛い思いはさせない」

「ルルーさん……」

「私も、私達もギンがどうするかを見守るわ。他の誰かが彼を否定してもせめて私達だけは彼を尊重しないと」


 兄弟殺し、この戦乱の世では敵味方に分かれて起きることは決して珍しいことではないが、忌避されることもあり、追放や幽閉で事を収めるケースも少なくはない。


 だが、ギンにとってはそももそ追放の権限はなく、幽閉するにしてもプレツに処置が委ねられてしまい、他者にプラナの命を握らすほかない。


 結局そういったことを避けるべくギンは自らの手でプラナを斬るという悲しき決意をしたのだ。

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