プラナよりブロッス帝国の皇帝ギガスが魔族の台頭を予見し、強大な軍事国家を作り魔族をねじ伏せるという構想を聞かされたギン達であったが、それに対しウィルが自らが抱いた疑問をプラナにぶつける。
「ちょっと待ってくれよ!いきなり話が大きくなりすぎてちょっとついていけねえよ。大体わざわざボースを転覆させる必要はあったのか?」
「ボース王は領土拡大の野心にとりつかれ、ギガス陛下の進言を受け入れませんでした。それどころか自身を騙そうとした罪に問い、粛清しようとしました」
プラナの言葉にムルカが反応を示す。
「それが皮肉にもギガス皇帝がブロッス帝国を興すきっかけになったという事か」
ムルカの発言を聞いてからルルーはプラナに尋ねる。
「だけど、どうしてエンビデスは魔族の台頭を予見できたの?」
「すいません、私が知っているのはここまでです」
プラナが自身が知っている話はここまでと告げるとギンがプラナにカイスの事を尋ねる。
「プラナ、カイスもこの事を知ってそれを望んでいるのか?」
「ええ、それにカイス様は陛下に対してものすごく恩義を感じているの。だから陛下の理想を実現したいといつもお話してくださった」
「その恩義というのは?」
「実は、カイス様のお父上は革命時に王国軍に属していたの」
プラナが明かす事実に一同は驚愕し、ブライアンが疑問を口にする。
「じゃあ、裏切ってギガスについたってのか?」
「それは少し違って、密かに革命軍側に情報を流してくれていたんです。ですが……」
プラナが言葉を詰まらすとギンが言葉を発する。
「殺されたのか」
「ええ、カイス様も内通者の子だということで殺されそうになったけどその危機をギガス陛下に救われたわ」
「そうだったのか」
「その後、正式な養子縁組はしなかったけど後見人としてカイス様を育てあげ、魔導騎士団長に任命したわ」
プラナの発言を聞いてルルーがプラナに声をかける。
「それでプラナも入団後にカイスと会ったわけね」
「いえ、実は私がまだ実家にいる時もお会いしたことがあって、家の者からは冷たくされていて1人で本を読んだり剣の稽古をしている時に話しかけてくださり、会う回数は少なかったけど孤独な私にとってはとても温かい時間でした」
プラナの話す、ギガスが帝国を興した理由。そしてカイスの忠義とカイス個人の人となりが垣間見えた。
これは休戦のきっかけになりうるのか?