ギンがかつて邪龍を退治した剣士と魔導士の末裔であることを打ち明けたエンビデス。更にエンビデスはギンが魔法剣を習得したのは偶然ではなく必然であると告げ、ギンが尋ね返す。
「俺が魔法剣を習得するのが必然だった?一体それはどういうことだ?」
「ギンよ、お前の家には確か代々仕えていた剣術指南役がいたはずだ」
「ブレイクの事か、彼がどうした?」
「お前はそのブレイクなる者の血筋を知っておるのか?」
エンビデスより突如ブレイクの事を尋ねられ、戸惑うギンではあったが、問いに返答をする。
「父は身内のような存在だとは言っていたが、詳しいことは分からなかった。内乱後も一緒に暮らしていたが詳しい話は聞かなかったな」
「ギンよ、邪龍伝承の魔導士には実は姉がおり、彼女も邪龍との戦いに参加していたのだ」
「何⁉伝承にはそんな話はなかったはずだが、それに魔導士の姉とブレイクがどういう……まさか……」
「そうだ、魔導士の姉はそのブレイクの先祖にあたる。彼女の話も詳しくしよう」
そう言うとエンビデスは魔導士の姉に関する話を始める。
「彼女は魔力こそ妹に劣るが、魔法の知識は豊富であり、思考も柔軟であった。魔法剣も彼女の発案だ」
「歴史に名どころか存在すらなかったからミックサック団の芝居には登場しなかったのか」
「おそらくはそうであろう。そして彼らがルワールに渡った後に彼女もルワールに渡り、彼らの近くで住み、ルワールで会った男と結ばれ子孫を残した」
「そしてその子孫が俺の先祖に仕え、俺やブレイクに繋がるのか」
ギンとエンビデスがやり取りをしているとルルーがエンビデスに尋ねる。
「でもどうしてあなたはその事を知っていたの?」
「バンス将軍の部隊が交戦した敵の中に魔法剣を使う剣士と規格外の魔法を使う魔術師がいたという報告を受け、密かに部下に調べさせたのだ、その過程で断片的ではあるが、情報を繋ぎ合わせていった」
「そうだったの」
「無論、それだけでは確証は得られなかったが、ギン、そしてエイムの力をこの目で見て確信したのだ」
エンビデスの言葉を聞いてギンはあることを思い出し、更にエンビデスにそのことを言及する。
「そうすると、お前は俺がその力を持つ確証がない時に、魔法を使う剣士に俺を襲撃させたのか?」
「襲撃?何の事だ?」
「何だって?それならあれは一体?」
「私の推測だが既に魔族がうごめいており、お前をその剣士に襲撃させたのかもしれん。魔法剣は魔族にとっても恐ろしい技のはずだからな」
次から次へと明かされていく真実。今後魔族との戦いはどう展開するのか?