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波止場まで

 エンビデスの勧めもあり、ギン達は帝国領内より離脱を試みる為、城から出ようとするが、トーラスから声をかけられる。


「お待ちください、このまま行きの道から街を通ると、住民が暴徒化し、あなた方を襲うかもしれません、他の領主にその事が知られれば、我らもかばう事はできません」


 トーラスの言葉を聞いてブライアンが尋ねる。


「じゃあ、俺達はどこから帰ればいいんだ?」

「私が森から波止場まで案内しましょう」


 そう言ってトーラスはカイスに自らがギン達の案内役を買って出る。


「ではカイス様、私と私の従士で彼らを波止場まで案内します」

「うむ、頼んだぞ」

「はっ!」


 トーラスの案内で、城を出たギン達は波止場までつながる森へと入り、徒歩で進んでいく。


 歩いている最中にミニルがトーラスに声をかけている。


「あの、トーラスさんだっけ?」

「はい、何でしょうか?」

「トーラスさんは、そのカイスさんとプラナさんが両想いって知っていたのかな?」

「その事ですか、カイス様はああいうお方ですし、そんな事は微塵も出さなかったですね。プラナは我らから見ても結構分かりやすかったですけどね」


 更にトーラスは当時のプラナについても語りだす。


「ですが、やはりプラナは自分がただの騎士でしかなく、カイス様と結ばれることは許されないと思っていたようです。それでもせめてカイス様のお力になりたく必死に力を尽くしていました」


 トーラスの言葉を聞いて、ルルーが何かを思い出し、言葉を発する。


「今にして思えば、私達がエイムを助ける為にプラナと戦っている時にカイスは単騎でプラナを助けに来てたわね」

「あの時は私も思考が追い付きませんでしたが、カイス様がどういう思いでプラナを助けたっかたかが今は分かります」

「あなたは2人についてはどう思っているの?」

「私はお2人は互いに必要な存在だと思っています、ですがやはり帝国を抜けたプラナの帰還を認めない者もいるでしょうから、厳しい道のりでしょう」


 トーラスはカイス、プラナは互いにかけがえのない存在であると考えているが、帝国を抜けたプラナの帰還を認めない者も多くいることから2人が結ばれる道は遠いと言い、それに対しギンが言葉を放つ。


「そこはカイスの頑張り次第だし、そしてお前達がカイスを支えるしかない」

「はい」

「カイスが帝国の混乱を収めれば、プラナもまた帝国に戻れるかもしれない、何より今のままでは俺達とお前達が戦っていたころ以上の悲劇を生みかねない」

「そうですね、何としても我らは帝国の分裂を防がねばなりません」


 ギンとトーラスがやり取りをしていると、ジエイが声をかける。


「皆さん、波止場が見えてきました。我々の船です」


 ジエイの声を聞くと、ギンがトーラスに声をかける。


「それじゃあ世話になったなトーラス」

「皆さんもお気をつけて」


 こうしてギン達は船に乗り込み、帝国領をあとにする、ギン達、帝国はそれぞれの道を歩むこととした。

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