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向かいあって

 幼い子供の様々な成長を目の当たりにして驚きを隠せないギン達であったが、気を取り直してエイムがアルとマリンに声をかける。


「あ、マリンちゃん、アル君、私も他の子供達に会わせてもらってもいいですか?」

「いいけど、にいちゃんは?」

「ギンさんはプラナさんとゆっくりお話ししたいって言ってるので、とりあえず先に私だけいいですか?」

「うん、いいよ。魔法のお話してくれる?」


 マリンの問いかけに対しエイムが笑顔で返答し、ギンとプラナにも声をかける。


「いいですよ、それじゃあギンさん、プラナさんゆっくり話してくださいね」


 そう言ってエイムはアルとマリンに案内されて孤児院の子供達の所に案内される。


 エイム達が孤児院に入っていくのを見てギンがプラナに声をかける。


「俺達も行くか」

「そうね」


 そう言ってギンとプラナも孤児院に入っていき、プラナの案内でマザーの部屋へと行く。


「失礼します」

「あ、プラナさん、お兄さんとのお話は?」

「これからしたいので、お部屋をお借りしてもよろしいですか?」

「それならこの向かいのお部屋を使っていいですよ」

「ありがとうございます」


 マザーに礼を述べるとギンとプラナはマザーの部屋の向かいの部屋に入室し、それぞれい向かい合って椅子に座る。


 最初に口を開いたのはプラナであった。


「何か不思議、こうして兄さんとゆっくり話せる日が来るなんて」

「俺もだ、本当はもっと楽しい話や嬉しい話をしたいが、それはまだ難しいな」

「それって帝国の話?」


 ギンは少しだけ息を整え、現在の帝国の情勢をプラナに話し始める。


「落ち着いて聞いてくれ、まずは皇帝であるギガスが魔族の急襲にあい、命を落とした」

「陛下が⁉そんな……」

「すまん、俺達が近くにいながら……」

「兄さん達のせいじゃないわ。でも陛下程のお方がどうして……」


 プラナの疑問に対し、ギンは返答をする。


「ギガスは武神の力を開放していたがその力が弱まった隙を突かれたんだ」

「そうだったの……カイス様は⁉」

「安心しろカイスは無事だ、今はカイスが帝国を引っ張っていこうとしている」

「カイス様が帝国を……」


 カイスが帝国を率いていこうとする事実に驚きを隠せないプラナであったが、ギガスの死という事実を受け、プラナは不安をギンに対し吐露する。


「だけど、陛下が急にお亡くなりになったって事は今の帝国はかなり混乱しているんじゃ……」

「まだ具体的にどうなっているかは分からないがそうなっていてもおかしくはない、それにリーズ公国に遠征していた部隊が壊滅したようだ」

「リーズに遠征していた部隊が⁉帝国に報復を考える国もあるというの……」


 ギガスの死、カイスが帝国の舵取りをしている事、そして帝国への反撃を試みる国の存在。これらの事実はプラナの心を圧迫していた。

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