グラッスが帝国に対し侵攻を企てているという情報がスール国王よりジエイに届けられ、その話を聞いたヨナは自らがグラッス国王の説得に乗り出すことを告げると共に、自らがトッポックス領主の娘であることをギン達に明かす。
「ねえ、ヨナ、今何て言ったの?」
「聞こえなかったのルルー、あたしはトッポックス領主の娘だよ」
突如ヨナが自らをトッポックス領主の娘だという事を明かし、一同は驚愕を隠せないが、ブライアンが腑に落ちない点があり、ヨナに尋ねる。
「ちょっと待てよヨナ、お前がトッポックス領主の娘ってんなら、なんで親父に私兵として雇われていたんだ?」
「順を追って話すよ。あたし自身の生まれはトッポックスの小さな村の生まれなんだよ。いわば養女として育てられたのさ」
ヨナの話を聞いて、ギンはただならぬ事情があると察し、言葉を発する。
「ただの村娘が領主の娘として育てられるという事は余程のことだな」
「14年前、まだあたしが5歳の頃の話だけど、あたしの村が魔物の襲撃にあい、父さんと母さん、まだ3歳だった弟はそれで死んでしまった」
ヨナの家族、特に幼い弟の死の話を聞いてエイムは痛ましさを隠せないでいた。
「そんな小さい子まで……」
「まだ5歳だったあたしは逃げる事も戦う事もできず、ただ殺されるのを待つしかなかった。そんな時トッポックスの兵が魔物を討伐してくれてあたしはその村での唯一の生き残りになったわけさ」
村の唯一の生き残りとなったヨナであったが、ルルーはその後、どうして領主の娘となったかが疑問に浮かび口にした。
「でも、それでどうして領主の養女になったの?普通は孤児院とかに入ると思うんだけど」
「当時のトッポックスには跡継ぎになる子供がいなくて、あたしを引き取ったんだよ、でも……」
そこからのヨナは屋敷暮らしについて語りだす。
「5歳までとはいえ、あたしは村での生活が染みついていて、しかも実の親じゃない人との生活じゃ中々馴染めなくて、特に義母はあたしに辛くあたっていた」
「ヨナ……」
「それから5年後に弟が生まれた。血は繋がってなくても、まるであの時死んだ弟が帰って来たみたいで嬉しかった。でも……」
そこからのヨナは表情が曇りながら語りだす。
「そこから義母はあからさまにあたしを冷遇したどころか、まるであたしなんかいないかのようにふるまった」
ヨナの話を聞いてウィルが怒りを口にした。
「なんて親だ、てめえの都合で引き取っておいて、第一領主の親父はそこで何をやっていたんだ⁉」
「父は領主といっても入り婿でそれも身分の低い家からだから立場が弱く義母に意見ができなかったんだ」
ヨナの複雑な生い立ちが語られる、この後彼女はどのように傭兵となったのか?