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大義名分を掲げよ!

 ヨナは契約破棄してでもグラッスへ行き、戦いを止めることを主張するが、ルルーの涙ながらの制止と、ギンの見捨てない言葉にわずかながらに心が動いていた。


 そんな中、ジエイがヨナに対し、プレツやスールの介入が表に出ず、自分達が協力できる方法があると伝える。


「ジエイ、確かにあんたの言うようにプレツやスールが介入していない事にできれば話は早いけど、あんたらがあたしと行動をした時点でもうそれは無理なんじゃ」

「いえ、ヨナ殿、あなたがトッポックス領主の娘というなら、それを活かさない手はありません」

「それって、どういう事?」

「ヨナ殿、先程の言葉を聞く限り、今回の侵攻は側近達が主導していると考えているようですな」


 ジエイの問いかけに、少し戸惑いながらヨナは返答する。


「そ、そりゃあ今の王様が自分から戦争したいなんて考えるとは思えないし、今の王様が側近達のいいなりなのはあんた達だって知っているだろう」

「ならば筋書きはこうです、王を欺く奸臣をグラッスの忠臣であるトッポックス領主の娘の名において討つ!まずこれがヨナ殿が動く大義名分になります」


 ジエイが掲げる大義名分を聞いて、気になったことがあり、ブライアンが尋ねる。


「ちょっと待ってくれジエイ、いくら何でも少し乱暴じゃねえか!証拠もねえのに反逆者ってでっちあげるのか?」

「ブライアン殿、彼らが奸臣かどうかなど後でどうとでもなります。まずは大義を掲げなければなりません」

「大義名分もいいけどよ、肝心の俺達が介入する余地はどこにあるんだ?」

「我らはそのヨナ殿に雇われた私兵として介入すれば良いのです。結果がどちらに転んでもプレツやスールは無関係を装えます」


 ジエイの提案に感心してギンがジエイに声をかける。


「考えたなジエイ、確かにこの方法なら俺達もグラッスの兵と戦える」


 ギンが感心しているとムルカが問題点を指摘する。


「だが、この方法にも欠陥がある。グラッスの王や側近に顔を覚えられているかもしれん私やルルーはその作戦には参加できんぞ」

「ええ、私もそれはさすがにやむを得ないと思いました。無論、私はこの作戦に参加します」


 さすがに提案をしたジエイは自ら私兵役に名乗りをあげる。続けてウィルとミニルも名乗りをあげる。


「俺も行くぜ、いくらなんでもジエイだけを行かすわけにはいかねえからな」

「私もいくわ。ヨナの事が心配だし」


 更にギンも名乗りをあげる。


「それなら俺達も行こう、このまま戦争を起こさせるわけにはいかない」

「いえ、ギン殿、エイム殿、ブライアン殿はここに残って魔族に備えてください、今動き出すと作戦中にそっちへの対処は難しくなります」

「だが、それでお前達は大丈夫なのか?」

「それはヨナ殿に聞いてみましょう」


 ジエイの提案にヨナはどう答えるのか?

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