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離れても守る者

 ヨナの死をあざ笑うかのような振る舞いをするガンシルに対し、怒りを燃やすウィルとミニルであったが、ジエイが突如謎の足音が聞こえたことを2人に告げる。


「どういうことだよジエイ?足音なんて聞こえないぞ」

「私もです、大体どこからなんですか?」

「それが……先程ヨナ殿が魔法で吹き飛ばされた方向からで、それも……」


 ジエイが何かを言わんとするが、その足音が聞こえた方向から声がする。


「ごめん、心配かけたけど、あたしは無事だからさ」

「ヨ、ヨナ!」


 そこにいたのはレーデの魔法を受け、生きてる可能性が薄かったはずのヨナであった。


 その状況にダリルは驚きと喜びのあまり、声をあげる。


「ヨナーーーー!生きて、生きておったのか」


 ダリルの声が聞こえ、ヨナも返答をする。


「ごめんね父さん心配かけて、でも目の前で父さんやフランツやニーが殺されるのを黙って見ていられなかったんだ」

「だからと言って……」

「だからごめん、もう父さん達を置いて死んだりしない。あたしもみんなと一緒に生きたい!」

「ヨナ……」


 ダリルがヨナの言葉に感激していると、レーデがヨナの生存に対する疑問をぶつける!


「貴様、何故我が魔法を生身で受けながら生きていたのだ?まさか貴様の装備には魔力障壁が施されているのか⁉」

「あいにく、そんな立派な装備はしていないよ。正直あたしも死んだかと思ったよ、気が付いたら生きていて、このペンダントが砕けていたけどね」


 ヨナが取り出したのはプレツからの出発前にルルーから渡されたペンダントであった、そのペンダントにミニルが反応を示す。


「ヨナ!それってルルー様が渡してくれたペンダントじゃない?」

「そうだね……」


 ミニルがルルーの名前を出すとマルスが反応を示す。


「ルルー?」

「陛下、そのルルーなるものを知っておるのですか?」

「プレツよりの特使だ、しかしその者がヨナに……」


 マルスとダリルのやり取りの中、ジエイがヨナに状況から導き出した答えを告げる。


「ヨナ殿、そのペンダントにもしや魔力障壁を張る効力があり、あの魔物の魔法を防いだのでは」

「ペンダントが……」

「そうよ、ヨナ!ルルー様があなたを守ってくれたのよ」

「ルルーがあたしを……」


 ミニルの発言にウィルが続く。


「そうだぜ、ヨナ!それにルルー様だけじゃなくギンやエイム達もお前を守っているんだぜ」

「ギン達が……」

「さっき俺はお前に言ったよな、俺達がお前を悪意から守るって、だけどそれは今いる俺達だけじゃなくてギン達もそうなんだ」

「分かるよ、ウィル。みんなの存在があたしを守っているんだね」


 仲間の存在が自分を守る。だけど守られてばかりではなく互いに守りあう関係だからこそ、信頼を強めてきたんだとヨナは実感した。

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