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告げられし処置

 ヨナとダリルが親子としての互いの本心を話す中、グラッス国王マルスはダリルに処分をくだすことを告げる。


「ダリルよ、此度の件はそなたにも責があるのは明らかである。ならば私は国王としてそなたに処分をくださねばならぬ」

「そんな、父さんがあんな事をしたのはガンシルのせいなのに……」

「ヨナよ、それでもわしがガンシルの言葉に揺さぶられなければここまでのことにはなってはいない」

「父さん……」


 処分をくだされることを覚悟し受け入れる姿勢をしめすダリルであったがマルスに懇願をする。


「陛下、国を乱した責を私は負います!ですが此度の件を収めたヨナと嫡子であるフランツにはどうか寛大な処置を……」

「口出し無用!それは私が決めることだ!」

「……はい」


 マルスの語気の強さを見て、ミニルは不安になり、近くにいるウィルに小声で声をかける。


「大丈夫かな、ヨナのお父さん。あの王様側近がいなくなったからって急に極端なことをしたりしないわよね」

「親父さんはもう覚悟してるようだけど、功労者のヨナの扱いが難しいよな。トッポックス領主の娘だし」


 この処分に対しジエイとフィファーナも互いの見解を話していた。


「これで王たる資質を問われるのう」

「ええ、側近だけに全てを押し付けてしまえば、国王としての求心力を失いかねませんからね」


 それぞれが話している中、マルスよりダリルに対する処分が告げられようとしていた。


「まずはトッポックス領主の座を降りてもらう。そして金輪際グラッス本国の政治はもちろん、トッポックス領内の政治への口出しを禁ずる」

「はい……」

「更に屋敷からも出てもらう。新たな住まいは用意するが、監視の者は付けさせてもらう。ここまでは良いな?」

「はい」


 粛々とダリルの処分が告げられる中、次の内容が告げられる。


「次に空位となったトッポックス領主だが、嫡子であるフランツへの継承をグラッス国王として命ずる」

「え⁉陛下、それは……」

「申した通りだ、領主の座はフランツに継いでもらうのだ」

「寛大な処置は感謝します。ですが、何故?」


 ダリルの問いにマルスが返答をする。


「……ダリル、私は王でありながら臣下たるそなたの苦しみに気付いてやれなかった。監視付きで窮屈な思いは多少あるかもしれんが、もう重責から降りても良いだろう、そなたは十分にやった。ゆっくり休むが良い」

「陛下……」

「とは言え、フランツはまだ幼く政治はできまい、そこで後見として……」

「ちょっといいですか⁉」


 マルスが後見のことについて告げようとした時にヨナが突如叫ぶ。一体何を告げるのか?

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