スップの防衛兵団に所属するマリンの兄であるホセともう1人の兵士が見回りの為にミッツ教団の運営する孤児院を訪れると、ホセはそこにいるプラナがかつてスップに侵攻してきたブロッス帝国の騎士である事に気付き、プラナに詰め寄っていた。
「なんとか言ったらどうだ!お前の事は忘れたくても俺達は忘れられないんだからな!」
「……確かに私は……前にあなた方の街を襲撃……しました……」
「何だ?前は俺達の事を見下すような態度をとってたくせに、今更しおらしくしたからって許されると思うな!」
ホセはそう叫んで剣を抜こうとするが、マリンがホセの前に立ち塞がりマリンがホセに訴える。
「待って!お兄ちゃん!プラナおねえちゃんをいじめないで」
「どくんだ!マリン!こいつはお兄ちゃんの仲間を痛い目に合わせた奴なんだ許してはいけない」
「でもでも、司祭様やエイムおねえちゃんから聞いたよ!帝国とプレツは仲直りしたって、だからもうやめてあげて」
「あのなマリン、帝国とプレツの仲直りは本当の仲直りじゃないんだ、また戦争が起きることだってあるかもしれないんだ」
ホセがマリンに対して現在のプレツと帝国の関係について説明しているとアルが口を挟んでくる。
「そうだとしても、今は戦争していないんだし、そうやって突っかかるのはダメなんじゃねえのか」
「君はマリンが嫁入り……いや友達だそうだが、孤児院の子か?」
「いや、俺は北の村からここに来ている」
「北の村⁉確かそこは魔物の被害にあったはず!しかも救援が遅れた原因も帝国軍への対処に人員を割いたからだ」
アルが北の村の子供だという話を聞いて、ホセは魔物の襲撃と帝国軍の侵攻タイミングが重なったことを思い出し、更にアルに対し言葉を発する。
「言い換えれば、君の村に被害をもたらしたのも帝国が原因なんだぞ!そんな奴と一緒にいて平気なのか?」
「……確かに俺も帝国の奴らを恨んだことはあったよ。帝国のせいで父ちゃんが死んだとも思った事もあったよ」
「それなら……」
「だけどさ、剣士のにいちゃんが魔物を操っていた魔族ってやつがいたことを教えてくれてさ、一番悪いのはそいつらなんだよ」
アルはギンから聞いた話をホセに告げて、更に自分の考えを話す。
「それに、プラナねえちゃんはあのにいちゃんの妹だし、そんな悪い奴だとは思えねえ」
「剣士というとギン殿か?何故ギン殿の妹が帝国の騎士で今ここにいるんだ?」
「それは私が説明しますよ」
外の話を聞いて孤児院のマザーが姿を見せる。この騒ぎは収まるのか?