スップの防衛兵団に所属するホセは帝国の騎士であるプラナがミッツ教団の孤児院にいる事に納得できず、マザーに説明を求め、話を聞いたものの、プラナの存在は更なる侵攻口実になりかねないと主張をし、そのプラナが話を聞いたうえで孤児院を出る意思をマザーに告げるが、マザーより制止されており、マザーの説得が続いている。
「少し落ち着きましょうプラナさん!プラナさんが出ていく必要はありません」
「ですがマザー、元々私は捕虜にされてもおかしくなかったんです。それを皆さんが取り計らってくださっただけなのにそれに私が甘えていただけなんです」
次の瞬間プラナはホセに接近し、言葉を発する。
「捕虜としてあなた方に付いていきます」
「……そうはせん。今は帝国とは休戦中なんだ、今無理に連行したらそれこそ侵攻口実になりかねん。だが、せめて俺達とは関係ない所に行ってくれ、帝国の騎士だったあんたなら食うには困らない腕前位ならあるだろう」
ホセの返答を聞いたプラナは再度マザーに接近し、声をかける。
「ではマザー、お世話になりました。司祭様にもお伝えください」
「ここを出てどうするというのですか?」
「私は元々帝国の騎士だったので、傭兵をするくらいの剣の腕はあります。だからご心配なく」
荷物をまとめるために院内に入ろうとするプラナに対しマリンが声をかける。
「待って!プラナおねえちゃん!」
「マリンちゃん、ごめんね、私がいるとみんなに迷惑がかかるから」
「そんなことない!みんなおねえちゃんが大好きだよ!それに、ギンのおにいちゃんはいいの!」
「……!兄さんや皆さんが頑張って戦いを終わらせたのに、私がいると兄さん達のしたことが無駄になってしまうわ」
プラナがあくまでも出て行こうとする頑なな態度にアルも言いたいことが抑えられず口を挟む。
「そのにいちゃんはもうねえちゃんにとっては1人しかいない家族なんだろう!黙って出て行ったらにいちゃんが悲しむぞ」
「アル君……やめて、私だって兄さんと一緒にはいたいわ。でもこんな事になるんだったら……」
プラナもあえてギンの事には言及しないつもりだったが幼い2人に言及されて決心が鈍る自分と必死に戦っている。
そんなプラナを見てホセはどこか苦々しい表情をしており、もう1人の兵士が声をかける。
「ホセ、俺もお前とは同じ気持ちだが、王族に顔の利く司祭様がお決めになったという事は……」
「分かっている!俺だって決まったことに逆らうつもりはない、でもよ……」
妹のマリンがプラナとの別れを惜しんでいる姿に少し負い目を感じてはいるがプラナの存在がどう転ぶか分からない事、そして少なからず帝国軍により自国に犠牲者が出たことを考えると割り切れない思いも多くあった。
そして次の瞬間何者かの襲撃があり、いち早く気付いたプラナはその方向に火の魔法を放つ。
火の魔法が命中し、燃えていたのはシルバーウルフという魔物であった。
「魔物⁉どういうこと?」
プラナが驚いていると獣人系の魔物が接近していた。この魔物の目的とは?