突如ミッツ教団の運営する孤児院に魔族に一員である魔物が野生の魔物を従え襲来してきた。
孤児院の子供達を守る為、スップの防衛兵団に所属するホセと孤児院の子供達と過ごしていたプラナが魔物の前に立ち塞がる。
プラナ達が魔物を引き付けている間に、マザーはマリン、アルと共に孤児院内に逃げ込み、マザーが血相を変えているのに気付いた他の世話人がマザーに声をかける。
「マザー、いかがなさいましたか⁉」
「魔物がこの孤児院を襲いに来ました。それも魔族と思われる魔物が」
「何ですって⁉」
「今、スップの防衛兵団の方とプラナさんが魔物を引き付けてくれていますが……」
マザーが状況の説明をしているとマリンも言葉を発する。
「あのね、マリンのお兄ちゃんがプラナおねえちゃんと一緒に魔物と戦ってくれているの」
「マリンちゃんのお兄さんが⁉マザー、子供達を連れて逃げることはできませんか?」
「私達だけでは子供達を守りながら逃げ切るのは無理でしょう、私達ができるのは時間を稼ぐことです」
「そうすると」
世話人がマザーの意図に気付き、マザーがすぐに自らの考えを話す。
「そうです、結界を張りましょう」
「それでは、マリンちゃんのお兄さんとプラナさんも結界の中に入ってもらいましょう」
「私もそうしたいのですが、お2人共既に魔物と交戦しています。お2人が隙を見せれば魔物があっという間になだれ込みます。お2人の思いを無駄にしないように私達は私達の役割を果たしましょう」
マザーがそう言うとマザーと世話人たちが呪文の詠唱を始める。
「我を加護し神ミッツよ、わが信仰と力を糧に我の望みに応えよ。
マザー達が呪文の詠唱を終えると結界ができ、その様子に獣人の魔物が気付き言葉を発する。
「奴ら、結界を張ったか。小賢しいマネを、まあいい、貴様らを始末した後に魔物共をぶつけ結界に衝撃を与えれば、そう長くはもつまい」
「そんなことはさせん、貴様らはここで止めてみせる!」
プラナがそう言い放ち、前面に出ようとするがホセに制止される。
「待て!あんたはまともな装備をしていない、俺が前面で引き付けるからあんたは魔法で後方から奴らを攻撃してくれ」
「ですが、あなたはマリンちゃんのお兄さんです、私の為に死なせるわけにはいきません!」
「命をかけるのはなにもあんたの為じゃねえ、妹やその友達を守る為だ」
「分かりました、だけどマリンちゃんの為にもあなたを死なせないよう私も力を尽くします」
自身も妹だからこそ、余計にマリンの為にホセに命を落とさせないよう力を尽くすと強く言い放ったプラナであった。