魔族であるゴズを倒し、孤児院を守る事に成功したギン達はプラナの健闘を孤児院前で称賛していた。
一度孤児院内に戻ってゆっくり休もうかという時に2台の馬車の接近にギンが気付き、声を出す。
「あれはゲンジ!だがもう1台の馬車は見覚えがないな」
「ゲンジの馬車が帰って来たってことは……」
ギンとルルーがゲンジの馬車がいることからある予感をするが、その予感が的中する。
「や、やあ久しぶりだねみんな」
馬車の中からまずヨナが出てきて、一同にぎこちない挨拶をする。
「ヨナ!」
「ヨナさん!」
エイムとルルーがヨナが戻って来たという事実に驚きを隠せず、更にルルーがヨナに顔を曇らせながら話す。
「ヨナ、そのなんて言っていいか分からないけど、あなたには私達がいるから、だから……その……」
「ちょ、ちょっと待ってよ、ルルーなんか勘違いしてない」
「え?」
「あたし実は弟が領主を継ぐことになったから成人するまでその後見を任されたんだよ」
ヨナの説明にルルーは更なる疑問が湧き、思わず尋ねる。
「でも、それならどうしてあなたはここに戻って来たの?」
「うん、実はね……」
ヨナはグラッス王マルスより、ギン達と共に、魔族討伐の任を与えられた事も明かし、更に自身の師がギンの育ての親であったブレイクの娘である事を話した。
「まさか、ブレイクの娘がお前の師だったとはな、正直驚いている」
「あたしも最初に聞いた時は驚いたよ、ギンはその師匠に会ったことはあるの?」
「娘がいると聞いたことはあるが、会ったことはなかったな。それにもうブレイクも俺を育てることでそれどころじゃなかっただろうし」
「あたしは師匠に何の恩返しもできなかった、だからせめてあんたを助けることが師匠への恩返しになるんじゃないかな」
ヨナの言葉を聞いてギンは自分の考えを話す。
「ヨナ、俺を助けることと師匠への恩返しは別だと俺は思う。俺を助ける為にお前を育てたわけではないと思うからな」
「だけど、あたしがもう師匠にできる恩返しって多分、それ位しかないよ」
「お前は自分で自らの帰る場所をつくることができたんだ、それはもう十分な恩返しじゃないのか?」
「でも、それはあたしの為のことだし、ジエイ達も手伝ってくれたから」
更にギンはヨナに対して言葉を続ける。
「お前自身がそうできるように育てたんだと思う。ジエイ達、いや俺達にしても信頼できる仲間をお前自身が得たという事じゃないか」
「仲間、そうだね、自分の故郷の事だからつい固く考えたけど、あたし達って誰かが一方的に守るって関係じゃないよね」
「だからお前はお前らしくすればいい」
ギンとヨナのやり取りにルルーも加わる。
「そうよ、あなたがちゃんと帰る場所ができたのは私達にとっても嬉しい事よ」
「ルルー……」
「またよろしくねヨナ」
「うん、よろしく」
改めてギン達に歓迎されたヨナは新たな道を歩みだす。