カイス即位の裏にはルホール地方領主のルドルフの働きかけがあった事をギン達はフィファーナより聞かされる。
そしてフィファーナはギン達に帝国との和解の道筋を模索するか帝国との戦いを受けて立つかの選択を迫る。そのやり取りにミニルが口を出す。
「ちょっと待って、あなたはグラッスでは私達を助けてくれたじゃない、それなのにどうしてそんな事を言うの?」
「娘よ、グラッスの件においてはそち達と利害が一致したに過ぎん、敵の敵は味方理論というじゃろう」
「それはそうかもしれないけど……」
「……カイスが帝国を守りたい気持ちはわらわにも分かる。だからこそそち達の選択次第で帝国の将軍としてカイスの心の鎖を解き放つか、カイスの敵を打ち倒すかを決めたいと思う」
フィファーナの言葉を聞いてギンは感じていた。今のカイスの選択が正しくない事をフィファーナも思っている事を、敵として戦ってきたが自分達へのある種の信頼がある事も、そしてギンはフィファーナに告げた。
「フィファーナ、俺はカイスの説得をしたいと思っている。だが俺の一存では決められない、この場でみんなと少し話し合いたいがいいだろうか?」
「いいじゃろう、少しだけここで待たせてもらおう」
「すまん、助かる」
「ふっ、戦場では心憎い奴と思っていたが、こうも気を遣われると拍子抜けするのう」
そしてギンの周囲にエイム達やゲンジの馬車から降りたジエイ達が集まり、話し合いが行われる。
最初に口を開いたのはギンだ。
「さっきも言ったように、俺はカイスを説得したいと思う。俺達が動く事でフィファーナ将軍も何かしら働きかけてくれれば可能性は上がると思う」
ギンの発言に対し最初に反応したのはルルーであり、ギンの発言で抱いた考えをぶつける。
「あなたの気持ちは分かるわ。でもギガス皇帝と違ってカイスは領主達の傀儡に過ぎないのよ、カイスを縛っている領主達に対してまで働きかけるとすると相当な労力が必要よ」
ルルーの発言にヨナも同調し、自身の考えを話す。
「あたしもルルーの意見に賛成だよ。グラッスの時は魔族が側近を操っていて、その魔族と側近さえ排除すれば良かったけど、カイスの場合は少し難しいと思うよ。帝国の規模もグラッスとは比べ物にならないし」
「お前のその理屈ならルドルフという領主に対して働きかければなんとかなるかもしれないんじゃないのか?その男が中心となってカイスを盛り立てているならば」
ギンの意見に対し、ムルカが自らの考えをぶつける。
「しかし、ギン殿、その領主は確かバンス将軍の娘婿の父親ではなかったか、カイス殿はバンス将軍と親しかったらしいから、カイス殿も無下にはできまい、それに今カイス殿が後ろ盾を失えば結局帝国の分裂は免れまい」
ギンの考えに理解を示しながらも仲間達は現実的に難しいという考えをギンに示していく。このまま帝国との衝突は免れないのか?