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教会への帰還

 ギン達を乗せたゲンジが引いている馬車はスップのミッツ教団の教会に到着し、最初にヨナが一同に声をかける。


「それじゃああたし達が馬車を教会の裏に置いとくから、ギン達は先に教会に入ってなよ」

「ああ、分かった」


 そう言ってギン達は馬車から降りると、ヨナと傭兵達は馬車を教会の裏に移動させる。


 移動を終えるとヨナが傭兵に声をかける。


「じゃあ、あたしも教会に入るから、ゲンジの事を頼んだよ」

「分かりやした」


 ゲンジの世話を部下の傭兵に任せ、教会の表の入り口から教会に入り、聖堂まで移動するとギン達が聖堂にいたが、ルルーの姿がない事に疑問を感じ、ギンに尋ねる。


「ギン、ルルーはどうしたの?」

「司祭殿にプラナの事とこれからの俺達の行動の事をを報告している。もっともゲンジを休ませるだろうから今日は俺達もここで休んで行く事にはなるだろうが」

「そっか」


 ギンとヨナがやり取りをしているとルルーが聖堂に戻って来て、司祭に話した事を一同に報告する。


「みんな聞いて、とりあえず司祭様には私達が帝国に再度の休戦交渉の為に向かう事と、それにプラナも同行させることについての許可はとれたわ」

「なんか血がたぎってきたな。また帝国に行くなんてよ」

「ブライアン、あくまでも交渉が目的よ、それはあなたも言ってたじゃない」

「そうは言うが帝国は俺達と戦う気満々だし、鼻っ柱を折る必要もあるぜ」


 ブライアンの話を聞いてルルーも納得したのかブライアンの意見にある程度同調する意見を言う。


「まあ、帝国とのある程度の戦いはやむを得ないし、こちらも丸腰でやられるわけにはいかないわ」

「だがカイス殿の説得を最後まであきらめるわけにはいかん。そうでなければ我らが行く意味がないからな」

「もちろんですムルカ様」

「だが今日はゆっくり休み明日にニリに向かうぞ」


 ムルカの言葉を聞いて、一同は休養し、明日の出発に備えることとする。


 それから時間が経過し、夜となり、一同が眠りにつく中、ヨナは突如深夜に目が覚めて周りを見渡すと同室のエイム、ミニルは眠っているが、同じく同室のプラナの姿が無いことに驚くが、寝ているエイム達を起こさないように部屋から出てとりあえず聖堂に向かうとプラナの姿を目にし声をかける。


「プラナ、どうしたの?」

「ヨナさん?ええ、少し眠れなくて、ヨナさんもですか?」

「いや、あたしは目が覚めたらあんたがいなかったし、ちょっと気になってさ」

「なんか私が起こしたみたいで申し訳ないです」


 プラナの謝罪の言葉を聞き、ヨナが返答をする。


「いや、別にいいよ。そんな気にしなくてもさ」

「あの昼間はありがとうございます。私や兄に気を遣ってああ言ってくださって」

「やっぱりさ惚れた男を殺すなんて事はしてほしくもないし、言ってもほしくはないよ」

「……、なんか不思議です。敵対してたとはいえ、あなたと私は互いを罵り合っていた。そんな私達がこんなに穏やかに話ができるなんて」


 プラナとヨナは敵対していた頃は互いの考えに対し否定的であり、またその事を互いに口に出すようなこともあり、お互いを完全に否定していたがそんな両者が互いに穏やかに話せることが不思議な感覚をプラナが打ち明けヨナが返事を返す。


「それはあんたがギンの行動に心を打たれてあたし達とも話してくれるからだよ。それに今になってあんたの気持ちが少しは理解できるようになった」

「私の気持ち?」

「あんたがカイスへの恋心を打ち明けた時にあんたに辛く当たったけどさ、あたしもずっと秘めていた思いがあってさ」

「それってさっき、ミニルさんがおっしゃっていたグラッス国王が初恋相手って話ですか?」


 ヨナがプラナに打ち明けた思い。ヨナがプラナに伝えたいこととは?

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