翌日、あおいが目を覚まし朝食を取っていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「はーい、どちら様ですか?」
あおいがドアを開けるとロイドと、ローブをまとった少女が立っていた。
「おはよう、あおい。森に冒険に行くんだけど一緒に行かない?」
「そちらの方は?」
「ロイド様と一緒に冒険しているローラです」
「はじめまして。川崎あおいです」
ローラはロイドの背中に隠れてしまった。
「こいつ、人見知りだから」
「そうですか、ごめんなさいね」
あおいは微笑んでローラに頭を下げた。
「それで、一緒に行く?」
「そうね。行きます」
あおいは動きやすい格好に着替え、念のため武器屋で買った置いた杖を持った。
そして、昨日作ったポーションゼリーとエリクサー金平糖をカバンに入れた。
「おまたせ」
「じゃあ、森に行くよ」
ロイドが歩き出すと、ローラとあおいは後についていった。
「森にはどんなモンスターがいるの?」
「毒蛾とか、スライムとかいます」
小さな声でローラが答えた。
「そっか」
あおいは杖を握り直した。
森に入ると、緑の匂いがした。
「気をつけろ、スライムが居るぞ!」
「行くわよ!」
あおいが杖でスライムを殴ると、ぽよんとした手応えがあった。
「あおい、どいて!」
ロイドが剣でスライムを倒す。
「痛った」
「どうしたの? ロイド?」
あおいが尋ねると、ロイドは決まり悪そうな表情を浮かべて答えた。
「この前の傷が、直りきっていなくってね」
「じゃあ、これ食べてみて?」
そう言ってあおいは、カバンからポーションゼリーとエリクサー金平糖を出した。
「なんだこれ? えらく可愛くておいしそうだけど」
「ポーションとエリクサーよ」
あおいがそう言うと、ロイドは爆笑した。
「なんでこうなるんだ!? 食べ物限定って聞いていたけど凄いな」
「褒められている気がしないんですけど」
ロイドは笑いながらも、ポーションゼリーとエリクサー金平糖を食べた。
すると、ロイドの体から傷が消えた。
「うわ。美味しいし、効き目が凄い!」
「よかった」
ロイドとあおいが笑っていると、ローラが手を出した。
「わたしも金平糖、食べてみたい」
「どうぞ!」
ローラが金平糖を食べると、驚いた顔をした。
「甘くておいしい。それに、魔力が戻ってる」
「お礼にこれ、どうぞ」
ローラがさっき倒したスライムから、コアを取り出した。
「これ、錬金術の材料になるよ」
「ありがとう、ローラ」
あおいはそう言って、受け取ったコアをカバンにしまった。