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青龍35

彼女と腕を組みながら公園を歩いていた。

他愛のない話をしながら歩く。


「でさー、それで、店長がおかしっくてさぁー」


可愛らしい声で、かんらからと彼女が笑う。


「ほぉーんと、もうとってもおかしいのー!」


そしてまた彼女が笑う。


彼女はかわいい。本当にかわいい。そして美人だと思う。スタイルもいい。

気立ても良い。性格もいい。優しい。私は彼女が大好きだ。


だけど、彼女は笑い方がおかしい。


まず、「かんらから」と声に出して言いながら笑う。


さっきのも正確に伝えると、


でさー、それで、店長がおかしくってさぁ、かんらからぁー、かんらからぁー


と言っている。


今も、自分で話をした内容がツボに入ったのか、自分でグペェア!グペェア!と言いながら笑っている。


彼女は本当に完璧に近いと思う。

塞ぎ込んでいる女性より、よく笑う女性の方が何倍も良いに決まっている。


しかし、私は、何か大いなる存在に試されているのだろうか。

どうも何か重要な決断を迫られている気がしてならないのだ。

横でボップンビップン笑っている彼女を穏やかな瞳で見つめつつ、今日もまたその想いを強くする。


【西施にも醜なる所有り】

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