彼女と腕を組みながら公園を歩いていた。
他愛のない話をしながら歩く。
「でさー、それで、店長がおかしっくてさぁー」
可愛らしい声で、かんらからと彼女が笑う。
「ほぉーんと、もうとってもおかしいのー!」
そしてまた彼女が笑う。
彼女はかわいい。本当にかわいい。そして美人だと思う。スタイルもいい。
気立ても良い。性格もいい。優しい。私は彼女が大好きだ。
だけど、彼女は笑い方がおかしい。
まず、「かんらから」と声に出して言いながら笑う。
さっきのも正確に伝えると、
でさー、それで、店長がおかしくってさぁ、かんらからぁー、かんらからぁー
と言っている。
今も、自分で話をした内容がツボに入ったのか、自分でグペェア!グペェア!と言いながら笑っている。
彼女は本当に完璧に近いと思う。
塞ぎ込んでいる女性より、よく笑う女性の方が何倍も良いに決まっている。
しかし、私は、何か大いなる存在に試されているのだろうか。
どうも何か重要な決断を迫られている気がしてならないのだ。
横でボップンビップン笑っている彼女を穏やかな瞳で見つめつつ、今日もまたその想いを強くする。
【西施にも醜なる所有り】