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甘えるということ

「お先にシャワーどうぞ」

 そう言われ、タオルと一緒に渡された部屋着。Tシャツとダボっとしたハーフパンツは、両腕に抱えると微かに天寧の匂いがした。

 自分が何も持たずに飛び出して来たことに今更ながら気付いたけど、こうして色々貸してくれるから不自由はない。

「あれ」

 しっかり湯船に浸かって温まり脱衣所に出たら、脱いだ服と下着がない。たぶん今稼働している洗濯機の中なんだろうが。えっと、ノーパンでもいいかな、いいよね。借りた部屋着を身にまとう。


「私もお風呂入ってくるね、栞菜ちゃんは適当にくつろいでいて」

 そう言われ一人になる。クッションに寄りかかったり、ベッドに腰掛けたり。

 改めて見ると、突然の訪問なのに部屋も片付いているし、掃除も行き届いている。普段からちゃんと生活しているんだなぁと、そんなところも好ましく思う。

「あぁ」

 コテンと横になったら、天寧の匂いが強くなって包まれる感覚になる。

 他人のベッドなのに心地良い。


「栞菜ちゃん、寝てるの?」

 近づいてきたのが分かって、手を広げる。スッポリと腕の中に収まるとおでこをスリスリと擦り付けるからくすぐったくなる。

「ふふ、猫みたい」

「栞菜ちゃんの方がよっぽど」

「そ? あぁ……」

「どうしたの?」

「私ね、天寧に甘えてるんだと思うの」

「甘え?」

「私、今まで他人に嫌いなんて言葉使ったことないと思うの、だってそれ言ったら確実に関係悪くなるでしょ? 人付き合いが苦手だし距離の取り方もわからないし、常に壁を作っていたような気がする。だけど、本当に信頼できる人にはーーたとえばお姉ちゃんとかね、大嫌いとか平気で言ってた。昔から喧嘩はしょっちゅうだし、傷ついたり傷つけたりもしたけど、それでも何があっても嫌いにならない存在だったの。天寧にも、つい、そんな感じで言ってしまって、天寧なら分かってくれるって思っちゃって、甘えだと思う」

 私の背中に回されている天寧の腕にギュッと力が入った。

「私は甘えられて、光栄ですよ。私だって、何があっても絶対嫌いにならない自信あるから、安心して甘えて」

 あぁもう、ほんと、こういうところ。

 好きすぎておかしくなる。

「天寧、今日は無茶苦茶にしたい気分なんだけど、いい?」

「あ、そっちは甘えるんじゃないんだ」

「いい?」




「いい?」って聞いておきながら、答える間も与えずキスで唇を塞ぐ。

 何度も肌を重ねているけど今日はやけに気分が高揚している、ここが天寧の部屋だからだろうか。

 角度を変え何度も口付け下唇を喰めば、小さく吐息が漏れる。舌を少しだけ挿れペロリと舐める。もっと欲しいというように口を開けるから、奥まで差し挿れ舌を絡めあう。息継ぎのタイミングで離し見つめると瞳が潤んでいて頬も赤い。

「かわいい」

 Tシャツの裾から手を入れて素肌を撫でながら、首筋に口付ける。

「んん」

 お腹や脇腹を撫でながら耳たぶを舐める。

「あっ」

 天寧の弱いところは大体把握しているつもり。

 舌は耳の裏からうなじへ移り柔らかい部分を喰む。右手はちょうど良く手のひらに馴染む大きさの乳房を揉む。突起に指をかけた瞬間に、うなじへ強めに吸いつき跡を残す。時々同じ事をしているが、髪で隠れるためバレたことはない。私の独占欲の印。

「うっ……ん」

 私だけじゃなく天寧の顔も今日は一段と艶めかしい。

「天寧、興奮してる?」

「だって、久しぶり……」

「そっか我慢してたんだね、一人ではしてないの?」

「してな……あっ」

 私の愛撫に反応しながらも否定しようとする姿も愛おしい。

「本当に? 確認するよ」

 ハーフパンツと下着を一気に下ろす。

「ひゃっ」

 Tシャツはそのままで下半身を露出させてみる。

「やばっ、これエロいね」

 私自身も久しぶりだから全く余裕はない。足を広げてその間に割って入る。

「こんなになってるよ」

 指で掬って突起に塗りつける。

「あっだめ」

「ここ? 何がだめなの?」

「すぐ……いっちゃ」

「あぁ、それはダメだね」

 指の愛撫を止めて焦らした後、今度は一気に舌で舐めあげる。

「はぁぁん、うぐっ」

 一瞬の嬌声から、手で口を塞いでいる。

「天寧?」

「栞菜ちゃん、ここ壁が薄いから手加減……」

 あぁ、そうか。

「じゃぁ声我慢しなきゃね、頑張って」

 手加減なんてするわけないのに。

 再び秘裂をゆっくりと舐める。

「うぅぅ」

 必死に我慢する姿も健気で可愛い、好き、もっと気持ち良くなって欲しい。

 感じやすい突起に吸い付いて、ゆっくり指を沈めていく。

「ふぁぁ」

 腰が動くから逃げないようにホールドする。

「っや、だめって、あっ、あぁぁ」

 締め付けが凄い。



「声を我慢するとイキやすいって本当なんだね」

「栞菜ちゃんのイジワル」

「落ち着いたらもう一回お願いね」

「えっ」

「久しぶりなんだからいいでしょ」

「うぅ、栞菜ちゃんも脱いでくれるなら」

「ん、交渉成立」


 この後攻めたり攻められたりして、結局声は、まぁまぁ出ちゃってたって話。



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