「そうだ! 猫五郎! いや、ルックミー・チタイストーカー! 実はキサマはワシの生き別れた息子なのだ!!」
衝撃の事実を暴露するアール・バイター!
「ま、まさか……そんな……」
「嘘ではない。これをよく見るがいい…」
アール・バイターがロケットペンダントを突き出し、猫五郎はお目々を細めてそれを見る。
「これが紛れもない証拠だ」
「……これ、誰ですか?」
猫五郎が首を横に傾げるのに、アール・バイターは一瞬止まる。
「……え?」
アール・バイターは写真と猫五郎を何度も見比べる。
「いや、これはオマエで…」
「似ても似つかないですよ。
「そ、そんなハズは……」
アール・バイターはプルプルと震える。
「い、いや! 待て。そうだ。そのムラムラこそ…その、ヴァイブセイバーを扱えるムラムラッティこそがワシとキサマを結び付ける……」
「はあ? それで、親子って科学的に立証できるものなんですかぁ?」
「……」
猫五郎が理屈っぽく尋ねるのに、アール・バイターは押し黙る。
「ほ、本当なんだ…。 あ! そうだ! これがなによりの証拠だ!!」
「え?」
アール・バイターは仮面を脱ぐ!
現れた顔はなんて表現したものか……あえて例えるなら、平日の昼間から真っ白なタンクトップと茶色いハーパンにビーチサンダルという出で立ちで、ギィギィうるさい古びたチャリンコをこいで、咥えタバコ(もちろん路上禁煙区画で)をし、近所のスーパーにやって来ては、手当たり次第にスイカをゲンコツで叩き、「お。こいつは中身が詰まってんな」と独り言をのたまわっている感じの……そう! どこにでもいるオッサンに近かったのだ!!!
仮面で隠されていただけに、それが普通すぎるオッサンで期待外れ感が半端なかった!!
「コーポー」
ちなみに電子音っぽい呼吸音の正体は、壊れた鍵盤ハーモニカのノズルホースであり、そこに唾液が溜まり過ぎてコポコポいってただけなのであった!
なんで鍵盤ハーモニカなんか装備しているかといえば、それはアール・バイターの初恋の同級生からかっぱらったものを大事に肌身離さないで持ち歩いてムラムラしてたからという理由があるのだが、いまは関係ないので泣く泣く割愛させて頂く!! なんかスピンオフみたいなのができたら詳細を語らさせて頂きたい!!
「あ、アンタ……普通のオッサンじゃ……」
猫五郎の指摘の通り、アール・バイターはとても擬人化猫には見えへんかった!!
「よく見ろ! ルックミー・チタイストーカー! ワシのこの生え際を!」
アール・バイターは自らの額を指差す!
そりゃ薄ら禿げており、地肌がバチクソ見えていたが、残り少ない髪をセンター分けにしており、その分け目がハチワレにクリソツだったのだぁーー!!
「これがワシとキサマが親子である証拠なのだ!!」
そう断言するアール・バイターに、猫五郎は「はぁ?」とのたまう。
「そんなものが証拠に…」
「「ああッ!?」」
いきなり大声を出したオキーナとオ・ウーナに、猫五郎もアール・バイターも何事かとびっくら仰天する!
「な、なんですか?」
「ち、“
「ま、まさか生きていただなんて……」
驚愕するオキーナ、涙ぐむオ・ウーナ(モザイクでよく分かんねぇけど)は、アール・バイターを見ていた!
「「……は?」」
猫五郎とアール・バイターは状態が把握できずに困惑する。
「塵太郎? 誰だそれは…?」
アール・バイターの疑問に、オキーナは震える指でセンター分けのオッサンを指差す。
「は? 誰かと勘違いしてるのではないか? ワシはアナスキー・チタイストーカーという立派な本名が…」
立派かどうかはさて置いといて、アール・バイター……いや、アナスキーは狼狽える。
「いや、オマエは間違いなく塵太郎だよォ! ワタスがお腹を痛めて産んだ子だわさァ!!」
涙と脳味噌を飛び散らかせながらオ・ウーナがのたまう!!
「「ええーッ?!」」
猫五郎とアナスキーはびっくら仰天する!
「な、なにをトチ狂ったことを言っておるんだ、このクソババアは!?」
モザイクがかったババアから産まれたなんて当然に信じられなくて、アナスキーは喚き散らす!
「いや、真実だ」
オキーナがシリアスにのたまう。
「な、なに……」
なにやら、オキーナの全身からユラユラとオーラみてぇなもんが立ち昇る!
「こ、これはムラムラッティの力!?」
びっくら仰天するアナスキー!
「そう。この力は一子相伝のムラムラ! この力こそが我々が親子である証明だ!」
「「はぁーッ?!」」
あいや!
新事実に、猫五郎とアナスキーはやっぱりびっくら仰天(しつこいよ!)するのであーった!!