ゴンザレスがモモジリの外装を剥がしていく!
「は、搬入ハッチをこじ開けようとしています!」
「させちゃならないよォ! 副砲なにやってんだい! 弾幕薄いさねぇ!!」
オ・ウーナの指示で、モモジリーのどこにあんだかよく分かんねぇ副砲が発射された!
「あ!」
猫五郎がびっくら仰天するのも無理はなかった! なぜならば、砲撃がモモジリの外壁をブッ壊してしまったからであーる!!
そりゃ当然だ! 船体に張り付いている敵だけにピンポイントで当てて倒せるわけがねぇ!! ちょっと考えれば誰でも分かることだ!!
だが、畜生ばかりのこの艦にそんな常識など通用するはずがなーい!!
「今の攻撃でE13番通路で火災発生! 隔壁閉鎖します!!」
「敵機影ロスト!」
「な、なんだってェ!? どこに行ったんださねェ!!」
「先程出来た亀裂から、か、艦内に侵入したと思われます!」
オ・ウーナは鼻水をくったらかし、ついでに脳髄も飛び散らせた!
「……まあ、失敗は誰にでもあるさねェ」
「冗談はやめて下さい! なら、ここにアール・バイターが……」
猫五郎は主人公っぽく喉をコクリと鳴らしたのであーった!
☆☆☆
モウモウと立ち込める煙の中、自動消火ロボットが動き回り、そして開いてしまった外壁の応急措置を行う。
「敵はどこだ!?」
モモジリの名もなき船員たちが、ライフル銃を手に捜索を行っていた。
「ウッ!」
そして壁から突き刺さるようにして、頭と片腕を出しているゴンザレスを見やって、しこたまびっくら仰天する!
「停止している…?」
「侵入の衝撃で壊れたのか?」
まったく動く気配がなく、修理ロボットたちによって補填材の代わりにとばかりに、内壁にそのまま接着されていっていた。
「中のパイロットはタヒんだのか確認を…」
「班長! あれを!」
部下が指し示す方向を見やった班長はお目々を大きく見開く。
「グッ…ガ!」
「コーポー」
それは一瞬の出来事であった。瓦礫の中から飛び出してきたアール・バイターが、班長を横薙ぎに斬り捨てたのであーった!!
「あ、ああ!」
「う、撃てぇッ!!」
恐慌に陥った者たちが照準も定めずにレーザー銃を乱射する!
「コーポー」
ピシュン! ピシュン! ピシュン!
「ぐあー!」「ぎゃあ!」「うんもも!」
アール・バイターは巧みに光る剣みてぇな武器を操作し、レーザーを跳ね返したのであーった!!
「感じる。感じるぞ。猫五郎のムラムラッティを……」
アール・バイターはなんかヤベェことを口走りながら進む。
「よくも仲間を!」「ここから先は行かさせん!」
後からやってきた兵士たちがライフルを構えるが、アール・バイターは左手をおもむろに上げ、軽く握って上下にシェイクさせる!
「な、なに!?」「銃が勝手に!?」
アール・バイターの手の動きに合わせ、銃が激しく動く!!
コッキーンッ!!
「「ぶぅううッッッ?!」」
そして、船員たちの全員の股間に、すっぽ抜けた銃座が直撃した!!
悶絶し、その場に崩れる船員たち!
それを尻目にして、アール・バイターはなおも進む!
「コーポー。……待っていろ。猫五郎。すぐにワシが行くぞ」
☆☆☆
「ど、ど、ど、どうするんだぁ!?」
人生の終わりみたいな顔をしてゴリッポが取り乱す!
「慌てるでねぇ! こういう時に必要な三原則ちゅーもんがあるべさ!」
困った時の玉の袋、ベンザーが答える!
「さ、三原則? そ、それは一体なんなんだ!?」
「それは『お・か・し』!! 『
「それって避難訓練の時のじゃ…」
「まあ、いまは非常時だからあながち間違ってるとも言えないさねェ」
オ・ウーナが適当にのたまう。
「……猫五郎よ」
「え? なんですか? オキーナ艦長? な、なにやってんですか!? アンタ! この非常時に!!」
オキーナがなにやら股間をモゾモゾさせながら真剣な顔をしていた!
「受け取れ」
なんか股引から小汚い棒切れを取り出して渡そうとする!
「イヤですよ! なんですかそれ!? バッチィな!」
「いいから受け取れ。護身用だ」
「護身用のものをなんで股間に……って、コレは!!」
オキーナの手に握られたそれは、大人のオモチャであり、ボタンを押すとバイブレーションする“アレ”だった!!
「このクソジジイ!! いい加減にしろよ! こんな時にこんなもの!」
「違う。アダルティグッズに見えるが、そうじゃない。エロ推進派のお目々を誤魔化すために偽装しておる。それは極秘裏に開発された秘密兵器なのだ」
「はあ?」
「名を“ヴァイブセイバー”という。選ばれたムラムラの戦士しか使いこなせん」
「はあ?」
「いいから! 受け取れ!!」
オキーナは怒るが、それでも猫五郎が拒否感を露骨にしていると、アルコールウェットティッシュでヴァイブセイバーを乱暴に拭って放り投げた。猫五郎は仕方なく嫌々に受け取る。
「ダーリン…? まさか……」
オ・ウーナがなにやら言い掛けた瞬間、ブリッジの入口扉が斬り裂かれる!
「「き、来たぁ!」」
半ベソかいたゴリッポとベンザーが抱き合う。
「コーポー」
「アール・バイター……」
「見つけたぞ。猫五郎よ」
「なんでそこまで僕に……」
「それは……厶?」
「?」
アール・バイターが、周囲をチラリと見やる。
「猫五郎以外にもムラムラッティを感じる……いや、気のせいか」
「な、なんだ?」
「いや、気にするな。それよりも……猫五郎! んんッ!? その手に持っているものはヴァイブセイバーかぁ!?」
「え? これ?」
猫五郎はヴァイブセイバーを見やる。
「待て。猫五郎。いまムラムラしてはいかん……」
「は? なに言って……んんッ?!」
アール・バイターの持つ光る剣を見て、猫五郎は自身の奥底に眠るマグマのような滾りに気付いた!
なんか至ってノーマルなメンズでもAV男優の立派なモノを観て、脳内が性的興奮状態に至るとかかんとか、ミラーニューロンがうんたらかんたらみたいな、どっかの大学の研究論文的なそんな文献をどっかで見たような見たことがないような、もしかしたら間違いかもしれないけど、まあそんなんどーでもいっか♡
とどのつまり! 猫五郎が持つヴァイブセイバーが怒張…エレクションしたのであーる!
「おおおおッ!」
アール・バイターがびっくら仰天して数歩後ずさる。
「こ、これは“剣”だったのかぁ…!?」
青白い光を放ち、およそ両手幅ぐらいに伸長した猫五郎のヴァイブセイバーは、赤紫のアール・バイターが持つヴァイブセイバーと色こそ違うもののクリソツだった!!
「やはり、猫五郎は…」
「“光の性戦士”だったんだわさねェ!」
オキーナはオ・ウーナに台詞を取られ、唇を尖らかさせる。
「も、もしかして戦える……のか?」
猫五郎がヴァイブセイバーを振ると、ビョンヨ〜ンと柔らかゴムの感触でローションを飛び散らかせながら揺れる!!
「よ、よせ。猫五郎…。ワシはキサマと戦う気はないのだ」
「僕だって戦いは望まない! でも、そっちからストーキングした挙げ句に攻撃してくるなら別だ! 話したいならまずそっちから武器を捨てろ!」
猫五郎は悩んでいた。もしかしたら、今ならアール・バイターと有利に交渉できるかもしれないと思ったからであーる。
「……違う。違うのだ。猫五郎。これを見てくれ」
アール・バイターは懐からロケットペンダントを取り出して開く。
「そ、それは!」
そこに写る幼いハチワレ猫を見て、猫五郎はびっくら仰天する!
「そうだ! 猫五郎! いや、ルックミー・チタイストーカー! 実はキサマはワシの生き別れた息子なのだ!!」