俺たちは通路に入ると通路の中はらせん状の階段になっていた。
「大丈夫? モグラ野郎がつくった通路でしょう。また、罠があるんじゃないの?」
「あるかも、ですね。そこは私が調べながら行きますよ」
そう言って、槍で壁や階段を調べながらのぼると扉が目の前に現れた。
ドアノブがついており、俺は押してみたがびくともしない。
「ちょっと下がって」
二人を下がらせて引いてみたが、それでも動かない。
「鍵がかかってるの?」
そうは言ってもカギ穴自体が見当たらない。
俺は扉の隅々を調べてみて気が付いた。そういうことか。
俺はドアノブを回し、そのまま扉を横に引っ張った。
引き戸だ。
しかし、重い!
「早く、入って!」
二人が部屋に入るのを確認すると俺も体を滑り込ませて部屋に入ると、扉は自動的に閉まった。
部屋の中から見ると扉がロープで重しにつながっている簡単な自動で閉められるドアだ。
重しがちょっと重いぞ。もう少し軽めのにしておいてくれよ。
部屋に入るとそこは物置のように見える。古いつるはしやスコップ、錆びた防具や刃が欠けた斧など整備すれば使えそうなものが乱雑に置かれていた。
入ったところ以外に出入口が見当たらない。
俺たちはそこらへんに置かれている物をどかして上に通じる道がないか探した。
お! これってまだ使えるんじゃないか?
二匹の龍が絡まりあっている装飾を施した丸盾が出てきた。
錆も無くどこか壊れている様子もない。腕にはめるタイプなので両手も使えて便利だ。
龍の目には各々赤と青の宝石がはめられている。
俺は腕にはめて作業を再開することにした。
もしかしたらこの部屋じゃなかったのか?
俺は入ってきた重い扉をもう一度開けてみた。
ひんやりとした風がそっと俺の背中を押す。
いい風だ。
風?
「今、風が流れてきたということは、どこかに空いているところがあるはずだ」
俺は二人に言った。
「穴か何か空いてるのね。ちょっと待って」
ユリがそう言うと魔法を使った。
「ウンディーネ!」
小さな水の妖精が三匹空中に現れる。
三匹はユリの指示で部屋のあちらこちらに散らばっていった。
何だ? 召喚魔法? そういえばユリがどういう魔法を持っているか聞いていなかったな。
「あったわ! こっち」
荷物が高く積まれているところを指さす。
俺が荷物をどかすとそこには上に続く階段があった。
俺は階段を上がるとまた、扉があった。
扉を開けると大きな通路に出た。
周りにはゴブリンはもちろんアレックス達も見当たらない。
二人を呼んで通路に出ると、扉は自動で閉まる。扉はパッと見はただの岩に見えるようにカモフラージュされていた。
「ユリさん、ここからお姉ちゃんと別れたところまで案内をお願い出来ますか?」
ユリはさっき出した妖精をまた展開した。
「わかったわ。こっちよ」