俺は、辺境佰三男として王国に生をうけた。
神童と持て囃され、高い能力と溢れる魔力そして神より与えられし多くのスキルを訓練と努力で研ぎ澄ませた。[彼こそが王国の英雄] と目されている。奴が来るまでは。
奴は異世界よりの召喚者。
召喚早々に神々の多大な加護と能力・魔力・スキルを難徒もなく与えられている。
王国民は挙って奴を称え、王までが奴こそ勇者だと期待を寄せている。
また、奴は奢る事なく、期待に負けない力を示した。
そう! 難なく魔王を倒したのである。
王国中が歓声を上げて 奴を迎え、国王が自ら奴の功績を称えた。
俺の長年の努力は、何だったのか。
奴への嫉妬、王国に対する絶望が心に渦巻き 波立たせる。
どす黒い感情が魔力を闇に染めていく。そして何が俺に囁く。
「あんな奴が憎いか。我を認めぬ王国が憎いか。あいつを召喚した国王が憎いか。あいつを加護する神が憎いか・・・!」
「憎い。憎い!憎い!・・・全てが憎い!」
ここに新しい魔王が産まれた。