男が召喚された。
「王国は、魔王軍に攻められ風前の灯となっております。我々を助けて下され。」王は、男に懇願する。
男は戸惑いながらも了解した。
王は、男に力強い冒険者を仲間として紹介する。
・盾職のドワーフ筋肉マン
・優男の剣士
・堅物な賢者
・美エルフの魔法使い
・生真面目な聖女
・冴えない男 ・・?
「国王。最後の男の職業は?また、どの様な役割りが有るのでしょうか?」
「彼は、記録官です。全ての戦いを記録するのが彼の仕事となります。因みに、彼の戦闘能力は有りません。期待はしないで下さい。」
準備が整い、彼らは出発した。
幾多の戦いが有り、苦しみも悲しみも有った。勿論楽しい事も少しだけ有った。
全てが記録官により、記録された。
長い戦いの末、男たちは魔王を倒して凱旋した。王国民の歓声の中でのパレード、王の主宰する受勲式とパーティー。
記録官は、記録し続けた。
全てが終わり、記録官はひとり自室に籠りながら、長い戦いの記録をまとめ・・・。終わった。
残るは表紙に題名を記入する事で全てが終わる。記録官は、こう記入した。
[ 勇者の記録 ]
執筆者から一言。
召喚者は、魔王に勝ったから [ 勇者 ]となれた。
負けていれば [ ただの召喚者 ]と記録されたでしょう。