魔王は迷っていた。
先日、妙な商人より譲り受けた箱を前にして・・・。
妙な商人は、箱を譲り渡す際に、妙な言葉を残した。
その言葉は、「将来に勇者と戦い、魔王様の命に危険が迫った時に、この箱を開けて、中のアイテムを使用して下さい。
必ずや勇者はあなた様の命を助けて下さりますでしょう。決してお忘れなく。」
魔王は、一言呟いた。
「わしが、負けると言うのか。勇者には勝てないと言うのか。バカにするにもほどが有る。」と
時が流れ、今魔王の前には、勇者がいる。状況は最悪であり、魔王は満身創痍で立ち上がるのも辛い。
魔王の命も、風前の灯と言えるだろう。
「わしが負けると言うのか・・・あ!」
思い出した箱。半信半疑で開けて中のアイテムを握った時に、勇者は戦いを突然止めた。
唖然とする魔王。この状況を理解出来ていない。
だが、このアイテムの効力を確信した。
彼の右手に握られたのは、[ 真っ白な旗 ] ・・・。
日本人である勇者には、この意味が痛い程に理解されている。
戦いは終わった。
神界テレビの視聴者も、突然の結末に・・・唖然とする。
神界テレビ関係者達は、言い訳の様に一言、
「最近の勇者が強すぎて、つまらないと視聴率が下がり気味なの。
魔王も度々の死亡で候補すら育たない状況での即時の戦いでは、非常に不味すぎる。
今の魔王に力を蓄えて貰いリベンジの機会を。
未来の視聴率の為に。」