俺は魔王を倒すために修行の旅に出た。
何年もの間、何千何万の魔物を倒し、幾十のダンジョンを踏破した。
苦しさに幾度も嘆き、幾度と無い死闘が有った。
何度も辞めたい。帰りたい。と叫んだ事だろう。
しかし、勇者としての使命感が彼をこの異世界に止めた。
苦闘を共に歩む仲間達がいた。
こんなに弱い俺を愛し包み込んでくれる彼女がいた。
彼等が居たからこそ、俺は戦える。だから人々はこんな俺でも勇者と称えてくれる。
そして、とうとう俺らは、魔王を倒したのだ。
「チクショウ。涙が止まらないぜ。」
苦闘の日々。長い月日が走馬灯の様に流れていく。やっと終わったんだ。
神界テレビで見ていた女神は一言。
「良かったわ。」
そして、記録帳に書き残した。
【勇者は、死闘の末 魔王を倒した。】の一行のみを。