ウォーウルフを討伐に行くために、アリスは早起きをした。
アリスは荷物を肩掛けカバンに詰め、出かける準備を済ませてブルーノを待っていた。
外はどんよりと曇っていて、アリスをより不安にさせる。
「おはようございます、アリスさん」
「おはようございます、ブルーノ様」
ブルーノは動きやすそうな鎧を身にまとい、小さな袋を腰に付けていた。
反対側の腰には、大きな剣をぶら下げている。
「ブルーノ様、剣は重くないのですか?」
「これは、色々な戦いに一緒に挑んできた相棒みたいな物ですから、気になりませんよ」
そう言うとブルーノは剣を鞘からすっと引き抜き、構えて見せた。
「心強いです。ありがとうございます、ブルーノ様」
「お礼はウォーウルフ達を倒してからにして下さい。アリスさん」
「そうですね。では、行きましょうか」
「そうしましょう」
アリスとブルーノは荒れ地の道を、エルフの谷に向けて歩き出した。
しばらく歩くと、スライムが現れた。
「きゃっ」
「アリスさん、大丈夫ですよ。スライムくらいなら素手でも倒せます」
ブルーノはそう言ってスライムを素手で殴ると、スライムは逃げていった。
「ブルーノ様はお強いんですね」
「一応、国の第一騎士軍の隊長ですから」
その後は、乾いた風のなか、ただ黙々とエルフの谷を目指し二人は歩いた。
半日も歩いただろうか? やっと、エルフの谷の入り口が見えた。
「それでは私が先に入って、エルフの谷のレーンさんを探してみます。ブルーノ様。」
「分かりました。ウォーウルフがいるかもしれませんから気をつけて下さい、アリスさん」
アリスは辺りを見回しながら、エルフの谷の中に入っていった。
エルフの谷には怪我人があふれていた。
「人間までやってきたのか!? なにをする気だ!!」
エルフの傷ついた青年が、アリスを怒鳴りつけた。
「私はエルバの森に住むアリスと言います。レーンさんを訪ねてきました」
「レーンは戦いにウォーウルフに敗れて、あの家で寝ています」
アリスは青年の指さした方にある赤い屋根の家に向かった。