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悪役令嬢、剣を持つ。
悪役令嬢、剣を持つ。
初心なグミ
異世界ファンタジー冒険・バトル
2025年04月07日
公開日
1.8万字
連載中
アクション恋愛RPG『光と闇のトラオム』の世界に、悪役令嬢のルカ・エーデルとして転生した私。ルカはプレイアブルキャラでも無ければコレと言った情報も無いような、モブとして登場していた。 そんなルカについて知ってることは、魔王を討伐するパーティーに参加した一人ということだけ。しかしルカは世界最強の剣士の家庭に生まれ、魔王すらをも凌駕する程の基礎スペックを有していたのだ。 前世で剣術を修めていた私は、祖父に謂れた"何か大切なモノの為に生きる"をモットーに、あることをキッカケに戦いの道を進むことを決めたのであった。

【プロローグ】

第1話 「叛逆、そして時代の終末」


 ──神を殺す。

 猛々しく燃え盛る松明の傲慢ほのおが列を成し、烏滸がましい程の怒号と共に駆け揺れる時。

 我らが"母"に対する反抗心が薪火となり、その対になる片方の手には、一振の剣が固く握られている。

 それは神への叛逆であれば、例え我らが死しても、到底輪廻転生が叶う行いでなく……。

 なればこそ我らはみな、己が正しいと信じた未来だけを胸に、今こうして此処に立って在るのだ。


「本当に来てしまったのね……私の愛し子あなたたち……」


 我らの目には、部屋の窓から月夜を眺める母が一人。

 本来であれば母なる女神である彼女の瞳は、穢れの無い愛に満ち満ちていて美しいのが必然であるが。

 しかし、綺麗な紙に垂れた墨の如く、たった一筋の憂いがその清らかで美しい貴方を犯している。

 それが如何に我らの愚行が原因だとしても、いざ目の当たりにしたとき、これを悲しまない子は居ないだろう。

 敬愛あい慈愛あいされた母を殺さなければ、我らの信念が貫けないとは反吐が出る。


 悲しい。苦しい。虚しい。


 でも……それでも……。

 我ら人の知識欲は、未来を知りたいこの高まりは。

 簡単に棄てられるモノでなければ、我らはこの歩を停める訳にはいかないのだ。


「我らは知識欲の下僕なれば! 人の未来を阻むモノ、例え"母なる原初の女神"と言えど、断ち切るのみ!!」


「……そう。それが貴方達の選んだ未来なのですね……」


「うおおおおおおおおおおおお───!!!!!」


 我が手に神殺しの槍を携えて、目の前に鎮座している女神様に肉薄し、その身体を貫いたとき──。

 無責任な涙が頬を垂れている我らとは対象的に、当の本人である彼女は我ら人間を慈しむ様に微笑んでいた。


お眠りなさい、私の可愛い子ども達。……大丈夫です、母はみなを愛しております」



◆◆◆



 一人の半神と、一匹の元神がいた。

 二人は一緒に海へと堕ちる。

 そこは暗くて冷たくて、深いから。

 二人離れないように、互いの光を抱き合うのです。

 何時か訪れるその時に向けて、この愛が消えぬように。


「エヴィー!!」


「ツュッツ!!」


 神歴一万五千年、ユグドラシル、神の神殿にて。

 神と人が共存する神代の世に終末が訪れた──。


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