拝啓　十五の僕へ

　たしかに君の悩みは深刻だ。朝が来ると死にたくなって、夜が来ると消えたくなるよね。こんな日々が続くなら自分で終わらせてしまいたいって本気で考えているし、時間が経てば楽になるなんて慰めにはうんざりしている。

　知ってるよ。僕は君だから。

　たしかに君の悩みは時間が解決なんてしてはくれない。君だけの力では解決できない。君は八方塞がりの袋小路に迷いこんで、どっちが外かもわからなくなってる。だから君はすごく苦しいんだ。

　でも、同時に僕はこうもいってあげられる。

　君が悩む時間は十六になる前に(ほとんど)消失する(たまに反芻して身もだえる夜もあるからそこは頑張って乗り越えてくれ)。想像つかないだろうけど、そうなる。

　何故なら、死ぬことを夢想するより生きることに忙しくなるから。

　嘘だと思うだろう。この暗い日々がそんな風に変わるなんて少しも想像できない君のことだから、僕のことを嘘つきだと糾弾するかもしれない。

　でも本当なんだ。どうか最後まで聞いてほしい。

　この話は君がこれから経験する、つまり僕――羽山 優はやま ゆうが経験した本当の話だ。