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第24話 横浜デート

 2人で初めて横浜まで来た。


「うわ〜何年ぶりだろう」と私が言うと、

「そんなに前なのか?」と聞かれたので、

「うん、大学1年の頃に友達と来て以来かも〜4年ぶりかな?」と言うと、

「友達?」と聞く優星。

「うん友達! よ!」と言うと、

「そっか……」と笑っている。


「優星は?」と聞くと、

「あ〜〜いつだったかなあ? 誰と来たかなあ? 覚えてないな」と、棒読みで右上を見ながら言った。


「フッ、今の言い方、絶対嘘だ!」と言うと、

「ハハッ」と笑っている。


──きっと元カノと来たのだろう

でも、そう言うと、私が気にすると思って誤魔化したのだろう。


又ぎゅっと手を繋いで、赤レンガ倉庫まで行った。

夜まで居られれば、ライトアップが見られたのだろう。今日は昼間の景色を楽しむ。

美味しい物がたくさんあったが、中華街まで我慢。ショップを見て回る。


そこから山下公園で綺麗なお花を見て、海を見て一緒に写真をたくさん撮る。

今は、優星と一緒に居るのは、私なのだから、これからデートの思い出をいっぱい増やして行こう! と思った。


そして1番の楽しみ、中華街での食べ歩きがしたかったのだ。


「うわ〜何から食べようかなあ〜小籠包、肉まん、ジーパイ、フカヒレスープ、イカの丸揚げ、ミートパイ、海鮮エビ焼売、パンダまん、どれにする?」とたくさん有り過ぎて私は興奮していた。

「どれも美味そうだな、あっ! 花怜そっくり!」と、パンダまんを見ながら言う。

「え? 私パンダ顔なの?」と聞くと、

「うんうん」と笑っている。


この口のないパンダの顔に似ていると言う。

「パンダは可愛いけど、なんか違う! じゃあ優星は、あれだね」と豚角煮まんを指差した。

「えっ俺、豚?」と笑っている。

「うん! 可愛い〜」


「じゃあ、かぶりついて!」とか言うので、

「良し!」と、豚角煮まんにかぶりつくことに……

「色々食べたいから、分けっこして食べよ」

「おお」


「ガブッ! う〜ん、おいひ〜!」

「美味っ」

自然と笑顔になる。

色々少しずつ食べたいので、1/3が私、2/3を優星が食べることに……


「次、ジーパイ食べたい!」

ジーパイとは、台湾の唐揚げで、鶏肉を平たく開いて揚げてあるので、ハート型に見えると人気なのだ。サクサクの唐揚げは、とても美味しい。

当然、ハートに見えるので、写真を撮ってから。

「美味しかった」


優星が、

「1回フカヒレスープ行くか?」と言うので、

「うん」とスープを飲む。

「う〜ん」

「美味いな」

「うん、最高〜!」


リセットされたので、

「次は、小籠包と海鮮エビ焼売にしよう!」と、同時に買う。

小籠包は、中からたっぷりのスープが出て来て凄く熱かった。でも美味しかった。

私は、カップの蓋並みに、熱さが恐怖だったので、切って食べた。それを見て爆笑している優星。

「だって熱いんだもん」


海鮮エビ焼売は、カラッと揚げて3個串刺しにされている。タレと辛子を付けて食べる。食べ易くてエビの風味が良くとても美味しい。


「エビ好きには、たまらん」

「うん風味が良くて揚げてあるからカリッとして美味いな」

「うん、幸せ」と言うと笑っている。


でも、やっぱり〆《しめ》には、甘いパンダまんを食べたい。

それに行く前に、酸辣湯サンラータンを食べることにした。

とろみの有るスープでとても美味しかった。

「美味しい〜食べ易いね」

「うん、更に……」と、

優星は、更にお酢をかけている。

「え、追い酢?」

「うん、美味っ!」

──酸っぱそう……


「さあ〜パンダまん食べよ!」 

中は、チョコクリームだ。

「そろそろ甘い物が欲しかったのよね」

「共食い」と笑っている。

タピオカいちごラテも一緒に飲んだ。


「「ご馳走様でした」」

「もう無理!」

「結構食ったな」

「うん」


マンゴーかき氷が目に入り、

「あっ、あれも食べたかったけど、また次だなあ」と言うと、

「ふふ、花怜なら食べられるんじゃね?」と言うので、

「もう無理だわ! 今日は良い、また次ね」と言うと、

「うん、分かった」と微笑んでくれる。



「お土産に何か買って行くか?」と聞いてくれたので、やはり有名な焼売と、パンダまんと豚の角煮まんを1つずつ買って行くことに……


優星が買ってくれた。

「ありがとう。大福も買って来てくれたのに」

「ううん、コレは横浜のお土産だからな」と。

「そうだね」


すると、横浜大天后宮(媽祖廟まそびょう)では、縁結びの神様がいらっしゃったので、こちらで「優星と強い縁で結ばれますように」とお願いした。


──優星も、そうお願いしてくれたのかな


そして、公園まで歩いて、ベンチに座って海を眺めながらゆっくりお話をした。

私は、やっぱりどうしても、優星に聞きたくなってしまった。


「本当は、元カノと来たんでしよう?」


真剣な眼差しで聞いたので、優星も逃げられないと思ったのだろう。

「花怜は、聞きたいの?」と言うので、

「うん、聞きたい! もう過去の事なんでしょう?」

「もちろん!」

「なら、優星のこと全部知りたい!」と言っていた。

「分かった」と、話してくれた。


やはり大学生の頃、最後に付き合っていた年上の女性と来たようだ。

なんて事もなく、ただぶらぶらと……


「でも、今日花怜と居る方が楽しかった」と言った。

「え?」


「何でも美味しい美味しいって、本当に美味そうに食べるし、量はあまり食べられないくせに、分けっこしよう! って、色々食べたい! って可愛いと思った」


「だって、本当に色々食べたかったんだもん」と言うと、

「それに、花怜そっくりのパンダも居たし」と笑っている。

「似てないよ! もう少し可愛いパンダも居たでしょう?」


それぞれのお店で、色々な表情のパンダが居たのだ。

中でも、口のないパンダに似てると笑っている。


「キョトンとした時の花怜にそっくりなんだよ」とまた笑っている。

「私あんな顔してるんだ……」と言うと、

「何とも言えない表情が可愛い」と、ぎゅっと後ろから私を包み込む。


キュンとした。


周りには等間隔にカップルしか居ないので、誰も気にもしていない。


「優星だって……」と言うと、

「俺、あんな顔か?」と言うので、振り返って顔を見る。

「違う……かな」

──もっとカッコイイ

と思ってしまった。


「ハハ、良かった」と、またぎゅっと抱きしめて、

「朝、よく優輝と間違えなかったな」と言った。

「うん! コレだけ見てるんだから、分かるよ! 全然違う」と言うと、

「それが1番嬉しい〜」とぎゅっとする。

「ふふ、そうなんだ」


「花怜!」と呼ぶので、

「ん?」と振り向くと、チュッとキスをした。


──あっ、こんなところで……

と思ったが、

「今日は、花怜の家に行ったら、出来なさそうだから」と笑っている。


「ふふ、そうだね」

「あ〜なんか緊張して来た!」と言う。

「ハハ、今チュウしてたくせに」

「今からは、気合い入れなきゃな」と言う。

「ふふ」


嬉しかった。両親に会ってくれるって言ったから。本気なんだと思えたから……


「花怜!」と今度は、私の肩に自分の顎を乗せている。

「ん?」と言うと、

「俺、本気だからな!」と言ったので、驚いた。


──伝わった?


「これから先、花怜と、ずっとずっと一緒に居たいと思ってるからな」と言った。


「うん」

思わず笑みが溢れる。

「花怜は?」

と、不安なのだろうか、私にも確認する。

「ずっとずっと一緒に居たいと思ってるよ」

と言うと、

「良かった」と言った。


今日は、やけに素直だなと思ってしまった。


お腹が満たされて、また私は眠くなって来ていた。

「ん? 眠いか?」

「うん……」

「少し寝ても良いぞ」と自分に凭れろと、優星を椅子がわりにしてしまっている。


「可愛い」と、こめかみにチュッとした。


きゅんきゅんして、逆に眠れなくなってしまった。


「ん? 眠れない?」と言うので、

「うん」と言うと、

「じゃあ、次は何の話する?」と、

言うので、私は、この時とばかりに、

「う〜ん、後の3人の元カノの話」と言うと、

「え────? 俺の過去、全部暴露させられるのか?」と笑っている。

「うん!」

「ハハッ」と笑っている。



でも、優星は、話してくれた。

「何も隠すことはないから」と……

嬉しかった。


「じゃあ、そろそろ行きましょうか? 今日のメインへ」と言うので、

「うん!」と微笑んだ。





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