2人で初めて横浜まで来た。
「うわ〜何年ぶりだろう」と私が言うと、
「そんなに前なのか?」と聞かれたので、
「うん、大学1年の頃に友達と来て以来かも〜4年ぶりかな?」と言うと、
「友達?」と聞く優星。
「うん友達!
「そっか……」と笑っている。
「優星は?」と聞くと、
「あ〜〜いつだったかなあ? 誰と来たかなあ? 覚えてないな」と、棒読みで右上を見ながら言った。
「フッ、今の言い方、絶対嘘だ!」と言うと、
「ハハッ」と笑っている。
──きっと元カノと来たのだろう
でも、そう言うと、私が気にすると思って誤魔化したのだろう。
又ぎゅっと手を繋いで、赤レンガ倉庫まで行った。
夜まで居られれば、ライトアップが見られたのだろう。今日は昼間の景色を楽しむ。
美味しい物がたくさんあったが、中華街まで我慢。ショップを見て回る。
そこから山下公園で綺麗なお花を見て、海を見て一緒に写真をたくさん撮る。
今は、優星と一緒に居るのは、私なのだから、これからデートの思い出をいっぱい増やして行こう! と思った。
そして1番の楽しみ、中華街での食べ歩きがしたかったのだ。
「うわ〜何から食べようかなあ〜小籠包、肉まん、ジーパイ、フカヒレスープ、イカの丸揚げ、ミートパイ、海鮮エビ焼売、パンダまん、どれにする?」とたくさん有り過ぎて私は興奮していた。
「どれも美味そうだな、あっ! 花怜そっくり!」と、パンダまんを見ながら言う。
「え? 私パンダ顔なの?」と聞くと、
「うんうん」と笑っている。
この口のないパンダの顔に似ていると言う。
「パンダは可愛いけど、なんか違う! じゃあ優星は、あれだね」と豚角煮まんを指差した。
「えっ俺、豚?」と笑っている。
「うん! 可愛い〜」
「じゃあ、かぶりついて!」とか言うので、
「良し!」と、豚角煮まんにかぶりつくことに……
「色々食べたいから、分けっこして食べよ」
「おお」
「ガブッ! う〜ん、おいひ〜!」
「美味っ」
自然と笑顔になる。
色々少しずつ食べたいので、1/3が私、2/3を優星が食べることに……
「次、ジーパイ食べたい!」
ジーパイとは、台湾の唐揚げで、鶏肉を平たく開いて揚げてあるので、ハート型に見えると人気なのだ。サクサクの唐揚げは、とても美味しい。
当然、ハートに見えるので、写真を撮ってから。
「美味しかった」
優星が、
「1回フカヒレスープ行くか?」と言うので、
「うん」とスープを飲む。
「う〜ん」
「美味いな」
「うん、最高〜!」
リセットされたので、
「次は、小籠包と海鮮エビ焼売にしよう!」と、同時に買う。
小籠包は、中からたっぷりのスープが出て来て凄く熱かった。でも美味しかった。
私は、カップの蓋並みに、熱さが恐怖だったので、切って食べた。それを見て爆笑している優星。
「だって熱いんだもん」
海鮮エビ焼売は、カラッと揚げて3個串刺しにされている。タレと辛子を付けて食べる。食べ易くてエビの風味が良くとても美味しい。
「エビ好きには、たまらん」
「うん風味が良くて揚げてあるからカリッとして美味いな」
「うん、幸せ」と言うと笑っている。
でも、やっぱり〆《しめ》には、甘いパンダまんを食べたい。
それに行く前に、
とろみの有るスープでとても美味しかった。
「美味しい〜食べ易いね」
「うん、更に……」と、
優星は、更にお酢をかけている。
「え、追い酢?」
「うん、美味っ!」
──酸っぱそう……
「さあ〜パンダまん食べよ!」
中は、チョコクリームだ。
「そろそろ甘い物が欲しかったのよね」
「共食い」と笑っている。
タピオカいちごラテも一緒に飲んだ。
「「ご馳走様でした」」
「もう無理!」
「結構食ったな」
「うん」
マンゴーかき氷が目に入り、
「あっ、あれも食べたかったけど、また次だなあ」と言うと、
「ふふ、花怜なら食べられるんじゃね?」と言うので、
「もう無理だわ! 今日は良い、また次ね」と言うと、
「うん、分かった」と微笑んでくれる。
「お土産に何か買って行くか?」と聞いてくれたので、やはり有名な焼売と、パンダまんと豚の角煮まんを1つずつ買って行くことに……
優星が買ってくれた。
「ありがとう。大福も買って来てくれたのに」
「ううん、コレは横浜のお土産だからな」と。
「そうだね」
すると、横浜大天后宮(
──優星も、そうお願いしてくれたのかな
そして、公園まで歩いて、ベンチに座って海を眺めながらゆっくりお話をした。
私は、やっぱりどうしても、優星に聞きたくなってしまった。
「本当は、元カノと来たんでしよう?」
真剣な眼差しで聞いたので、優星も逃げられないと思ったのだろう。
「花怜は、聞きたいの?」と言うので、
「うん、聞きたい! もう過去の事なんでしょう?」
「もちろん!」
「なら、優星のこと全部知りたい!」と言っていた。
「分かった」と、話してくれた。
やはり大学生の頃、最後に付き合っていた年上の女性と来たようだ。
なんて事もなく、ただぶらぶらと……
「でも、今日花怜と居る方が楽しかった」と言った。
「え?」
「何でも美味しい美味しいって、本当に美味そうに食べるし、量はあまり食べられないくせに、分けっこしよう! って、色々食べたい! って可愛いと思った」
「だって、本当に色々食べたかったんだもん」と言うと、
「それに、花怜そっくりのパンダも居たし」と笑っている。
「似てないよ! もう少し可愛いパンダも居たでしょう?」
それぞれのお店で、色々な表情のパンダが居たのだ。
中でも、口のないパンダに似てると笑っている。
「キョトンとした時の花怜にそっくりなんだよ」とまた笑っている。
「私あんな顔してるんだ……」と言うと、
「何とも言えない表情が可愛い」と、ぎゅっと後ろから私を包み込む。
キュンとした。
周りには等間隔にカップルしか居ないので、誰も気にもしていない。
「優星だって……」と言うと、
「俺、あんな顔か?」と言うので、振り返って顔を見る。
「違う……かな」
──もっとカッコイイ
と思ってしまった。
「ハハ、良かった」と、またぎゅっと抱きしめて、
「朝、よく優輝と間違えなかったな」と言った。
「うん! コレだけ見てるんだから、分かるよ! 全然違う」と言うと、
「それが1番嬉しい〜」とぎゅっとする。
「ふふ、そうなんだ」
「花怜!」と呼ぶので、
「ん?」と振り向くと、チュッとキスをした。
──あっ、こんなところで……
と思ったが、
「今日は、花怜の家に行ったら、出来なさそうだから」と笑っている。
「ふふ、そうだね」
「あ〜なんか緊張して来た!」と言う。
「ハハ、今チュウしてたくせに」
「今からは、気合い入れなきゃな」と言う。
「ふふ」
嬉しかった。両親に会ってくれるって言ったから。本気なんだと思えたから……
「花怜!」と今度は、私の肩に自分の顎を乗せている。
「ん?」と言うと、
「俺、本気だからな!」と言ったので、驚いた。
──伝わった?
「これから先、花怜と、ずっとずっと一緒に居たいと思ってるからな」と言った。
「うん」
思わず笑みが溢れる。
「花怜は?」
と、不安なのだろうか、私にも確認する。
「ずっとずっと一緒に居たいと思ってるよ」
と言うと、
「良かった」と言った。
今日は、やけに素直だなと思ってしまった。
お腹が満たされて、また私は眠くなって来ていた。
「ん? 眠いか?」
「うん……」
「少し寝ても良いぞ」と自分に凭れろと、優星を椅子がわりにしてしまっている。
「可愛い」と、こめかみにチュッとした。
きゅんきゅんして、逆に眠れなくなってしまった。
「ん? 眠れない?」と言うので、
「うん」と言うと、
「じゃあ、次は何の話する?」と、
言うので、私は、この時とばかりに、
「う〜ん、後の3人の元カノの話」と言うと、
「え────? 俺の過去、全部暴露させられるのか?」と笑っている。
「うん!」
「ハハッ」と笑っている。
でも、優星は、話してくれた。
「何も隠すことはないから」と……
嬉しかった。
「じゃあ、そろそろ行きましょうか? 今日のメインへ」と言うので、
「うん!」と微笑んだ。