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0046 大丈夫ですか?

「お、おい!! たいへんって、いったい何があった?」


銀髪の男が落ち着いた様子で言いました。

すこしこの銀髪の男は知的な感じがします。


「はい、この先で、化け物の様に強い奴が暴れていて手が付けられません。助けてください!!」


「仕方がねえ行ってやる案内しろ!!」


「僕も同行しましょう」


マモリ様と三人のガンネスファミリーの屈強な男達は、男の案内でお店を飛び出しました。

マモリ様は新たな戦いに参加するようです。

これでは、ユウキ達が呼んでもマモリ様がすぐに来られないかも知れません。

私は、この事をユウキ達にすぐに伝えるため、ユウキ達の所の分体に意識を集中します。






「たたた、たいへんです!!」


私はユウキの耳元で言いました。


「山神様、ニャを付け忘れていますよ」


ユウキとエイリとノブコはベンチに座って、ペットボトルの水でのんきに水分補給をしています。

男子生徒達は、戦っても勝てないと思っているのか、地べたに座り込みユウキとエイリとノブコの姿をボーーッと見ています。


「はーーっ、ついあわててしまって付け忘れたニャーー!! じゃ、ないニャ! たいへんニャー!!」


「うふふ、何ですか、いったい? あっ!! 来ました!!」


ユウキはマモリ様と違って「たいへん」と聞いても落ち着いています。

余裕の笑顔です。

そして、路地から出てくる男達を見つけて険しい表情になりました。


――いまマモリ様を呼んでも、マモリ様は来られないと言うのにー!


私がそれを言う前に、一人の男子生徒に先導されて路地から巨大な体の外国人が来ました。

見るからに強そうです。


「カブランさんだ、うおっ、アスランさんとクートさんまで」


総長が外国人の姿を見ると元気を取り戻して言いました。


「ひゃああぁはっはっはーー!! おまんらは、もうおしまいじゃーー!! あの方はこのあたりじゃあ、三狂獣と呼ばれている。もっとも恐ろしいお方じゃ。残忍で滅茶苦茶つえーー!!」


副総長は立ち上がると、ユウキ達のいるベンチに近づきます。

ユウキとエイリとノブコに緊張が走ります。


「カブランさん、すみません。お手数おかけします」


総長は、金髪で短く刈り込んだ頭の男に言いました。

体が大きくて、顔も凶悪そのものです。

まるでジャングルの肉食獣です。


「アスランさん、クートさんまで来てもらえるとは、感謝します」


副総長が丁寧に標準語で言います。

アスランと言ったときに見たのは、体がカブランと同じ位で長い赤髪の男でした。

表情はやはり凶悪で、草原の肉食獣です。

クートは銀髪で肉食獣二人と比べると知的な感じの男です。

体はカブランとアスランに比べると、一回りきゃしゃに見えます。


「き、きさまらーーーー!!!! 誰に手を出したかわかっているのかーーーー!!!!!!」


カブランが絶叫に近い大声で言いました。

まるで、猛獣の咆哮です。

それを聞くとユウキとエイリとノブコの体が大きくふるえだしました。

さすがの三人も体が恐怖に支配されたようです。


――いっ、いけません!


ユウキとエイリとノブコは体が、いうことを聞かないようです。

小指を上に上げましたが震えてしまってうまく合せることができないようです。

でも、もし、それが出来ても神様はすぐには来られません。


「ひゃあぁぁはっはっはっはっーーーーーーーー!!!!」


座り込んでいた不良男子生徒達が元気を取り戻し、全員立ち上がります。

そして、勝ち誇ったように怯える子ウサギのような、ユウキとエイリとノブコを見て嫌らしく笑います。

そして、怒りに満ちた目でにらみつけました。


「ううっ……」


ユウキとエイリとノブコの目には涙がドンドン溜まっていきます。

もう少しで、あふれ出しそうです。

絶体絶命の大ピンチです。


「やあ、ユウキ、エイリとノブコもこんな所で何をしているの? ここは化け物が暴れているから危険だよ」


マモリ様の声です。

三人の恐い三狂獣の後ろから、ひょこっと白と黒のかわいいウェートレス姿のマモリ様が現れました。


「かみさまーー!!!!」


三人が近づいてくるマモリ様に抱きつきました。


「お前達、まさかこの御三方に失礼な事をしていないだろうな。この御方達こそ、我がガンネスファミリーの守護神、金玉の神様の使徒様だ。もし失礼があったのなら、生かしちゃおけねえぞ」


金髪のカブランが目を血走らせて言いました。


「えええぇぇぇぇーーーーーーーーーっっ!!!!!!」


不良男子高校生達から、絶叫に近い「ええーー」が出ました。


「き、金玉の神様ーー??」


あらあら、ユウキとエイリとノブコが思わず言いました。

かわいい女子高生が金玉なんて口にしてはいけませんよ。


「もーー、金玉はやめてっ、て言っているでしょーー!!」


マモリ様が言います。

この人、もう、かわいい女の子にしかみえません。


「で、では、ゴホン、チンコの神様」


「それもだめですぅー! マモリと呼んで下さーーい!!」


「おお、マモリ様ですか」


「そうです。ところで化け物は?」


「おおっ!? おめー達、化け物はどこにいるんだ?」


「えっ??」


総長の目が点になりました。

そして、視線がマモリ様にしがみつくユウキ達に向けられました。


「ふふふ、ユウキ達と戦ったんですか?」


「は、はあ……」


総長はしょんぼりして返事を返しました。


「てめーー!!!!」


カブランが猛獣の目でにらみ付けます。


「ひっ!!」


総長は悲鳴をあげます。

少し同情しちゃいます。


「くっくっくっ、俺達はこの御三方にピザにされたんだ。壁に上半身がつぶされてピザのようになり、そのピザに下半身が生えているようだったと聞いた」


銀髪のクートが言います。

三狂獣は、小指を腕までえぐり取られた、手のひらをユウキ達三人に見せました。

ユウキ達は、あの日三狂獣が血だらけだったので、顔が分からなかったようです。三狂獣の手を見て、三人が誰なのかを理解したみたいです。

私も思い出しました。

お店にいた三人です。薄暗くて顔がよく見えなかったのでわからなかったのです。


「なっ!!!!」


不良男子生徒達が全員驚きの声を出しました。


「俺達だってかなわねえ、そのくれえこの御三方はとんでもねえお方だぞ。よく無事でいたもんだ。だが、全員今から俺達がぶち殺す覚悟しやあがれ!!」


赤髪のアスランが声を荒げて言いました。

マモリ様が猛り狂うアスランに片手を上げてそれを制します。


「ねえ、ユウキ、この騒ぎの原因は何ですか?」


「はい、あの、この人達が駅前でたむろして、うちの学園の生徒達をエッチな目で見てくるので迷惑をしています。それをやめてもらいたくて交渉に来ました」


ユウキがマモリ様に抱きついたまま、滅茶苦茶あまえた声で可愛くいいました。


「なら、こいつら全員ぶち殺しゃあ解決ですぜ」


金髪のカブランが言いました。

マモリ様は流し目でカブランを見ました。

そこに殺意でも感じたのでしょうか、カブランは顔中に汗が吹き出しています。


「子供のしたことです。大目に見ましょう。それより、君達は男の子でしょ。女の子は守らないとね。命を助けますから、今日からは、幸魂女学園の女の子達を守ってあげて下さい。出来ますか?」


総長と副総長が素早く何度もうなずいています。


「じゃあ、僕もユウキ達と学園に戻ります。図書室で動物図鑑を見てきます」


そう言うとマモリ様は、一瞬で幸魂学園の制服にかわりました。

その時わずかに下着姿が見えましたよ。

ブラジャーまでしているようです。

男の視線を全部集めました。

でも、マモリ様は男ですからね。大丈夫ですかー?

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