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0072 悪い笑顔

「ガンネェェーース!!!!」


マモリ様が大声を出しました。

その声は変声期前の男の子の声です。

澄んでいて、女性声優が男の子の声を出しているみたいな、とても聞き心地の良いうっとりするような声です。

やさしいマモリ様は、ガンネスみたいな悪党でも心から心配しているみたいですね。


「マモリ様、大丈夫です。心配には及びません!」


ガンネスは言いながら、太ももの付け根にかぶせている豪華な布をゆっくり持ち上げました。

太ももの付け根から金玉が出て来ました。

もちろんガンネスの汚い金玉ではありません。

ああっ、汚いかどうかは見た事が無いので知りませんけど。


出て来たのは、豪華な小さな座布団のような物の上に置かれた、マモリ様の紋章の入った、純金製の金の玉です。

ガンネスがその玉を、小さな座布団に乗せたまま持ち上げてマモリ様に見せました。


「ふふっ」


マモリ様がほっとした表情になり微笑みました。

とても、可愛い良い笑顔です。


「おい、ヤロー共!! おめー達も見せねえか!!」


ガンネスが大切そうに、また金玉に布をかぶせながら言いました。


「おおおおぉぉぉぉーーーーーーっ!!!!!!」


観客席のガンネスファミリーの手下が、首からぶら下げたお守り袋から銀色のチンコ玉を出して、それを人差し指と親指で挟み高く頭上へ上げました。

観客席から白い光が星のようにキラキラ輝き出します。

二千個程のチンコ玉が、照明の光を一斉に反射して、まるで光を反射している水面のようです。

観客席にいるのは全員チンコ玉を持っている人です。


「こんなこともあろうかと、用意しておきやしたーー!!」


マモリ様は満足そうに大きくうなずきました。


「何をやってやあがる。馬鹿が、ぶち殺せーーーー!!!!」


ファルコンファミリーのボスは、マフィア連合の手下達がガンネスファミリーの包囲を終わるのを見て言いました。

マフィア連合の手下達は、命令を聞くと手にする銃の引き金を引きました。

あたりに銃声が響き、閉鎖空間のコロシアムに響き渡る爆音で耳が聞こえなくなりました。


そして、硝煙があたりを真っ白にして、何も見えなくなりました。

火薬のにおいがコロシアムに充満します。

それでも、銃声は止まりません。

持っている銃弾が尽きるまで撃つつもりのようです。


「…………」


しばらく銃撃が続き、やがて弾を撃ち尽くしたのか銃声が止まりました。

ガンネスファミリーのいる観客席からは、何も音がしなくなりました。

沈黙が続きます。


「ふふふっ……はははは……あーはっはっはっーー!! ふぁーはっはっはあーーーーーーっ!!」


ファルコンファミリーのボスの笑い声が聞こえてきます。

勝ち誇った嫌な笑いです。


「……」


ガンネスファミリーからは物音が何も聞こえません。

ようやく、硝煙が薄らいで来ました。


「な、なんだと!!??」


ファルコンのボスが驚きの声を上げました。


「すっ、すげーーー!!!!」


こんどはガンネスが驚いて言いました。

なんと……。

銃弾が全て、空中で止まっています。

何万発という弾丸がガンネスファミリーのまわりを丸く囲むように宙に浮いて止まっています。


「さて、皆さん。今度はこちらの番です。全員思う存分こころ行くまで暴れてください。敵は全員地獄送りです。闘技場に投げ落としてください。闘技場に落ちた人間を順次地獄へ送り届けます」


マモリ様が言い終わると、銃弾が全て床にゲリラ豪雨のように音を立てて落ちました。


「ヤロー共!! 聞いたかーーっ!! 我らが守護神、マモリ様に張り切って良いところを見せるんだーー!! そして、ガンネスファミリーの恐ろしさを二度と忘れねーように心に刻んでやれーー!!!!!!」


「おおおおぉぉぉぉーーーーーーっ!!!!!!」


ガンネスファミリーから喊声があがりました。

ガンネスファミリーの手下が、ノロノロチンコ玉をお守り袋に戻して、敵のマフィア連合の中に次々飛び込みます。


「うぎゃあああぁぁぁーーーーっ!!!!」


敵のマフィア連合から、断末魔の悲鳴が聞こえます。


「何をしているのですか? アスランとカブランとクート! ここに居ると地獄行きですよ。うふふっ!! 僕に三狂獣の雄姿を見せて下さい」


マモリ様は三人と順番に視線を合わせました。


「おっおおっ!!!!」


三人は目をキラキラ輝かせて観客席の敵のマフィア連合の中に飛び込みます。


「ダニー、ズラー、待たせましたね。仕事を頼んでよろしいですか」


武闘大会で、くやしい思いをしたダニーとズラーにやさしく声を掛けました。


「どうせなら、命令して欲しいダニ」


「そうズラ」


「そうデェス」


「では、ファルコンファミリーのボスを捕まえて僕の前に連れて来て下さい。護衛の手下はずべて闘技場へ落として下さい」


「……マモリ様は致命的に命令が下手ズラ」


「くっ……さ、さ、さっさといけぇぇーー!!」


マモリ様は両手をあげて、顔を真っ赤にしながら言いました。


「くふっ! はっ!!!」


三人のカッパ達は、うれしそうに笑いながら駆け出しました。

うふふ、マモリ様の命令はまだ可愛いままでしたが、三人は納得したみたいですね。


「うぎゃあああぁぁぁーーーー!!!!」

「ぐえぇぇぇぇーーーーっ!!!!」

「ごぽ、ごぽ、ごぽ、ごえぇぇぇぇーーー!!!!」

「ぎゃあああぁぁぁぁーーーーーー!!!!」


マモリ様が手を上げて獄門を開きました。

地獄からの寒気のするような、断末魔の悲鳴がコロシアム中に響き渡ります。

観客席から宙を舞い、ドスンドスンと投げ飛ばされたマフィア連合の手下達が闘技場のマモリ様の前に落ちてきます。


「マモリ様ーーーー!!!! いきやすぜーー!!!! どせーーーい!!!!」


アスランが大声を出しました。

次々、雨のように人が降ってきます。

カブランもクートも同じように張りきってアスランに負けないように、投げ飛ばします。

あっという間に人の山が出来ていきます。


「ふふっ、三人とも張りきっていますね。では、そろそろいきますか。いでよ獄炎、闘技場にいる地獄にふさわしき者を連れていけ!!」


獄門から、地獄の炎が出て来ます。

その炎が手の形になり、次々闘技場の男達を獄門の中に連れ去ります。


「ニャッ!!」


私は驚きの声が出ました。


「ふふふっ、さすがですね。安土様はもう気がつきましたか?」


マモリ様が悪い笑顔になりました。

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