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0075 キュートルスリー!

「ミミイさん、お聞きしてもよろしいですか?」


ユウキは、マモリ様を見てニッコリ笑うと立ち上り、ミミイちゃんに話しかけました。


「はい、なんですのぉ」


「あ、あのー」


ユウキが少し恥ずかしそうにしています。


「はい、ですのぉ」


「へ、変身の事なのですが」


なるほど、ユウキの目的はミミイちゃんの変身魔法に有るようです。


「これの事ですのぉ」


ミミイちゃんは手のひらを、コングに向けました。

すると、コングの見た目が普通の人の姿になります。


「すごい! すごいすごい!! これです!! これですとも!!」


ユウキの目がキラキラ光ります。

嫌な予感しかしません。


「す、すごいです!」

「す、すごいですわ!」


ノブコとエイリも舞台に上がって来ました。


「あの、あの、その魔法は私達にも使えますか?」


「はい、大丈夫ですのぉ」


「どんな姿にでもなれますか?」


「はい、私が具体的に見た事が有る物になら出来ますのぉ」


「ノブコちゃん!! 持って来ていますか?」


「ふっ、ふっ、ふっ! こんなことも有ろうかと、こんなことも有ろうかとーー!! わたくしは、いつも肌身離さず持っていまーーす!」


ノブコのメガネのレンズが、キラリと白く光を反射します。

そして、そのメガネを左手の人差し指でクイッと持ち上げます。

右手でポケットから、折りたたんだ紙を出してゆっくり広げました。


「おっ、おおーーっ!!!!!!」


ユウキとエイリがその紙をのぞき込んで声を出しました。

その紙には、リアルな感じで女性ヒーローのコスチュームが3Dでプリントアウトされています。

部室のパソコンで作った物のようです。


「私達を、この姿に変身出来ますか?」


「うふふ、たやすいですのぉ」


「では、私達が、ヴァルキリーレボリューションと言ったら変身させて下さい」


「はいですのぉ」


「では、エイリちゃんとノブコちゃん、いきますよ」


「はいですわ!!」

「はい、わかりました!!」


三人は、右手の小指を立てると頭の上に上げて、その小指を重ねあわせます。


「ヴァルキリー! レボリューション!!」


ユウキとエイリとノブコの三人が声を合せて言いました。


「おおーーとっ!! 舞台の上で三人の少女達の体が輝いています。いったい何が始まるというのでしょうかーー!! おおーーとっ!! 三人が裸になります。一糸まとわず素肌が丸見えでーーす。一瞬の事でしたが、あれほどの美少女三人の裸です。私はミニスカートの中も見逃さずのぞく男です。見逃すはずがありません!!」


マーシーはまだ放送席にいたようですね。

本当に、変なところで真面目ですね。


「きゃあ!! ミミイさん!!」


三人が悲鳴を上げて、胸と股間を手で隠します。


「ああー、大丈夫ですのぉ。演出ですのぉ。そう見えているだけですのぉ。ちゃんと服は着たままですのぉ。私の魔法は見た目が変わるだけで、あとは何もかわらないですのぉ」


よかったです。演出でした。

服を着たままなので、合法のはずです。

ヒヤッとしました。


「おおーーとっ!! 三人の姿が、戦隊ヒーローがヒラヒラの可愛い衣装を着た姿に変身しましたー。 って、おーーい!! おかしい、おかしいから、なんで三人とも青色なんだー! しかも、一人は普通のブルーだが、残りの一人は水玉、もう一人はストライプって、おかしい、おかしい。そこは、赤とピンクでいいだろう! 変えて変えて!!」


マーシーが放送席で首を振っています。

ユウキとエイリとノブコは舞台でジャンケンをしました。

ユウキがミミイちゃんの耳元にヒソヒソ声をかけました。


「ヴァルキリー! レボリューション!」


再び、頭の上で小指をあわせます。


「おおーーとっ!! 全国の中年男性の皆さん、美少女三人のはだかでーーす。そして、青と黄色と緑のヒーローになりましたーー!!」


マーシーが目を血走らせて、興奮して言いました。

何を興奮しているのでしょうか?

そう見えているだけです。本物ではありません。

でも、けっこうリアルです。

ユウキのはぺったんこ、エイリのはそれなりに、ノブコのはプルンプルンゆれています。


「キュートルブルー!!」


ユウキですね。


「キュートルイエロー!!」


エイリです。


「キュートルグリーン」


そして、ノブコですね。


「三人あわせてキュートルーー!! スリーー!!」

「三人そろってキュートルーー!! スリーー!!」

「私達、キュートルーー!! スリーー!!」


「おおーーとっ!! テレビでおなじみ名乗りとポーズですが、なんということだーー最後がバラバラだーー!! そこは、練習しとけよーー!!」


「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!! ボォーース!!!! 助けに来やしたーー!!!!」


「おおーーとっ!! 丁度良いタイミングで、ファルコンファミリーの応援がやって来たーー!! さっき地獄送りにならなかった者達が、応援を呼んで来たようでーーす。全員手に拳銃を持っています。なんということだーー。私は再び机の下にかくれまーーす!!」


「神様、デェスさん。ここは私達三人に任せて下さい!!」


ユウキが胸に手を当てながら言いました。


「うん、気を付けてね。力を入れすぎると死んじゃうからね」


マモリ様は、ファルコンファミリーの手下の心配をしています。


「はい! ハアアアアアァァァァァーーーーーーーー!!!!」


三人がファルコンファミリーの手下に向って走り出しました。

銃声がコロシアムに響きます。


「ぐわあぁ」

「ぐはっ」


次々、闘技場にファルコンファミリーの手下が落ちてきます。


「な、何なんだ、何なんだーー!!!! 次から次へと、一体どうなってやーがる!!」


ガンネスファミリーのVIP席でファルコンファミリーのボスがうろたえています。


「ひっひっひっ!!!! つえーだろー、ありゃあ、我らの守護神様の使徒様だ!! よーく見ておくんだな!!」


ガンネスが笑っています。


「いかーーん。このままでは全滅だーー!!!!」


ファルコンファミリーのボスが、VIP席を飛び出します。


「マモリ様、キュートルスリーーってどう言う意味なのデェスか?」


「あー、名前からです。部室で密談していました」


マモリ様がデェスちゃんの質問に答えました。

名前?

ユウキの名前は、留富勇希。

エイリの名前は、十田愛莉。

ノブコの名前は、旧仲信子。

あーー、旧十留、キュウトルということでしょうか。


あの子達、部活の時間に何をやっているのでしょうか。困ったものです。

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