「ミミイさん、お聞きしてもよろしいですか?」
ユウキは、マモリ様を見てニッコリ笑うと立ち上り、ミミイちゃんに話しかけました。
「はい、なんですのぉ」
「あ、あのー」
ユウキが少し恥ずかしそうにしています。
「はい、ですのぉ」
「へ、変身の事なのですが」
なるほど、ユウキの目的はミミイちゃんの変身魔法に有るようです。
「これの事ですのぉ」
ミミイちゃんは手のひらを、コングに向けました。
すると、コングの見た目が普通の人の姿になります。
「すごい! すごいすごい!! これです!! これですとも!!」
ユウキの目がキラキラ光ります。
嫌な予感しかしません。
「す、すごいです!」
「す、すごいですわ!」
ノブコとエイリも舞台に上がって来ました。
「あの、あの、その魔法は私達にも使えますか?」
「はい、大丈夫ですのぉ」
「どんな姿にでもなれますか?」
「はい、私が具体的に見た事が有る物になら出来ますのぉ」
「ノブコちゃん!! 持って来ていますか?」
「ふっ、ふっ、ふっ! こんなことも有ろうかと、こんなことも有ろうかとーー!! わたくしは、いつも肌身離さず持っていまーーす!」
ノブコのメガネのレンズが、キラリと白く光を反射します。
そして、そのメガネを左手の人差し指でクイッと持ち上げます。
右手でポケットから、折りたたんだ紙を出してゆっくり広げました。
「おっ、おおーーっ!!!!!!」
ユウキとエイリがその紙をのぞき込んで声を出しました。
その紙には、リアルな感じで女性ヒーローのコスチュームが3Dでプリントアウトされています。
部室のパソコンで作った物のようです。
「私達を、この姿に変身出来ますか?」
「うふふ、たやすいですのぉ」
「では、私達が、ヴァルキリーレボリューションと言ったら変身させて下さい」
「はいですのぉ」
「では、エイリちゃんとノブコちゃん、いきますよ」
「はいですわ!!」
「はい、わかりました!!」
三人は、右手の小指を立てると頭の上に上げて、その小指を重ねあわせます。
「ヴァルキリー! レボリューション!!」
ユウキとエイリとノブコの三人が声を合せて言いました。
「おおーーとっ!! 舞台の上で三人の少女達の体が輝いています。いったい何が始まるというのでしょうかーー!! おおーーとっ!! 三人が裸になります。一糸まとわず素肌が丸見えでーーす。一瞬の事でしたが、あれほどの美少女三人の裸です。私はミニスカートの中も見逃さずのぞく男です。見逃すはずがありません!!」
マーシーはまだ放送席にいたようですね。
本当に、変なところで真面目ですね。
「きゃあ!! ミミイさん!!」
三人が悲鳴を上げて、胸と股間を手で隠します。
「ああー、大丈夫ですのぉ。演出ですのぉ。そう見えているだけですのぉ。ちゃんと服は着たままですのぉ。私の魔法は見た目が変わるだけで、あとは何もかわらないですのぉ」
よかったです。演出でした。
服を着たままなので、合法のはずです。
ヒヤッとしました。
「おおーーとっ!! 三人の姿が、戦隊ヒーローがヒラヒラの可愛い衣装を着た姿に変身しましたー。 って、おーーい!! おかしい、おかしいから、なんで三人とも青色なんだー! しかも、一人は普通のブルーだが、残りの一人は水玉、もう一人はストライプって、おかしい、おかしい。そこは、赤とピンクでいいだろう! 変えて変えて!!」
マーシーが放送席で首を振っています。
ユウキとエイリとノブコは舞台でジャンケンをしました。
ユウキがミミイちゃんの耳元にヒソヒソ声をかけました。
「ヴァルキリー! レボリューション!」
再び、頭の上で小指をあわせます。
「おおーーとっ!! 全国の中年男性の皆さん、美少女三人のはだかでーーす。そして、青と黄色と緑のヒーローになりましたーー!!」
マーシーが目を血走らせて、興奮して言いました。
何を興奮しているのでしょうか?
そう見えているだけです。本物ではありません。
でも、けっこうリアルです。
ユウキのはぺったんこ、エイリのはそれなりに、ノブコのはプルンプルンゆれています。
「キュートルブルー!!」
ユウキですね。
「キュートルイエロー!!」
エイリです。
「キュートルグリーン」
そして、ノブコですね。
「三人あわせてキュートルーー!! スリーー!!」
「三人そろってキュートルーー!! スリーー!!」
「私達、キュートルーー!! スリーー!!」
「おおーーとっ!! テレビでおなじみ名乗りとポーズですが、なんということだーー最後がバラバラだーー!! そこは、練習しとけよーー!!」
「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!! ボォーース!!!! 助けに来やしたーー!!!!」
「おおーーとっ!! 丁度良いタイミングで、ファルコンファミリーの応援がやって来たーー!! さっき地獄送りにならなかった者達が、応援を呼んで来たようでーーす。全員手に拳銃を持っています。なんということだーー。私は再び机の下にかくれまーーす!!」
「神様、デェスさん。ここは私達三人に任せて下さい!!」
ユウキが胸に手を当てながら言いました。
「うん、気を付けてね。力を入れすぎると死んじゃうからね」
マモリ様は、ファルコンファミリーの手下の心配をしています。
「はい! ハアアアアアァァァァァーーーーーーーー!!!!」
三人がファルコンファミリーの手下に向って走り出しました。
銃声がコロシアムに響きます。
「ぐわあぁ」
「ぐはっ」
次々、闘技場にファルコンファミリーの手下が落ちてきます。
「な、何なんだ、何なんだーー!!!! 次から次へと、一体どうなってやーがる!!」
ガンネスファミリーのVIP席でファルコンファミリーのボスがうろたえています。
「ひっひっひっ!!!! つえーだろー、ありゃあ、我らの守護神様の使徒様だ!! よーく見ておくんだな!!」
ガンネスが笑っています。
「いかーーん。このままでは全滅だーー!!!!」
ファルコンファミリーのボスが、VIP席を飛び出します。
「マモリ様、キュートルスリーーってどう言う意味なのデェスか?」
「あー、名前からです。部室で密談していました」
マモリ様がデェスちゃんの質問に答えました。
名前?
ユウキの名前は、留富勇希。
エイリの名前は、十田愛莉。
ノブコの名前は、旧仲信子。
あーー、旧十留、キュウトルということでしょうか。
あの子達、部活の時間に何をやっているのでしょうか。困ったものです。