「これは・・・・・・今回も任務失敗ですね」
通信機器越しに聞こえる、現地のユリアからの声。
「だねー。今、佛雁君の視点をモニターに映してるけど、下手な任侠映画以上の迫力だよ。映像送ろうか?」
EFEの力で、佛雁君の見ている映像はいつでもこうしてモニターで共有することができる。
昨日もお風呂屋さんでハッスルしている映像が録れたので、オチエっちに送ったら、「ウチA〇レーベルじゃないんだけど……」と返信があった。
そんなことを言いながら、ちゃっかり販売開始されているのは確認済みだがね。
「いえ、結構です。今まさに現地で見てるところですので」
「それもそっか。もし、心臓と脳辺りが損壊しそうな状況になったら、回収頼むよ」
「かしこまりました、お嬢様」
別に、心臓も脳も人工のものと入れ替えればいいだけの話なんだけどね。金と労力の無駄だからできることなら勘弁願いたい。
「小指を詰められそうになっていますが?」
「どうでもいいよ。また生やせばいいから」
しっかし、エンターテイメントとして眺める分には面白くていいけど、想定していた以上に使い物にならないガラクタだね。この
二つ目の玉も葉子っちの手に渡った今、葉子っち側の扱える呪力の総量は以前の比ではない。それこそ、今でこそ隠居老人だとはいえ、ヤクザの元組長に呪いをかけられる程度には。
あんまり「疋折妖狐」の呪力を外部に放出させたままにして、うっかり分身体でも顕現されたらおいしくないしね。分身体を捕らえて実験台にするというのも選択肢として悪くはないが、いずれ私の手に落ちるオリジナルをわざわざ消耗させてまですることでもない。
・・・・・・そろそろ何か別の方法を考えておくべきかな? 面白い絵面が録れるから、結構気に入ってるんだけどな。今のも。
ターゲットの前に誘導だけして自爆させるとか? うーん。楽しそうではあるけど、飛び散ったEFEのクリーニングおよび回収が手間だね・・・・・・。
じゃあ、毒ガスでも噴射させる? うーん。即効性と確実性に欠けるか。どうせターゲットを殺す路線でいくのなら、自爆させた方がまだマシか。
・・・・・・まあとりあえずは、佛雁君のEFE濃度を上げておくのが無難なところかな。ちょうどオチエっちが持ってきた分もあることだしね。
「ヤクザたちが退散しました」
私が考え事に頭を悩ませていると、現地のユリアから通信が届いた。どうやら、ヤクザたちによる佛雁フルボッコフェスティバルがようやく終わったらしい。
「遺た……じゃなかった、佛雁君の損壊状況は?」
「まず、左小指の第2関節以降が欠損。それに、鼻骨・肋骨の軽度骨折、右肩の脱臼。あとは全身の打撲と内・外出血多量といったところですね」
「なるほど、
「かしこまりました」
・・・・・・まあ、何も急ぐことはない。今はもう少しだけ、