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第162話 峰屋邸でトンカツパーティー

 電車に乗って地元駅で降りて峰屋邸を目指す。

 そういえば中に入るのは初めてだな。


「ねえさん、峰屋邸の中は広い?」

「とんでもねえ」

「とんでもねえ」


 チアキが笑いながら復唱した。

 とんでもねえのか。


 峰屋邸に着いた。

 相変わらずでっかい家だな。

 みのりが近づくと門番さんがドアを開けてくれた。

 セコムを増やしたのかな。


「やあやあ、いらっしゃい、タカシくん、泥舟くん、『オーバーザレインボー』の皆さん」

「まあまあ、高田君に樹里ちゃんに藍田さん、霧積くんに東海林君、よくいらっしゃいましたわね、ささ、上がって上がって」


 ほがらかなパパさんママさんに迎え入れられた。


「おじゃまします……」


 なんだこの豪邸。

 玄関からとんでもねえ。


「だから言ったろ」

「言ったでしょ」


 鏡子ねえさんとチアキが声を揃えた。

 それにしても、玄関だけで俺の部屋がまるまる入りそうなんですが。


「本当にタカシくんをお迎え出来てうれしいわ、自分の家のようにくつろいでね」

「そうだとも、将来はここに住むかもしれないからね」

「まあっ、浩三さんったら、おほほ、気が早いわ」

「もう、やめてようっ、パパ、ママッ!」


 みのりが赤くなって、峰屋パパと峰屋ママを押していった。


 とりあえず靴を脱いで上がらせて貰おう。


「すごい家だお」

「セレブって感じっすねえ」

「はー、素敵な玄関だわ」


 みな豪邸に圧倒されていた。

 まあ、泥舟の家も結構でかいから奴は平然としているね。


「みんなこっちこっち」


 みのりにリビングに招かれた。

 なんだかでかいソファーがあって、もの凄いでっかいテレビが壁に掛かっている。

 テレビの前に小さめのちゃぶ台があってそこにキーボードが載っているな。


「ああ、ここはママのリスナー席、ここで配信を見てコメントを打ってるのよ」

「ママさんタイプ早い」

「秘書科を出てますからね」


 峰屋ママがお茶を運んで来た。

 メイドさんも一緒だ。

 高そうな紅茶だなあ。


「あ、そうだ、トンカツ用のお肉を」


 俺は収納袋から高級豚肉ブロックを四個出した。


「まあ、凄く良いお肉っぽいわね。いつも『Dリンクス』の動画を見ると、鏡子ちゃんが何か食べていて、とてもうらやましくなるのよ」

「まあ、そんなに美味いもんでも無いよ、ママさん」

「でも、アタックドッグホットドッグとヘルハウンドホットドッグは味がちがうんでしょう?」

「ヘルハウンドの方が美味かった」

「いいわねえ、みのり、今度もって帰って来て」

「鏡子ねえちゃんが食べちゃうからね」


 峰屋ママが高級豚肉ブロックを持ってキッチンの方へと行った。

 しかしリビングも広いね。


 俺は立ち上がった。


「あれ、タカシくん、どうしたの?」

「トイレはあっちだぞー、広いぞー」

「ウオシュレットでお湯でるよ~」

「いや、今日はかーちゃん呼んで無いから、呼んで峰屋さんに挨拶してもらおうかなって」

「まー、タカシくんのお母さん? 会いたいわっ、ねえあなたっ」

「そうだなあ、だが良いのかい、一日三回だろう」

「今日は危なくならなかったから呼んで無いんですよ、大丈夫です」


 今日の狩りは安定していたからね。


 峰屋邸の玄関に出た。

 みんながぞろぞろ付いて来た。


「【オカン乱入】」


 光りの柱が現れかーちゃんが出現した。


「お、なんや、ここ、タカシ?」

「まーまー、タカシくんのお母さん、わたし峰屋千鳥と申します、みのりの母でございます。いつも娘のみのりがタカシくんに大変なお世話になって」

「まー、これはこれはご丁寧にありがとうございますよ。私はタカシの母、新宮よしえと申します……」


 あれだ、大人の長々とした挨拶行事だな。

 峰屋ママと峰屋パパとみっちり挨拶を三分間して、かーちゃんは消えた。


「あらあら、もう三分経ってしまったの?」

「なんとも短い」

「ママとパパの挨拶が長いのよっ」


 みんながもう一度呼べと期待している感じだな。


「トンカツが揚がったら呼んで食べてもらいましょう」

「そうねっ、一日三回しかないのに、挨拶でつぶしてしまってごめんなさいね」

「本当にねえ、タカシくん」

「いえ、峰屋さんにはお世話になっていますので、ご挨拶は大事ですよ」

「まあ、タカシくんっ」

「ありがとうね」


 メイドさんから、ご飯の用意がととのったと知らせがあったので、ダイニングに移動する。

 というか、料理のメイドさん、何人も居るなあ。

 さすが富豪だな。


「うわあ、ごちそうだお」


 ダイニングテーブルには揚げたてのトンカツと、ポテトサラダなどが沢山並んでいた。

 みんなで席に付く。

 かーちゃんも呼んでおこう。

 どこか、汚れても良い所と探していると、メイドさんが新聞紙を床に引いてくれた。

 ありがとうございます。


「【オカン乱入】」


 再び、かーちゃんが現れた。


「あ、これは……」

「とりあえず、ご飯を一緒に食べましょう、おかあさま」

「せやね、みのりちゃん、わあ、美味しそうやね」


 かーちゃんはブーツを脱いで、みのりの隣に座った。


「「「「「「「「いただきます」」」」」」」


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