「来週来週、デビューライブ、マリアさんとやるのっ」
「早くね?」
みのりが寄ってきて何を言うかと思ったら、お知らせであった。
練習とか二週間ぐらいしかしてないだろ。
「うんうん、だから顔見せというかそんな感じっ、夏までにアルバム出してプロモーションだって」
「『
みのりと東海林を連れて自分の席まで行く。
「おはようございます、タカシさん」
マリちゃんも寄って来た。
「マリちゃん、今度私の装備にもワッペン付けてよ」
「良いですよ、鏡子さんのスーツにも付けましょうか」
「スーツは結構着替えるからなあ、籠手に付けたら?」
「千年伝わる退魔防具にワッペンですか?」
腕の方だったら問題ないと思うけど、どうかな。
俺が席に付くと、みのりは吉田の席に、東海林とマリちゃんは椅子をひっぱってきた。
「来週、ミニライブか、どこで?」
「川崎マリエンだって、タカシくんも来て来て」
「マリアさんと一緒なのに、変な所でやるね」
海ほたるとかでやれば良いじゃん。
川崎マリエンというのは、あー、なんだろう。
変な市営の公共施設で、展示があったり公園で焼肉フェアとかをやるところだ。
性質がはっきりしない上に駐車場が狭いので人が集まりにくい残念施設だな。
世界の歌姫が来るんだから、会場がパンクするぞ。
「なんだよ、峰屋、Dアイドルデビューかよ、あたしらも芸能事務所に紹介しろや、こらぁ」
「Dチューバーデビューは果たしたから、あたしらにも資格はあるだろ~」
まだ『ダーティペア』が割り込んで来た。
「おまえら歌歌えるのか?」
「カラオケ得意」
「あふれる魅力もあるぜ」
本当にヤンキーは自己評価が天井しらずだな。
分際をわきまえろというんだ。
「あ、やべえ」
「にげるぞ」
『ダーティペア』が焦って席に戻った。
後醍醐先輩がやってきたのであった。
一応、少しは学習するんだな。
「おう、タカシ、竹宮先生が『
「なんで後醍醐先輩が」
「先生が『
何と言うか、後醍醐先輩は漢気があるなあ。
器がでかい感じだ。
「先輩、僧兵のクラスチェンジ条件をかーちゃんに聞いてみましたが」
「マジか! 僧兵は燃えるな! どうするんだ?」
「正式に僧侶の資格を持つこと、あと神様から証が必要なようですよ」
「そりゃあ……、神様からの証かあ」
「異世界だと神様の試練を突破すると貰えるらしいです」
「『大神降ろし』……、いや『真神降ろし』でなら可能かもしれないな」
東海林がそうつぶやいた。
「キクリヒメさまに頼み込むのか、出来るかもしれないが、あと二回しか使えないからなあ」
「神道系の方が良いか、仏教系は仏なんでくれなさそうだぞ」
そりゃまあ、そうだよな。
仏と交信はできなさそうだ。
神と交信も、まあ、難しそうではあるけどね。
「悪魔寺院さんで異世界の神様にお願いできないかな?」
みのりがぽつんとつぶやいた。
「おお、あっちの神様は気さくだからな、僧侶の試練をこっちでも受けさせてくれって言えば、なんとかなるかもしれねえな。なにしろセコンディナ様だからな」
それはあり得そうだ。
今日の狩りの帰りにでも悪魔神父さんに聞いてみるか。
「みなさま『おはようおはようおはようございます~~♪ すてきな朝、青い空、白い雲に今日の元気をはじけさせましょ~~♪』」
チヨリ先輩がやってきた。
「チヨリ先輩もマリエンのライブに出るんですか?」
「でませんわ~~、みのりさんとマリアさんのデュオのデビューイベントですから、わたくしは裏方をやりますのよ」
「ありがとうございます、チヨリ先輩っ」
「なんでもありませんわ、同じ事務所の先輩ですからね。あと、マリアさまのライブを生で見たいのですわ」
「チケット制?」
「そうだよ、タカシくん、でも『Dリンクス』の分のチケットは押さえてあるよ」
「俺にもくれよう」
後醍醐先輩がそういうと、しょうがないわねえ、と言ってチヨリ先輩がチケットを一枚先輩に渡した。
「すまねえな、チヨリ」
「特別でしてよ」
なにげに二人は仲がいいね。
あと、さすがの『ダーティペア』もチヨリ先輩に絡む勇気はないようだ。
しかし、ミニライブか、楽しみだな。
だんだん、みのりも華やかな芸能界に踏み込んでいくんだろうな。
レッスンとか大変そうだ。
そういえば俺も琉球武道の道場とかに行くかな。
白虎くんから見取った技だけだから、体系的にティンべー術を覚えた方が良いかもしれない。
『暁』は最後まで主力になりそうだしね。
チアキも気が付くと銃をくるくるさせているしな。
でもガンアクションはモデルガンを買った方が危なく無いと思う。
いや、せっかく日本政府の組織と繋がったんだから、泥舟とチアキを自衛隊の射撃訓練で鍛えて貰うのも有りか。
鏡子ねえさんも修行したほうが良いのだが……。
教えられる空手道場とかが無さそう。
鏡子格闘術みたいな、打撃と関節技を本能で組み合わせた技になってるしなあ。
「おーう、授業始めるぞ、後醍醐と北村は自分のクラスに帰れ~~」
「へーい」
「はーい」
先生が来て、ホームルームが始まった。