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第200話 峰屋家でドラゴン焼肉パーティ

 電車にのって帰って来た。

 駅で降りてみんなでぶらぶらと峰屋邸に向かう。


 こうやってみんなで歩くのも子供の頃の帰り道みたいで良いな。

 一応【気配察知】は働かせて、ロシア人とかりっちょんが待ち伏せしていないか確かめながら歩いている。


「ドラゴン肉」

「肉」


 肉食姉妹は肉しか頭に無いようだな。


「チアキちゃんの小学校入学はまだなのかな」

「手続きは済んだと聞いたが」

「昼間、チアキちゃんが一人になると誘拐が怖いね」


 そうだな。

 昼間は拳銃を持たせる訳にはいかないし。


「平気だ、泥舟兄ちゃん、私にはムカデ鞭がある」

「まあ、一般人なら蹴散らせるだろうけど……」

「【気配消し】で逃げるし」


 一人用の収納袋があればいいんだけどな。

 やっぱりチアキとみのりが外界だと危ないか。


「私がボディガードをやるから大丈夫だ」

「ねえさんは昼間は暇だしな」

「そういうこと」


 でも、なるべく『Dリンクス』が固まって動いた方が安全だな。


 峰屋さんちの豪邸に着いた。

 警備員さんたちが俺たちを見つけて門を開けてくれた。


「お帰りなさい、みなさん。今日も凄かったですね」

「ありがとうございます。方喰さんは来てますか」

「はい、いらっしゃってますよ」


 俺たちは峰屋邸に入った。

 マリちゃんがさらわれても困るな。

 付き合いが広がると色々と困るな。


「まあ、タカシくん、いらっしゃい。みのりもお帰りなさい」

「鏡子くん、チアキちゃんもいらっしゃい、泥舟くんもようこそ」


 玄関で、峰屋パパとママの歓迎を受けた。


「みなさんお帰りなさい、配信を見てましたけど、ドラゴン戦、凄かったですね」


 マリちゃんも歓迎してくれた。


「本当にねえ、あんな大きい魔物を倒すなんて」

「みんな大活躍でしたわ、チアキちゃんもがんばったわね」

「きょ、今日はあまり頑張ってないよ」

「良いのよ、居るだけでチアキちゃんは癒やしなんだからっ」


 今日もパパさんママさんは善人ムーブ全開だなあ。


 俺たちはリビングに通された。


「これ、ドラゴン肉です」

「まあ、ありがとう、意外とあるわね」


 竹の皮で包まれた肉塊が一キロぐらいあるね。


「タケちゃん、これを切って~」

「かしこまりました奥様」


 メイドさんがうやうやしくドラゴン肉をキッチンに運んだ。


「準備が済むまで待っててね」

「ママ、テーブルにドラゴンの魔石を飾ろうよ」

「あらあら、もってきたのね、いいわね~」

「水晶に引いてある座布団を持ってくるよ」


 パパさんがどこからか高級そうなミニ座布団を持って来た。

 金の房がついているぞ。


 テーブルの真ん中に置かれたので収納袋からスイカみたいな竜の魔石を出して置いた。


「あら、大きいわね~~」

「ドラゴンの魔石は貫禄が違うね、そして綺麗だなあ」


 紫色で丸い竜の魔石は存在感があるな。


 焼肉のコンロは都市ガスを使うタイプで四つあった。

 峰屋家の品物はなんだかどれも本格的だな。


「さあさあ、座って座って、鏡子ちゃんはビール飲むでしょ」

「あ、すんません」


 鏡子ねえさんの頭に『鬼の面』が着いていたので外して収納袋に入れる。

 チアキのムカデ鞭も没収だ。


「収納袋は便利だねえ」

「家にも一つ欲しいわね」

「そうそう出る物じゃないみたいですよ」

「沢山、出たら便利なのにねえ、悪魔さん、売店で売ってくれないかしら。リュックぐらいの物で良いのにねえ」


 それは売れそうだけど、あんまり悪魔さんたちは商売熱心じゃないからなあ。

 初心者セットと合わせれば配信冒険者人口が増えるかもな。


 キッチンからメイドさんたちによって、お肉のお皿がどどんと運ばれて来た。

 おお、凄いなあ。

 中央にひときわ綺麗に輝くのがドラゴン肉かな。

 他にも良い感じの牛肉やレバーなどが並んでいる。


「凄い、美味そう!」

「肉!」

「まずはドラゴン討伐を祝って乾杯してから、最初にドラゴン肉を食べよう」

「そうね、タカシくん、おかあさまもお呼びになっては?」

「かーちゃんは肉を焼き始めてから呼びますよ」


 三分しか無いからね。


「それでは、タカシくん、乾杯の音頭をお願いしますよ」

「あ、はい、その、『軍隊殺し』の攻略を祝って、カンパーイ」

「「「「「「「かんぱーい」」」」」」


 メイドさんがマッチで焼肉機に火を入れた。

 本式な感じだな。


 大人はビール、子供はお茶だな。


 メイドさんがドラゴン肉を焼肉機に載せてくれる。

 ジュウジュウという音と共に香ばしい匂いが漂う。


 よし、良く焼けたぞ。

 パクリ。


 ほわわわ~~~。

 口の中でお肉がほどけてえも言えぬ味わいが広がる。

 牛肉のような鶏肉のような、不思議な味わいだ。

 これは美味い。


「こりゃ美味しいなあっ」

「肉!」

「あ、おいしい~~、怖いドラゴンさんなのにお肉は凄いわ」

「ああ、これはご飯が進むね」

「ああ、美味しいです、幸せ~~」

「まあ、ドラゴンさん美味しいわ~~」

「これは美味しいね、天上の味わいだね、ママ」


 素晴らしい味わいだなあ。

 こんな凄いお肉は食べた事が無い。

 みなでパクパク食べる。

 メイドさんたちにも後で食べて貰おう。


 ああ、レグルスさんありがとう。


 おっと、かーちゃんも呼ぼう。


「すいません、かーちゃんを呼ぶので新聞紙か何かを引いてくださいませんか」

「こちらにお呼びくださいませ」


 メイドさんが大きめのラグを床に引いてくれた。

 これは助かる。


「【オカン乱入】」


 光の柱からかーちゃんが出て来た。


「お、どうしたんタカシ? あら、ここは峰屋さんのお家やね」

「これはこれはタカシくんのお母さん、いらっしゃい」

「ドラゴンのお肉で焼肉をしてますのよ、一緒にいかがですか?」

「わあ、それは豪勢やね、向こうでも食べた事無いわ」


 あっちでも滅多に手に入らない物なのか。

 それは良かったなあ。


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